もしガルパンに航空機があったら()   作:田舎の異音

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こんにちわ、田舎の異音です。

さて今回はアンツィオ高校戦から数日たったとある日のお話です。是非とも震えるくらいクーラーをガンガンにして、北の試合会場へ臨む大洗女子学園生徒の一人になってみてください!笑

それでは第32話、動きます


『凍てつく精神』

今日も今日とていつも通り登校する。

本日より我々アリクイさんチームもとい大洗航空隊は、航空機の訓練に本腰を入れるつもりだ。

更衣室(仮設)で着替えを済まして集合する。他の皆も気合が入っており、誰一人として制服で参加している生徒はいない。皆戦車ジャケットを着ているのだ。

 

桃「注目!」

 

「...!」

 

桃「準決勝の相手が決まったので報告する。準決勝は....」

 

—————プラウダ高校だ。

 

一部の生徒が騒つきはじめた。みほさんがこう言う。

 

み「プラウダ高校は...昨年の優勝校です...」

 

ざわざわ...ざわざわ...

 

全生徒のざわつきが一層強まる。そしてそれは、明らかに弱音のようだ。「優勝校なんかに勝てる筈がない」と。

しかし俺自身、そうは思わない。我々は今まで、数的・質的・経験的な不利を幾度となく跳ね返して勝利を掴んできた。よって今回も、臆する事なく冷静に、そして自分の価値を信じて戦えば勝機はあるはずだ!

 

「弱気になっちゃだめじゃないか!試合前から負け腰で、本番で勝てるもんか!」

 

大「だって優勝校だよ?今年から始めた私達が勝てる訳ないし...」

 

梓「そうだよね...まぁ優勝校だし、負けても仕方ないよね!」

 

優「それ言えてる〜。負けても次があるしね~?」

 

沙「ど、どうすんのみぽりん?!」

 

秋「プラウダは全てにおいて我々を上回っているでありますよ!」

 

み「み、みんな落ち着いて下さい!井波くんの言う通り、やってみないと分かりませんからっ!」

 

まずい。非常にまずい。対戦相手発表前の自信はどこへ行ったというのか!このままでは本当に負けてしまうかもしれないではないか!

応援してくれる人達...久子さんやノンナさん、その他大勢の大洗市民が、我々を信じて明日に希望を見ているというのに!

 

「やれるだけやってみようz「駄目だッ!!!」

 

「「「「「「!!!!!!」」」」」」

 

その時、河嶋さんの喝が入った。皆が一斉に黙る。

 

杏「勝たなきゃダメなんだよね」

 

み「.....」

 

「(仰る通りでございます、我が生徒会長!)」

 

桃「...西住、指示」

 

み「は、はい!それでは訓練を開始して下さい!」

 

「よし、今日も訓練するかな」

 

み「大会前だから安全には気をつけてね?」

 

「了解です!」

 

杏「あっ、2人ともー」

 

み・井「「?」」

 

杏「後で大事な話があるから、生徒会室に来て」

 

「分かりました、?」

 

一体何の用だろうか。重要な話をするのなら、限定的ではなく他の人も交えればいいのに。しかし、生徒会長にもお考えがあるのだと割り切り、スツーカに飛び乗る。今日も訓練開始だ!

 

 

———————————————————————

 

梓「井波くんお疲れー」

 

「おつかれ!後半は一緒に飛んでくれてありがとなー!」

 

時刻は午後5時。皆は帰り、みほさんと俺は生徒会室へ向かった。春だというのに、夕暮れはかなり寒かったのを覚えている。何せ次の会場はかなり北に位置しているそうだ。雪だるまを目標にして訓練するのも悪くないかもしれないな!

 

ガチャリ

 

「失礼しまーす」

 

杏「お、いらっしゃーい!」

 

み「あの、話って...?」

 

杏「まぁまぁ!ゆっくり鍋でもつつきながら話そうよ」

 

「いいんですか!ありがとうございます〜」

 

鍋なんて久しく食べていなかったので非常に嬉しいぞ!四角形のコタツの一辺にみほさんと俺で座って鍋をつつく。みほさんは何故かあまり乗り気ではなく、話を急いでいる様にも見えたので、俺から切り出してみよう。

 

「あ、それで話ってなんなんですか?」モグモグ

 

柚「こら、食べながら話しちゃダメだよー?あ、お弁当ついてるから動かないで...はい、取れた!」

 

「(あぁ〜母性を感じるんじゃぁ〜^ )」

 

み「(ものすっっっごくダラシない顔してる...ってそうじゃなかった!)」

 

み「鍋はいいですからお話を…」

 

桃「そ、そうだ!コタツは熱くないか?」

ここで流石に俺も気付いた。生徒会はなぜか話すことを躊躇っており、何かにつけて話を逸らしている。

その後も同じような会話が続いた。鍋の作り方に河嶋さんが珍しく笑っている写真、過去に行った行事の数々....

