異世界でチート美少女になればやり直せると思ってたけど燃え尽きた 作:暁刀魚
リリーシャちゃんの一件でちょっと忘れかけていたが、シェリブロの原稿が上がった。
そう、シェリブロの原稿が上がったのだ!
やったあああああああああああああああああああああああ!
というわけで、今日は休日である。
毎日がエブリデイで休日三昧の燃え尽き大将軍な私だが、それはそれとして明確に休日と呼べる日も存在するのだ。
シェリブロの原稿が終わった次の日とか!
シェリブロの原稿が終わった次の日とか!
この世でもっとも、休日にふさわしい日だ!
やったあああああああああああああああああああああああ!
「というわけで来たよー、子供達!」
「あ、ミツキせんせーだ!」
「げぇー! ミツキだ!」
そんなテンションのまま、子供達が集まる広場へと私はやってきた。
フェニハナの一角にあるこの広場は、主に街の子供達の遊び場となっている。
私はそこで、せんせーと呼ばれたりどこか嫌そうに呼ばれたりするのだ。
何故かと言えば――
「ちくしょー、アンヌ組もジョセフ組もボスがいないのに、ミツキ組だけボスがいるなんてずるいぞ!」
「へっへっへ、ミツキせんせーが入れば、きょーのコマ回し大会はうちの勝利で決まりだな!」
この街の子供達は、三つの”組”に分かれているから。
フェニハナの三馬鹿こと私、ジョセフ、アンヌの三人がボスである。
まぁ、なんとなく普段の活動が類推できる集まりだ。
「それで今日はコマ回し? いいじゃん、私のフェニックスドラゴンが火を吹くよ!」
「ミツキせんせー、いつも思うんだけど名前が安直すぎます!」
「なんだとぉ」
「ぐああああ」
自分の組の子に謀反を働かれたので、頭をぐりぐりとしつつ子供達の盛り上がりの中心へと向かう。
コマ回し。
まぁ特に言うこともないくらい、名は体を表す感じの遊び。
広めたのは私だ。
ジョセフとアンヌを巻き込んで、三人でこーりごりコマを木から削り出し、遊び始めた。
最初に遊んだのは、もう八年くらい前になるのかな?
当時は自分たちもここにいる子供達と同じ立場だったけど、今では彼らを導く側だ。
時間の流れって怖い。
「ぐあー! 負けた!」
「やったー! あたしの勝ちよ!」
「おー、おめでとうシェスカ。んじゃ、次は私がやろうかなー!」
「ミツキ組のボスのお出ましだぁ! おらおら、挑んでくる奴はどいつだぁ!」
というわけで、アイテムボックスから自前のコマを取り出しいざ戦場へ。
これまた私たちが自作したスタジアムの前に立つ。
「……ん、なんかミツキせんせー、様子がおかしくないか?」
「え、どこがおかしいって言うのよ」
「いや、なんか……」
なんて、私が普段以上にテンション高いからか、そんな話し声も聞こえてくるけれど。
「チャージ三回、ノーオプションバトル!」
「せんせー、いつもああ言ってるけど、一体何を三回チャージしてるんだろうね?」
「さぁ……」
決まってるじゃん!
「レディー、ゴー!」
――ノリ、だよ!
というわけでコマをシュート。
対戦相手の少年もシュートして、バトル開始。
……なんだけど、なんか普段より歓声が静かだ。
私に対して視線が集中している。
まぁいいや、楽しむぞー!
