もしもマキマがチェンソーマンだったら   作:訥々

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12話 襲撃開始

感想、評価、ここすき感謝。

ようやくヤクザと戦います。

短めですがご了承ください。

 


 

  *1

 

初めて料理を作った翌日の朝。

まだ少し眠い目を擦りながらリビングへ向かうと、キッチンにデンジさんが立っている。

この1週間で当たり前になった景色だ。

 

「おはよう」と互いに朝の挨拶を交わして、デンジさんの隣に立つ。

フライパンの中のベーコンエッグを眺めていると、トースターからベル音が響いた。

デンジさんが慣れた手つきで焼けたパンにバターを塗り*2、その上にベーコンエッグを乗せる。

 

「パワ子起こしてきてくれ」

「はい」

 

パワーちゃんは少し朝に弱い。

ノックせずに扉を開けても、気付くことなく爆睡していた。

カーテンを開けて外の光を取り込む……起きない。

「パワーちゃん、朝だよ」と揺り起こして……ようやく顔を上げた。

と思ったら、今度はうつ伏せになって枕に顔を埋めてしまった。

 

「すー……すー……」

 

あまりにもわざとらしい寝息だった。

 

「起きないなら、私が朝ご飯全部食べちゃうよ」

「なにィ!?」

 

私の一言でばっと跳ね起きたパワーちゃん。

寝癖もそのままにベッドから飛び降りて、そのまま勢いよく部屋を飛び出した。

その後に続いてリビングに戻る。

食卓にはさっき見たベーコンエッグトーストと、グラスに注がれた牛乳が置かれていた。

 

「いただきます」

 

塩気の強いパンと、優しい甘さの牛乳が合う。

5分も掛からずに食べ終え、少し暇になったので皿洗いを手伝うことにした。

 

「昨日のメシ、ありがとな。超美味かったぜ」

「…デンジさんのご飯の方が美味しかったです」

 

照れ隠しに素っ気ない態度を取ってしまったけれど、内心すごく嬉しい。

口角の上がり具合が自分でも分かる。

ヤクザでもゾンビでも、なんだって来い──そんな気持ちになった。

 

 

◆◆

 

  *3

 

神奈川県某所。

ビルの周りを大勢の公安と警察が取り囲んでいる。

組織の垣根を越え、ヤクザを壊滅させるために組まれた連合部隊である。

ヤクザ関係は警察の管轄だが、マキマによって悪魔との違法契約が露呈した事を口実に、公安(デンジ)が出張った結果がこれだった。

 

「神奈川県警より来ました、警部補の椎名です」

「退魔2課、古野です」

()()1()()隊長、岸辺だ」

 

本来なら実行部隊(特異4課)を率いるデンジが指令を出すのだが、「そういうの苦手だから頼む」の一言で岸辺が情報共有を任されている。

 

「今回、機動隊と退魔2課は一階と地下の出入り口を封鎖し、特異4課が中にいるテロリストを制圧する。その上で貴方達が注意すべき事は1つだけ」

 

特異4課は多くの隊員が人外で構成されている。

4課の誰かが街に逃げたら、ヤクザ(テロリスト)が暴れるよりも被害が大きくなる。

人外職員の逃走を防ぐ──これが外で待機する人員に与えられた主任務だった。

 

「今回貴方達には、テロリストではなく4課と交戦になった場合に備えて、隊員の特徴を説明しておく」

 

 

 

「ゾンビ! ゾンビ!」

 

ゾンビが蔓延る地下駐車場。

コンクリートの壁が水のように歪み、そこから魔人が飛び出した。

 

「キャキャキャ! 食い放題〜!!」

 

頭をサメの形に変形させ、目についたゾンビを手当たり次第に食い散らかす。

 


サメの魔人──壁の中や地面、どんな場所でも泳ぐことができる。

短い間なら悪魔の姿にもなれる。


 

 

 

サメの魔人が長い髪の女へと飛びかかる。

鋭い牙で頭を齧り取る寸前、女は屈んで回避し、お返しに強烈なアッパーを叩き込んだ。

 

「痛っ!」

「私は味方です。少しは落ち着きを持って行動しなさい」

 

変身が解除されたサメの魔人を、氷のような冷たさで見下ろす女。

 

……はあ、なんでこんな野蛮な悪魔と組んで戦わなきゃいけないんですか……腹立つ……

 

普段は隠している複数の()を露出させ、鬱憤を晴らすようにゾンビの胴体や頭を貫いた。

 


蜘蛛の悪魔──人の姿に近い悪魔であり、普段は友好的だが、癇癪持ち。

デンジと何度か関係を持っている。


 

 

 

「こいつらなら勝てる…勝負じゃ!」

 

赤い角を生やした少女が、自らの血で作った2本の短刀を振るう。

ゾンビの頭蓋がいとも容易く斬り裂かれ、あるいは刺し貫かれる。

 

「どうじゃ! どんなもんじゃ!」

 

周囲のゾンビと比べ、飛び抜けて大きい個体を見据える。

そして不敵に笑い、倒したゾンビを踏み台にして跳躍し、首を刎ねた。

 

「パワーが一番最強じゃ!! ガハハハハハ!」

 


血の魔人──自分の血を固めて武器を作ることができる。

好戦的だが格上相手には逃げ癖があるため、街へ逃げ出さないように注意。


 

 

 

頭と両腕からチェンソーを生やした少女が、一心不乱にゾンビを斬り裂く。

 

「今度は公安のデビルハンターとして、全員ぶっ殺します」

 

ただ愚直にチェンソーを振り回し、黙々とゾンビをなぎ倒す。

クソみたいな過去と決別するために。

そして、惚れた男との未来のために。

 


チェンソーの武器人間──人格は人間であるため、人外職員の中では一番まとも。

しかし()()()()()()()()。絶対に逃がすな。


 

 

 

*1
マキマside

*2
ひとりごつ

*3
三人称視点

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