今回でいよいよサンダース戦の最後...となります。
竹林にてフラッグ車と遭遇したアリクイさんチームは、この後どうなってしまうのか!
持てるものは全部使いましょう!徹底抗戦です!
それでは第25話、動きます。
鬼ごっこしようぜ、お前鬼な!
...などと抜かしている余裕は今は無い。我が三式中戦車は現在、M4シャーマン中戦車によって怒涛の追撃を受けている。
ヒュオォンッ!!
彼女の76mm砲が砲塔をかすめる。あんなのをまともに食らえば、一撃で撃破判定が下されるのは明らかだ!
「まずいな...後ろのシャーマンを発煙弾で撃つべきか」
ぴ「それだと局所的な煙幕だからすぐに視界が晴れちゃう!」
「クソッ....!」
仕方なくジグザグに車体を動かして避け続ける事にした。
これによって回避できているのは、他ならぬももがーさんの操縦技術あってこそである。しかし、本当にランダムに動いている以上、一定の確率での被弾は本来覚悟すべきだが、我々にとってその”一発”が命取りになるのは言うまでもない。
是が非でも確立を下げなければ!
ね「これ、使ってみてよ」
「これは...!」
ア「何をやっている!?相手は三式だぞ?!」
?「す、すいません...!さっきから三式の車長の様子がどうもおかしくて...」
ア「はぁ?ちょっと見せてみなさいよ!......??」
ア「何やってんの...あいつ...」
「ははは!見たまえ!この美しき
ねこにゃーさんから手渡されたのは、赤い発煙筒であった。
これはしばらく煙幕を作るが、継続してシャーマンの視界を奪う為には、車体正面に上手く乗せる必要がある。
まず初めは上から普通に投げたが、スピード過多と角度によって失敗。何本かを一気に投げてみるも結果は同様だった。
そこでサブマリン投法である!スピードも抑えられ、コントロールに優れるこのフォームなら、やれぬことはない!ふわりふわりとシャーマンの正面装甲に舞い降り、これでもかと煙幕を張る。
ね「激しい砲撃...当たったら木っ端みじんにゃー!」
「もちろんだ!相手の射撃を回避しつつ燕返しができればいいのだが...」
ね「(何言ってるか意味が分からない)」
「....!よし、このくらい投げておけば早々当たらないだろう。」
ここでしびれを切らしたのか、車載のブローニングが乱射された。
危険極まりないので、キューポラに飛び込む!
も「開けた場所に出たナリ!」
ね「ここで皆と合流する予定だね!」
「煙幕のご利用は計画的に、だな。もう投げる筒が一本もない!」
み『...三式来ました。突撃します!ただし、カメさんはウサギさんとカバさんとアヒルさんで守ってください!』
予定通り合流を果たし、我が三式は右方向へ離脱、正面には八九式・38t・M3Lee・三号突撃砲の4両が。
シャーマンから見て丁度9時方向には四号戦車と、ガチガチに固められている。
ここで潰す気であるのは誰が見てもよく分かる。
1vs6、前半での仕返しがここで成されたのだ!
シャーマンの煙幕が晴れ、彼女らは現実を目の当たりにしている。
すかさず四号戦車が側面から砲撃するも、シャーマン咄嗟の急停止により外れる。
「みほさん!シャーマンが後退してます!」
み『全車追撃!撃破を狙うなら今です!』
一丸となった大洗戦車部隊が怒涛の追撃を行う。
ア「——!!————!!!!!」
ぴ「こっち向いて何か叫んでる...」
も「絶叫系配信は耳が痛くなるから勘弁ももね」
「俺も言い返さなきゃ(使命感)」ガバッ
ね「言わなくていい言わなくていい!」グイッ
~♪
沙『目標との距離詰まってきてます。60秒後、攻撃を再開予定。順次発砲を許可します。byみぽりん』
いよいよ試合も大詰め、クライマックスである。この瞬間をモニター越しにではなく、生き残って生で見られるのは非常に感動的だ!取り敢えず榴弾ではあるが、我々も砲撃を開始しよう。
「榴弾込めといたから、60秒経ったらももがーさんと連携して好きに撃ってくれ」
ぴ「だっちゃ!」
我が校の勝利が約束されたので、キューポラを開けて空を眺める。晴天だ。心底心地がいい。
想えば、こんな創立間もないチームが、優勝候補をここまで追いつめている事実には感慨深いものを感じる。これらは偏に、日々の訓練と強い意志のおかげではないだろうか!
その中でもみほさんは群を抜いている。
無線を傍受され、性能的にも数的にも経験の差でも劣っている中、臆することなく立ち向かい、形勢を逆転してしまったのだ!その強さには、父親として慕わせてほしいとすら感じる。
天を仰ぎ、そのまま後ろへ反り返る。体が伸びてますます気持ちがいい。
しかし、ここで見えてはいけないモノが見えてしまった。
5000m程後方に新たな敵戦車を発見してしまったのだ!
うち1両がピカッと光ったかと思えば、明らかに他車とは違う、独特の砲撃音が木霊する!
