もしガルパンに航空機があったら()   作:田舎の異音

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色々あったサンダースとの練習試合において、急降下爆撃による小隊全滅は地上部隊に勝利を齎した!しかし制空権は握られたままである為に、継続した地上支援は困難を極める。
さあこの状況でどう動く?!

第12話、動きます。



『急降下は彼の専売特許ではありません、我々のオリジナルです。』

急降下爆撃の真骨頂ここにあり!

市街地戦を利用した包囲殲滅に失敗したサンダース各車は、黒森峰の重戦車によって蹂躙され、向かった2小隊は誰一人帰らなかった。しかしまだ敵車両は11両残っている上、戦闘機・爆撃機・攻撃機隊も健在である。我が方はというと、D-13地点付近で4両、市街地戦反攻戦で3両失った。

現時点では戦車の絶対数で勝っているが、サンダース側に制空権が握られているという事を忘れてはならない。平野に出ればすぐに捕捉され、上からも前からも攻撃を受けてしまう。

 

?『おい!君はもしかして急降下爆撃隊の生き残りか?!』

 

「そうだ!22番機の井波だ!そちらは?」

 

『こちらは戦闘機隊2番機のハルトだ!機体が損傷して上手く飛べない!護衛してくれないか?』

 

よし!行方不明機が発見され、航空戦力が回復したぞ!

 

この貴重な戦力を、焼け石に水をかけるような運用をしては今度こそ望みが絶たれてしまう。俺は無い頭を使い、この状況下で効率的に地上部隊支援を行える方法を模索する。

 

もうお気づきかもしれないが、総合戦車道において制空権とはあくまで戦術的有利を引き寄せるためのもので、奪取すべき最優先目標ではない。無論、戦闘機隊は別であるが。

つまるところ、敵のフラッグ車を潰すor全滅させればいいのだ!

数学の難題が解けた気分になり、再びやる気に満ち溢れていくのが感じられ、急降下せずにはいられなくなるが、ハルトの護衛が終わるまでの我慢である。

 

 

 

 

【黒森峰飛行場】

ハ「君がさっきのスツーカパイロットか!ありがとう、地図を忘れてきてしまって路頭に迷っていたんだ。感謝しているよ」

 

「困ったときはお互い様ですから気にしないでください。」

 

俺とハルトは倒れた椅子を立て直し、談笑した。

彼曰く撃墜した敵戦闘機を眺めていたところ、白いスモークで視界不良に陥り、コックピットガラス・右主翼を損傷したらしい。コックピットって...貫通したら死にますやん...

 

「多分君が墜としたのが戦闘機部隊の最初の戦果じゃないかと、俺は思ってるよ」

 

ハ「本当か?!だとしたらアーサラが喜ぶな!」

 

「アーサラって誰?友達?」

 

ハ「じ、実は黒森峰(ここ)で知り合った子なんだ。今は付き合っててな!」

 

「そ、そうなのか。生憎俺には連れがいないからそういうのはよく分からないんだ。すまん、」

 

ハ「そうかい?それじゃぁ、学校の近くにできたバーは知ってるか?あそこは夜9時以降になると出る裏メニューってのがあってだな―――!」

 

尽きない話題に、自由人な人柄。ハンサムな彼の事を放っておかない生徒は五万といるだろう。

スポーツと飛行訓練ばかりしている俺にはまだ先の話だな!

 

「っと、整備が終わったみたいだ。出撃しようか!」

 

ハ「わかった!君の護衛は僕が務めよう」

 

 

 

 

 

 

 

スツーカは高度2000mに到達した。彼のチューリップが描かれたセンスあるBf109Eは、早くも3500mに到達してしまった。

先ほどの会話の中で、空戦軌道についての話題になり、その中でBf109Eに打ってつけの戦法があると彼は言い切った。

 

ク「ユキオ!後ろから敵機が3機追ってきてる!」

 

「分かった...こちらスツーカよりメッサーへ。戦闘機3機が6時より接近中。”例のアレ”を見せてくれないか?」

 

『了解』

 

「ほ~ら来るぞ~...」

 

3機の1番先頭にいた機体が、局地的豪雨の如く降り注いだ弾丸によって一瞬で撃墜判定を食らってしまった!

