今回のお話は、いよいよサンダース戦...と行こうと思ったのですが、どうしてもやりたい描写があって急遽試合前日のお話を書かせていただきました(´;ω;`)
という訳で今回は試合前日に起きた、恩を仇で返されるお話です!
第22話、動きます。
父よ母よ!私は今、人生で初めて女子とお店に入りました!孫の顔を是非とも楽しみにしておいて頂きたい!
...と、そんな冗談が頭に浮かぶのは、俺の気分が急上昇しているからに他ならない。
しかし!今現在、あんこうチームの先輩方と戦車喫茶に来ているのだ。気分がたかぶらない訳がない。
華「井波さんは何になさいます?」
「それじゃNYチーズケーキを一つお願いします」
華「わかりました、これで注文は全員分決まりましたね。あ、沙織さんそこの呼び出しボタンを押してださますか?」
沙「おっけー!」ポチッ
ズドォン!!と主砲の発射音が、店員さんを呼んでくる。こんなところまで戦車がいるのか...
間もなくして、店員さんが注文を受けに来る。...店員さんも戦車服ではないか!
本当にどこまでも凝り抜く店である。
五十鈴さんが長い長い注文を、メモを取る事無く、詰まることも飛ばすこともなくサラサラと言い終えた事にド肝を抜かれた。
「(それにしても...さっきの発射音はもしかして三式中戦車のものだろうか?)」
少し知識自慢をしてみようかと思ったのだが、
秋「この音は九〇式ですね!」
華「流石戦車喫茶ですね。あら、井波さんどうかなさいました?」
「い、いえ何でも...」
危うく恥をかくところだった!軍事の知識において、秋山さんと競り合うのは今日で最後にしよう。
「それより一回戦は強豪ですね...あんなの引いてしまってホントすいません」
み「いいよいいよ!井波くんは謝らないで...ホントは私が引くはずだったのに、押し付けちゃったから...」
「いやいや!俺の方こそあの後新聞で色々とありましたしそれに――――」
沙「もう!そこまで落ち込まなくたっていいじゃんー!」
華「そうですね、こればかりは運ですから。それにしても、サンダース大付属ってそんなに強いんですか?」
秋「何というか、ものすごいリッチな高校で――――」
秋山さん、あなたの知識量には恐れ入った。ついでといっては何ですが、各校の航空戦力も調べてくれるとありがたい!
麻「単位は?」
沙「負けたらもらえないんじゃない??」
麻「.......」グサッ
「ヒィッ」
単位が危うくなるや否や、冷泉さんはフォークを戦車型のケーキに突き立てた!
なんと恐ろしい...
「あ、ちょっとお手洗いにいってきますね」
「ふぅ、おまたせしました...?」
戻ってくると、何やらテーブルが険悪な雰囲気に包まれていた。さっきまでの和やかな雰囲気は一体何処へ?
先輩方も上級生とはいえ、お年頃の乙女である。きっと男子の居ないうちに真剣な話をしていたのだろう。
ここは深掘りせず、冷泉さんに続いてもう一つ注文することにした。
――――――――――――――――――――
翌日、何故か秋山さんが学校に来ておらず、音信不通であったため、急遽秋山さんの家に訪問することになった。
先輩方は上へあがり、俺は散髪してもらうことにした。
父「いや~優花里の友達が家に来るなんて初めてでねぇ~!嬉しいのなんのって...そういえば井波くんも戦車に乗ってるのかい?」
「本来は航空科っていって、急降下爆撃機に乗って大会に参加するつもりだったんです。でも、いきなりルールが変えられてしまって、今は特例で戦車に乗ってます」
父「確か総合戦車道だっけ?何か月か前に新聞の一面に載っていたのを覚えてるよ。実は家内も戦車道を昔やってたんだ」
「そうだったんですね!高校はどちらだったんですか?」
父「ははは、今ユキオくんがいる学校だよ」
「お、大洗女子学園だったんですか?!」
母『おとうさーん?もう皆さん帰るらしいから、そろそろ仕上げてあげてー』
父「あいよー!....周りが女の子だけで弱音を吐けないこともあるだろうけどね、そんなときはまた散髪においで」
「それを分かってくれる人がいるだけで、俺は十分です...ありがとうございます」
父「よしっ、男前の完成だ。行ってこいスツーカ大佐!」
鏡を見ると、キッチリと七三分けに整えられた我が頭髪が、ポマードの光沢を反射していた。
父「じゃあユキオくん、優花里のことを頼むよ」
去り際、お父さんは俺にそう声をかけた。それに敬礼で応える...なるほど!試合になったら守ってくれという事だな!