 

「今年はしないんですか?それ」

 

杏「まぁ、ちょっとね…色々とキツくて」

 

「確かに、今年は色々と変わったそうですしね」

 

桃「そうだ、我々も暇ではないんだからな」

 

恐らく新設された科目の影響による学校環境の整備・金銭のやり繰りなど、仕事が山積みなのだろう。しかしこれも良い学校運営の為だ。ここは察してあげるのがいい後輩というものだろう。

 

柚「そういえば、頼んでた航空隊のマークの件なんだけど、もうできてるかしら?」

 

「はい。色々と試行錯誤した結果、こんな感じでまとまりました」

 

【挿絵表示】

 

大会に向け、航空隊のマークを製作しておくよう言われていたので提出した。バルケンクロイツを大洗女子学園風に着色し、アニメ『Girls & Stuka』の機体マーキングのようなレイアウトにした。個人的にはかなりの自信作だ。

 

杏「おっいいじゃーん!でもやっぱ、少し黒森峰のに似てるんだね笑」

 

「今航空隊があるのは、俺に技術指導をしてくた上に2機も譲ってくれた黒森峰のおかげですからね。感謝の意味も込めてこの徽章にしました」

 

黒森峰は戦車部隊にタッツェンクロイツ、航空隊に黒白のバルケンクロイツを採用している。

 

桃「よし、それじゃこの書類は我々が預かって提出しておく」

 

書類提出が今回呼び出された理由なら、みほさんが連れてこられた理由にはならない。結局最後まで”我々”が呼び出された理由は知らされなかったものの、おいしい鍋を食べられてとても幸せだった。時間も時間なので、またみほさんと一緒に帰る。

 

「いやぁ〜プラウダ強そうですよね」

 

み「そうだね...」

 

「でも初めから諦めてたら、勝てる勝負も勝てませんよね!」

 

み「う、うん...」

 

「....?」

 

うーむ、どうもみほさんの調子がおかしい。いや、俺がハイテンションなだけなのだろうか?暫くの沈黙。何かいい話題はないかと考えるが、俺とみほさんの共通点など戦車道以外にはないように思える。

 

「(そういえば、みほさんのお姉さんにはお世話になったっけな)」

 

「そうだ!短期転校の件はどうもありがとうございました!ホント、みほさんとまほさんにはお世話になりっぱなしですよね笑」

 

み「あ、気にしなくていいよ!ホントにあれは、そのぉ...」

 

「その...なんです?」

 

み「あ、あの日、井波くんが泣きじゃくりながらグラウンド走ってるのあまりにも可哀想だったから...笑」

 

「グハッ!!!」

 

み「ちょっと井波くん!?いきなりうずくまって大丈夫?!」

 

見られた、見られたぞ!西住姉妹に見られてしまったぞ!汗と鼻水と涙を垂らしながら走るあの滑稽な姿を、みほさんにまで...というか、どんだけ俺はあの時見られてたんだ?!下手すればもっと他の人...同級生にまで見られてないだろうな?!

 

「そ、それって」

 

み「うん?」

 

「それって1年生達も知ってたりしますかね...?」

 

み「うんっ♪」

 

「うわああああぁぁぁあああぁぁぁああ!!!!」ジタバタジタバタ

 

み「で、でも恥ずかしがらなくてもいいと思うよ!」

 

「えっ?」

 

み「悔しそうに必死に走ってるのを見て、私も何かできないかなって...そしたらお姉ちゃんから短期転校の連絡が来たから...!」

 

「......」

 

み「ホントだよ?!お姉ちゃんも、死にかけちゃう程に自分を追い込める井波くんだったからこそ、期待して招待してくれたんじゃないかな?」

 

プライドがズタズタになってしまったが、この励ましで何とか持ち堪えることができた。

 

「じゃぁ1年生の皆は俺の事をなんて...?」

 

み「号()走とか優麦男(ヤサ ムギオ)、逆ガル系男子って言われてた気がする...」

 

再び地面で項垂れる。号久走も優麦男も、分からない事はない。しかし逆ガル系男子ってなんなんだ...!?そんな系統があってたまるか!

 

「うぅ、結構色んなあだ名付いてるんですね。因みにみほさんは俺の事どう思ってるんです?」

 

み「私は、そうだなぁ...『Stuka-Oberst(スツーカ大佐)』、かなっ!」

 

「おー!それはなぜかよく言われるんですよ!」

 

Oberstがどう意味か気になったが、家に帰る頃には頭から落ちていた。部屋で今の自分の立場についてじっくり考え込んだところ、ある1つの結論に辿り着いた。それは

「一方的な裸の付き合い」

である。いや待ってくれ、軽蔑するには時期尚早で、俺の気が狂った訳でもない。

つまるところ、俺はありのままの自分(泣きじゃくるお恥ずかしい姿)を沢山の人に見られたのだから、もう隠すものはない———この環境において、俺は吹っ切れてるのでは?という事である。

 

元々人間とは、こういう生き方をした方が幸せなのかもしれない。しかし利己的に生きるのもよくない。他者の幸せを阻害する者は、自分の幸せを害される覚悟がなければならない。

人の目は気にせず、自分の目に気を配る。それは人生にとって必要なモノなのではないか。それらを3時間ほど布団の中で考えた。

 

人間関係における自己の在り方まで考えさせてくれるんだ。これ以外にも、戦車道には人生の大切なモノが詰まっているに違いない。

 

っと、これは明日遅刻コースだな!

 

———————————————————————

桃「言えなかったじゃないですか.....」

 

杏「...これでいいんだよ。西住ちゃんにはのびのびやって欲しいかったからさ...」

 

柚「そ、それじゃ井波くんだけにでも...!」

 

杏「う~ん...井波くんはあんな性格だから、それを力に変えられるんだろうけど、1年生にそれって酷だと思うんだよね」

 

柚「そう、ですよね...」

 

桃「そうなると、いつ打ち明けるべきなのか迷いますね....」

 

まもなく、学園艦は北緯50度を越える。

 




敵うはずのない強敵を前にして強靭な精神は凍てつき、それまで眠っていた臆病な自分が冬眠から目を覚ます...今までに養ってきた自信も技術も、プラウダの前ではひどく滑稽に思えます。
しかし、それらは燃え盛る闘争心によって万事解決します。燃え盛る炎によって眠れる精神は息を吹き返し、臆病者は焼き払われる...そんな風に自分は考えています。

なんかポエムみたいになってしまいすいません!!!

それでは、次回も乞うご期待!
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