後ろの2機は左右に分かれた後、味方同士で互いの後ろを取ろうと旋回している。どうやら何が起こったか理解できていないようだ。

 

「ハルト!奴らは低空で旋回している、仕掛けるなら今だぞ!」

 

『もう向かってるよ、ユキオ』

 

スツーカとは違う、鈍い風切り音が木霊する。気が付けば2機は白いスモークを吹き、ハルトは元の高度へ戻ってった。

 

「ありがとう、助かった!」

 

ハ「いいって事さ相棒!」

 

戦闘機小隊は全滅すると同時に、隊長さんらは先ほどの後退してしまった前線を押し上げていっている。三号戦車J型が偵察に出ており、我々に攻撃目標を伝えてくれる予定だ。

 

『D-13地点に敵を確認。上空1500mに戦闘機4機が旋回待機中。』

 

いくら上昇力の乏しいスツーカでも、離陸以来上昇を続けていれば3000mもなんのその。そして再び目下に敵戦車を確認し、ハルトは戦闘機隊の気を逸らすため既に一撃離脱を開始した。次は俺の番だな!!

 

「出力を絞ってダイブブレーキを出して、90°横転からの急降下...」

 

もう目を瞑っていてもこの操作ができる。抱いた500kg爆弾が、目標を目の前にして興奮し、歓声をあげている!

機体速度は380km/hを突破、そろそろ舵が重くなってしまうので、高度600mで地上部隊支援を実行!

500mにて引き起こしに成功して水平飛行で飛行場へ帰る。優しい麦茶と燃料タンクが底を尽きかけていることに今気が付いたぞ!

 

クララの無線により、地上支援部隊は成功した事が証明された。丘の頂上に陣取っていたM4シャーマン3両とファイアフライ1両が走行不能になり、得も言われぬ快感が襲う。

 

 

 

 

帰投中、後部機銃がいきなり火を吹いた為何かあったのかと聞くと、「敵戦闘機が来てたから撃ち落としておいたよ~」との事だ。心臓に悪いからそういうのはちゃんと言ってからにしてくれないか...

 

と、ここでサンダースフラッグ車の撃破が確認され、黒森峰の勝利となった。

序盤こそどうなってしまうのかと思えたが、この心配は杞憂に帰した。隊長さんと無線が繋がっていたら、祝辞を送っていたに違いない。まったく、興奮から足が震えてラダー操作が狂ってしまうぞ!

 

 

黒森峰飛行場へと戻ると、みなが俺を出迎えてくれたので、さらに嬉しかった。この興奮をハルトと分かち合いたかったが、彼は彼女に、最多撃墜を達成したことを電話しにいってしまった。引き留めていれば、報告することが1つ増えただろうに!

 

 

 

 

 

 

【共用飛行場】

 

サンダースとの挨拶をする為に赴いたところ、ここでも熱烈なる歓迎を受けた。

 

しかし、向こう側では俺を睨む者が多く、少し悲しくなってしまった。戦車道に恨みっこは無しだというのに...

 

?「....記録係、スツーカ22番機の搭乗員について詳しく調べなさい」

 

?「り、了解!」

 

?「急降下爆撃、ね...邪道もいいところだわ」フン

 

うむ、寒気がしたので、今日は暖かい格好をして寝る事としよう...明日からは是が非でも授業に出なければ、単位数が急降下してしまうのだ!

 

学園艦へ帰ろうとしたとき、大洗の数人が駆けつけてくれた。西住さんや梓さんから滅茶苦茶心配されたが、俺はこんな調子だ。大丈夫じゃない訳がない!

あとちょっとしたら大洗に戻ります!そう伝えておいた。

 

 

 

さて、そうなると一つ交渉せねばならない事がある。これは非常に大切な事なので引き合いに出すものを早い内に準備しておこう。

それが終わっても最終目標達成にはまだまだ時間がかかりそうなので、ますます努力しないとな。

 

さて。いつも通りの午後()を過ごすため、クララを載せて今度こそ着艦だ!

 

 




「急降下爆撃は所詮邪道じゃけぇ!」
「取り消せよ、今の言葉...!!」

見事試合には勝てましたが、航空隊の練度の低さや戦術を見直さなければならないという事が明らかになりました。ユキオにもまだ交渉や、最終目標である「大洗航空隊に最新鋭機を!」の達成に時間が要るようです。

気に入って頂けましたら、感想等下さると嬉しいです^^
次回も乞うご期待!
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