もしガルパンに航空機があったら()   作:田舎の異音

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気を失って病院送りを食らう井波の前に現れたのは、活気溢れるとある老婆。
重要なキーパーソンになるか否かはさて置き、ユキオが入院に黙って従う筈もありません。
今回はそんな彼を心配して、新たなパートナーが付くお話です。

第26話、動きます。



第26話『Schule doktor』

「....おっ。」

 

見慣れない天井だ。

 

?「あっ、起きましたね。調子はどうですか?」

 

「俺は一体どうなったんだ?記憶が飛んでいて思い出せない...」

 

親切な看護婦さんは、サンダース戦について詳しく教えてくれた。

 

曰く、三式中戦車がファイアフライ...あの長鼻に体当たりし、照準がブレて四号戦車を撃破し損ねたらしい。少し経って、その四号戦車がフラッグ車を撃破し、一回戦を突破した。

幸か不幸か気絶したのは俺だけで、あとの3人は無傷だったらしい。

 

「や っ た ぜ !」

 

心の底から溢れる。

 

?「ふふっ。でも同じチームの方は相当心配されてましたよ?」

 

「そうですか。早くチームの為にも復帰しなければ...あとどれくらいで退院できそうですか?」

 

?「検査等もありますから、大事を取って短くても1週間後ですね。」

 

「!?」

 

ならん!それでは2回戦に間に合わないではないか!

今は自分の大事より、チームの大事を取るべき時である。

 

「遅くとも明後日には退院したい。」

 

?「無理です。それでは。」ガチャリ

 

ベッドの上で寝転がったまま過ごす1週間なんて、とても耐えられない。

他校生は今この時間にも、着々と訓練を重ねている。

劣等感が心を苛んでいく。

 

飛び起きて足をベッドの上へ乗せ、手を地面につけて腕立て伏せをして退屈をしのいだ。

 

 

?「あんたはさっきからなにやってんだい!ボディービルダーにでもなろうってのかい!」

 

非常に活気あふれる老婆が、カーテンをこじ開けて訪ねてくる。

 

「体を鍛えておかないといざという時に最大限の力が発揮できないんです。日ごろからこうやって鍛えておかないと...」

 

?「まったく、最近の若いのは落ち着きってもんがないんだよ!だいたいねぇ....!」

 

はじめは単なる老害かと思って相手にはしていなかったが、よくよく話を聞いてみると「明日にでも退院したい」という共通の野望があることが分かった!

 

「俺は明後日にでも退院するつもりです!」

 

?「あたしゃ明日にでも退院するつもりでいるよ、じっとなんてしていられないからね!」

 

「おぉー!」

 

最近の若者にも負けていないこの老婆、冷泉久子さんとどちらが先に退院できるか勝負をすることになった。

 

それから俺は、久子さんに持ってもらい、手押し車でとことん身体を鍛えた。

降ろしてくれと頼んでも、

 

久「まだ大丈夫だよ、ほら頑張りな!」

 

うむ、ドSと訓練することによって得られる対価は、ドMのそれより遥かに多い。

まったく、腕が棒になってしまったぞ!

 

 

 

 

 

二日後、検査の結果が出た。

「異常なし...ヨシッ!」

 

検査に異常が見られないという事は、外にいる一般人となんら変わりない状態であるのと同じだ。

つまり、退院しろという事である。

 

荷物をまとめていると、先日の看護婦さんが封筒を持って、俺の元を訪ねてきた。

 

?「まったくもう...どうなっても知りませんよ?」

 

「今この状況で、これ以上入院する気持ちにはなれません。」

 

?「気持ちって....はぁ」

大きくため息をついた看護婦さんは呆れた表情で続けてこう言う。

 

?「分かりました。なら、この封筒を学校の養護教諭に渡しておいて下さい。今後守ってもらう事と万が一の時の連絡先を書いておきましたから。」

 

お気遣いなくと返すと、勘違いしないでと叱られてしまった。

もし俺の身に何かあれば、病院側の責任になってしまうからである。

リスクが怖くて空が飛べるものか!

 

久子さんに別れを告げる。

 

久「あんたの勝ちだね。」

 

「これくらいしか取り柄がないもので。」

 

久「謙遜なんていらないよ。ところでどこの高校に通ってるのさ。」

 

「大洗女子学園で戦車道やってます。」

 

久「....そうかい。また応援しに行くから、頼んだよ。」

 

こんなところでも、大洗女子学園を応援してくれる人がいる事に驚きを隠せない。

やはり、無名高が優勝候補を一回戦で出し抜いた影響だろうか?