「な、なんだ今のは!?」
新しく買った双眼鏡をここぞとばかりに覗き込む。俺の耳が正しければ、これまでに聞いたシャーマンとは訳が違う、途轍もない内臓まで響く音であったはずだ。
...見えた!....見えたのだが、何だ!あの長くて太い砲身は!
攻撃力の遥かに強化された型であるという事は、考えなくても直感が感じ取った。
そしてそれは俺に語り掛ける。「逃げろ、ヤツはお前を間違えなく仕留める腕がある」と。
もう一発が着弾。現に確実に誤差を修正している!明らかに精度がよくなってきているからだ。
発煙筒を投げようにも、どんな大谷翔平でも5000m先には届きはしない。
~♪
武部さんからのメールが届いた。
沙『ウサギさん、アヒルさんは後方をお願いします。カバさんとアリクイさん、我々あんこうチームは引き続きフラッグ車を攻撃します!』
どうやらあんこうチームも来襲には気づいていたらしい。
フラッグ車を攻撃させてくれるのは嬉しいが...如何せん榴弾なので撃破は見込めない。
「ぴよさん、榴弾を使って履帯切断を狙おう。足を止めて三突や四号が少しでも当てやすいように心がけるんだ。」
ぴ「そう思ってもう装填しておいたナリ!」
「おぉ...!」
日ごろから共に訓練していれば、このような意思疎通もできるということが今、よく分かった!
ぴよたんを後部機銃手に採用決定だ!
しかし状況は決して芳しくない。
長鼻のシャーマンはかなりの技量があるらしく、その攻撃力も相まって立て続けに八九式とM3Leeを撃破してしまった...
あの大きな砲撃音がするたび、次は自分だ!と怖くなってしまう。
誤差はますます小さくなってきている。もう2、3発あれば彼女には十分だろう。
無線でも悲痛な叫びが聞こえてくる。あの桃さんでさえ、
桃『だめだやられたーっ!!』
と、完全にパニック状態である。
無線が再び入る。
み『みんな落ち着いて!』
み『落ち着いて攻撃を続けて下さい!敵も走りながら撃ってきますから、当たる確率は低いです!フラッグ車を叩くことに集中してください!今がチャンスなんです...』
確率が...低い?フラッグ車を叩く...?
み『当てさえすれば勝つんですッ!諦めたら...負けなんですッ!!』
「....当てさえ、すれば!!」
みほさんの懸命な訴えで、俺は正気に戻る。その通りだ、何をクヨクヨしているのだユキオ!
「(お前の使命は何だ!.......フラッグ車の撃破をアシストする事だ)」
「(その為に今できることはなんだ!.....履帯を切ってやるか、後続を食い止めるかのどちらかだ!)」
「(今の状況はどうなんだ!....フラッグ車と我々、我々と後続の距離が詰まってきている!)」
すべきことは決まった!三式中戦車内で、俺は作戦命令を告げる。
み『井波くん!何してるの?!早く昇ってきて!!』
「お気になさらずに。どの道徹甲弾も積んでないので、力にはなれません」
み『えっ?それじゃぁ今までどうやって...』
「なぁに、ただではやられませんよ!ちょっくらボヤ騒ぎを起こしてくるだけです!それでは」ガチャ
坂の道中にて、180度の方向転換を行う。長鼻は、無線傍受で我々が徹甲弾を持っていないことを知り、相手にしようともしない。悔しい...しかし、それでいい!
「発煙弾!撃て!!」
ぴ「...!」
発煙弾がヤツの手前に弾着。外れたのではない。我が優秀なる砲手が意図して外したのだ!
直後、長砲身が火を吹くも、四号戦車には命中しなかった。
「頼む、あんこうチーム!次で決めてくれ!」
その後何発か撃ち、徹底して時間を稼ぐ。
だがもう静止して砲撃は行えない。なぜなら後続のシャーマン2両が長鼻の横で、我々を狙っているからだ。
ね「2両がこっちを狙ってる...!?」
「ああそうだ、俺たちは捕捉された!このまま走りながら発煙弾を撃ち続けろ!」
ぴ「も、もう弾がないぴよ!」
「なんでそんなに少ないんだ...!」
チラッとあんこうチームを見てみる。先輩方は静止して狙いを定めている最中だ。恐らくここで蹴りをつけるのだろう。
「仕方ない。ももがーさん、全速力で坂を駆け下りて下さい!」
も「い、一体なにするつもりもも!?」
「最後の手段...『あなたが砲手作戦』です!この大きな砲弾を突っ込ませて長鼻の照準を狂わせる!!」
「「「!!??」」」
も「本当に...いいんだね?」
「今はカーボンとチームの勝利を信じるしかない」
坂を駆け下り、ぐんぐんと加速する。今や脇の2両は我々を捉えられていない!
「全員衝撃に備えろッッ!!!」
もうヤツは目の前だ!
「いくぞ...!」
耳を劈くような大きな衝撃音がした後、意識が途絶えてしまった。
しかし確かなのは、それが耳を劈いた”後に”長鼻が砲撃を断行したという事だ。
そして俺は不覚にも、結果を知らないまま病院送りとなってしまった。
勢いのある老婆と相部屋だ。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
砲塔に頭でもぶつけたのか、意識を失ってしまったユキオ。
果たして、自己犠牲の上に何を得たのか。
次回も乞うご期待!