安心して欲しい、急降下爆撃は局所的な地上支援に打ってつけの攻撃方法である。よってあんこうチームの行く手を阻む脅威は撃ち落とし、爆弾をお見舞いすることをここに約束する。
ご両親が優花里さんに託した夢の続きを、守る義務が俺にはあるのだ。
そして身体測定を済まし、戦車服が届いて試合を翌日に控えた今日この頃。
自宅へ戻ってくると、偶然にもノンナさんとばったり会った。何やら荷物を抱えている。
「こんばんわー。旅行ですか?いいですねぇ〜!」
ノ「いいえ、近くに学園艦がいるのでそちらへ向かうつもりです。」
「学園艦...プラウダのですか?」
ノ「はい、少し用があるので。ではこれで...」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
俺はこの時ある事を考えた。そう、それは非常に戦術的価値があって有意義な事...一体何かと言うと、
「俺が学園艦まで直で送っていきますよ。乗り換えるのは疲れるでしょう?」
ノ「お気になさらずに...」
「いえいえ!ささ、大洗まで来てくれればすぐですから!ね!」グイッ
ノ「わ、分かりました。それではよろしくお願いします」
【大洗女子学園】
ノンナさんの荷物を手分けして運び、大洗女子学園に再登校する。
自動車部の人がまだ残っていたのが幸いし、燃料をたっぷり入れてもらえた。
ホ「彼女さんと遊覧飛行かい?青春じゃないか、井波」
「まさか!俺に彼女なんていませんよ。この人を送るだけです」
またまたーと自動車部の方々にひやかされる。しかし俺としても、ノンナさんのような人は大歓迎である。
ノ「....急いでくれるとありがたいです」
うむ。別の人を探すべきのようだ。
高度は1500mを保って飛行している。
補助翼・エレベータ・ラダーの自動制御を済ませ、少し暇ができた。
...そういえば、ノンナさんはプラウダの学園艦に何の用があるのだろうか?純粋な質問を無線で飛ばしてみよう。
「そういえば何しにプラウダに行くんですか」
ノ『全国大会がこの地方で行われるので...!』
ノンナさんは急に言葉に詰まった。何か不味い事でも聞いてしまったのだろうか?
ノ『”妹の”全国大会がここで開催されるので見にきました。』
むむ、何と妹想いなお姉さんであろうか!無線越しでも家族愛が伝わってくるというものだ。俺も姉二人にはいつか感謝の手紙でも送るべきか。
『私からも一つお伺いしたい事があるのですが』
「んああ仰らないで、巡航速度が遅い。でも
なるほど、ノンナさんも大洗の戦車道を応援している市民の一人だという事か。いやしかし...ここで「俺だぜ!」なんて言ってしまうと格好がつかないな...よし!
「実は物凄く高性能な機体...
ノ『ッ!?詳しくお聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?』
「え、えーっと確か670km/h出てて、射撃の命中率は90%を超えてて...」
ノ『そ、それで...!』
「空戦するたびに勝ってましたね~(遠い目)」
我ながらよくこんなにスラスラと嘘が付けたものだ。He-100なんて買ってないし、買う気もない!
かのLuftwaffeが宣伝目的で使用していたことは知っているが...
...ん?学園艦は見えたが、いくつかの機影も認めた。
真っすぐこちらに向かってくるが...まさか迎撃機ではあるまい。
我が機はゆっくりと学園艦へ降下していった。
【プラウダ高校飛行場】
「(それにしても気持ち悪いくらい接近されたな...)」
ノ「どうもお世話になりました。また会いましょう、お気をつけて」
「いえいえ、こちらこそ。妹さんによろしくお願いします」
再びスツーカを高度800mまで上昇させ、少し偵察飛行を行う。
「LaGGとラタが5機...IL-2は数えられない程っと。よし帰ろう。」
流石に上空に居座りすぎたせいか、LaGG戦闘機が2機ほど上昇してきた。なんだ、後ろに回り込んだかと思えば、発砲してきたではないか!本能的に回避軌道を取る。
その後あまりにしつこかった1機を撃墜。もう1機の後ろを10分ほど付け回してやった。ヤツの燃料はもうカラカラだろう。
また新聞に取り上げられて、問題にならなければいいのだが...
何はともあれ明日は試合だ。いい予行演習になったと思い込み、早く帰って熟眠することとしよう!
ノ「......」
21話はいかがでしたでしょうか?プラウダがYak-3などの最新鋭戦闘機を導入していない事が明らかになったのは、大きなアドバンテージですね!
それでは、次回も乞うご期待!