それとも生徒会長の宣伝による効果か。

...いや、我々の懸命な戦いぶりに感動して下さったのかもしれないな!

 

なら尚更入院すべき理由がない!今すぐにでも学園艦の寄港場所を探さねば!

 

———————————————————————

 

み「......」

 

秋「西住殿、そんな暗い顔してどうされたでありますか?」

 

み「い、いや!別に何でもないよ。」

 

沙「(あーもう!何で戻ってきたと思ったらまたすぐにどっか行っちゃうのよ!!フォローするこっちの身にもなってよ!)」

 

麻「大丈夫だ、西住さん。さっきおばぁから連絡があった。」

 

み「おばあさんから?」

 

麻「抜け出s...退院が早まったそうだ。」

 

み「!!」

 

沙「(麻子ナイスっ!)」

 

沙「そうだよみぽりん!暗い顔してちゃ折角勝ったのに井波くんも喜べないって!」

 

み「うん!そうだねっ!」

 

秋「(いい笑顔であります...)」

 

———————————————————————

 

無事学園艦に帰投したので、まずはチームに迷惑を掛けてしまったことを詫びに行く事にした。

 

「井波ユキオ、たった今帰りました!」

 

「「「「「「「「!?!?!?」」」」」」」」

 

梓「ち、ちょっと!まだ安静にしてなくちゃいけなかったんじゃないの?!」

 

「へーきへーき、平気だから。」

 

桃「貴様まさか幽霊なんじゃ...ヒィッ」

 

「ちゃんと足ありますってば!」

 

杏「おーおかえり〜。退院祝いに干し芋あげる!」

 

「退院を早めてよかった!頂きます!」

 

「「「「「「「「......」」」」」」」」

 

その後はいつも通り訓練をして過ごした。

演習では気を使ってか、あまり狙われなかったので、こちらから積極的に仕掛けて闘争心を煽ってみたりもした。

本気と全力を以てぶつかり合う、それは演習であっても変わりはしない。

 

桃「それでは今日の訓練は以上だ!解散!」

 

「(あ、保健の先生に封筒を渡さないとな。)」タタタッ

 

あ「あー!また井波くん走りに行ったよ!」

 

優「無理しちゃダメなのにね〜」

 

梓「もう!ちょっと見てくるね。」タタタッ

 

あ「...なんだかんだで梓も気に掛けてるよね。」

 

優「心配性だからかしらね〜?」

 

【保健室】

 

先「あら、井波くん。どうしたの?」

 

「実は入院していた病院で先生宛の封筒を渡されまして。」

 

先「どれどれ....?」

 

———————————————————————

 

①毎朝検温をさせる事

②戦車道をする時は、先生又は保健委員を1人待機させる事

③訓練時間以外での過度な運動は控えさせる事

④万が一異常があった場合は、回復してもすぐに病院へ送る事。

⑤きちんと徹甲弾を積ませるよう指導する事

 

よろしくお願いします。

 

———————————————————————

 

先「(無茶言わないで頂戴よ...私が何回止めたか教えてあげたいわ。)」

 

先生は深刻な顔をされてうなだれている。無茶な要望でも書いてあるのだろうか?今後は気絶しない程度に無理をしよう。

 

先「そういえばあなたのクラスの保健委員って確か...」

 

「梓さんですね。」

 

先「あら?あの子も確か戦車道よね?」

 

「ですね。」

 

先「それじゃぁこれからは、安全の為に澤さんに付いて貰うから。そのつもりでお願いね。」

 

「了解です!」

 

梓「...」

 

安全に日常生活を送る上で必要なのは、健康な身体と健全なる精神である。

これら2つはスポーツによって得る事が可能だ。

つまるところ、「安全」=「スポーツ」である。

 

「よし、これからはあくまで〝安全の為〟にスポーツに励む事としよう!な、梓さん!」

 

梓「あ、えーっと...そ、そうだね!」

 

 

かくして我々は、親愛なる同期からスポーツを共に楽しむ親友へと、その関係を更に深めたのである。




梓がパートナー?やったぜ(歓喜)
心配性な彼女なら、きっとユキオの軌道修正に一役買う事でしょう!

好きなガルパンの人物をどんどん盛り込んでいる訳ですが、皆さんにも「推しキャラ」というのがおられましたら、是非とも教えてください!(*^◯^*)

それでは、次回も乞うご期待!
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