■
その後私は、勝った少女に抱きついたり、勝った少年を持ち上げて一緒に飛び跳ねたり、さんざんに子供達の遊び場を引っ掻き回し、満足してギルドへ向かうこととした。
んで、今度は酒でも入れて気持ちよくなろうと思っていたら――
「いやー、ミツキちゃんっていつも柔らかいわねぇ」
「えー、そうー」
「もっちもちよー、もっともちもちさせてー」
「しょうがないにゃー」
フェニガの女子たちに捕まって、もみくちゃにされていた。
いつもならやめろー! と暴れる私だが、今の私はちょうどいいくらいの酔っぱらい。
チヤホヤされてさらに気持ちよくなり、されるがままにほっぺたをもちもちされていた。
「……ところで今日のミツキちゃんって」
「……しっ、気付かなかったことにしておきましょ」
なんて、ひそひそ話も聞こえてくるが、酔っている私にはなんのことやら。
もちもちされたり、たかいたかいされたり、完全におもちゃみたいな扱いを受けつつ女子会に参加する。
「――というわけで、この度めでたく彼氏ができました!」
「おめでとー」
「やっと付き合ったのか……」
「なん……だと……」
そんな最中、話は当然のごとく恋バナへ。
女子があつまればとりあえず恋バナ、ジャブとストレートとフックが全部恋バナってくらい、恋バナはどこからでもぶつけられるからな。
そして私は轢き殺された。
正確に言うと、普段ならあんまり興味がないので適当に聞き流すんだけど、酒が入った結果変な絡み方スイッチがオンになったのだ。
「付き合ったのか……私以外のやつと……」
「突然のミツキちゃんからの執着心!? いやミツキちゃんと付き合えるなら女の子でも付き合うけどさ! 肝心のシラフのミツキちゃんが恋に興味ないじゃん!」
「シラフの私は、シラフの私。しかし今の私は酔っ払いの私」
ふらふらと、もちもち状態から起き上がって彼氏のできたフェニガ女子へと歩み寄る。
「…………やる」
「え……?」
ふらー、ふらー……
「寝取ってやる……!!」
「ええー!?」
そう言って、私は勢いよく女子に抱きついた。
「はははは! もちもちパワーを喰らえ! こいつを喰らえば女子は軒並みいちころだー!」
「あ、あばばばばばば!」
「ま、まずい! 普段のあの子はすっごい一途だけど、今のミツキちゃんはやばい!」
「脳が混乱してる! うっかり寝取られかねないわ! すぐに引き剥がさないと!」
「よいではないかー! よいではないかー!」
きえええええ。
と、暴れまわっていたら――
「――――――――――――――――ミツキさん、泥酔したらギルド出禁って、この前いいましたよね?」
「……ひゃい」
滅茶苦茶笑顔が怖いルクスラちゃんに、ギルドを追い出された。
■
「いいもんねいいもんね、こうなったら一人でも”祭”を開催してやるからいいもんげ」
なんて言いながら、私は森にこもっていた。
正確に言うと、以前つかったキャンプ場である。
追い出される直前に使用許可はとってきたぞ。
そこで私は、でかい鍋を用意して油を中に投入して揚げ物の準備を整えていた。
上げるのは森で適当に拾ってきたキノコだ。
「きええええ!」
奇声を上げながら、しっちゃかめっちゃかにきのこをイン。
毒キノコは一応取り除いてあるはずだけど、もし万が一毒が混じってても不死鳥の再誕がアレば問題なし。
パリッと上げて天ぷらにすれば美味しそうなキノコをチョイスしてある。
どかんどかんとキノコを叩き込み、げーはっはっは、と揚げていく。
「火力こそ料理の真髄だー!」
脳から直接言葉が吐き出されてくる。
自分でも何言ってるのかは、正直よくわからない。
少し覚めたとは言え、まだまだ酔いで体は火照っており、休日のテンションは最高潮。
このまま夕飯にすれば、最高に楽しいだろうなぁという感情だけが私にはある。
「いやぁにしても、あっついなあ」
そして、そんなことをしていると流石に熱くなってくる。
コートを脱いで、さらに上着も脱いでしまおうか。
どうせ誰も見てやしないんだ。
ちょっとくらいハレンチでも、きっとお天道様は許してくれるはず。
なんて、考えながら自分の服に手をかけた――その時だった。
「――――――――――――――――――――つけてねぇ」
ついてない。
何がって、ほら。
胸部を守るための、あのあれだよ。
大事なあれ。
異世界にもちゃんとあるんです。
とか言ってる場合じゃない。
私は自分の南半球が露出したところでそのことに気が付き、これまでのことを思い返す。
やっべぇ、子供達の前で何もつけずにぴょんぴょんしたり、抱きついてたのか。
シュートした時の沈黙はそれが原因か。
っていうか、フェニガの連中気付いてやがったな!?
いーえーよー!?
いろいろなことが脳裏をよぎる。
しかし、その時。
「――――お師匠様?」
「ひゅえっ!?」
不意に現れた、アルマちゃんにばっちり露出しかけたアレを見られたことで、私の思考は完全に停止した。
エッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ。
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