そういえばLaGGは当時かなり評判が悪かったみたいですね。そんな「保証付きの塗装済棺桶」に乗って活躍した方もいたそうですが...
さて今回は、そんな保証付きの塗装済棺桶に乗り、現時点でプラウダ内2位の撃墜数を誇るエースパイロットと鉢合わせてしまったお話です。
第35話、動きます。
ニ「あぁ~さっきはうちらが狙わねれぇでよかったべ...」
ア「んだなー。雲からいきなり飛び出てきてびっくりしたけろ〜」
?「.....」
ニ「あ、さっきやられたT-34の車長だべ」
?「...戦闘機が2機もいるんだから、きちんと見張ってなさいよ...」ブツブツ
ア「先輩ふてくされちゃってんな〜」
ニ「仕方ないべ、うちの航空隊は数があるけど皆練度はあんまり高くないんだそうな」
ノ「ふふ、空が心配なんですか?」
ア「の、ノンナ副隊長!」
ノ「心配なさらずに。もう少しすれば、頼れる同志が到着する予定です」
ニ「ノンナ副隊長、ちなみにその人の名前って...」
ノ「ええ、彼女の名前は...」
————ナターリヤ・シェスタコフ、我が校の誇るエースパイロットです。
「準備はいいか?」
も『バッチリもも!』
「よし、出撃だ!」
頼れる名戦闘機を護衛として迎え、間髪入れずに反復出撃を行う。
ももがーさんは物覚えが非常に良く、今や零戦を自分の思うがままに操作する事ができている。
俺は彼女を護衛機にできる安心感と、次は小隊ごと撃破してやるという心意気に燃えていた。我が機は高度1000mを飛び、ももがーさんは雲に隠れるか隠れないかの、ギリギリの高度を飛行している。これによって、大抵の場合は敵機に高度有利で仕掛ける事ができる。
目標地点の1km手前に到着する。
「やはり戦闘機の数が増えてる...無理に空戦はしなくていい、逃げきれない場合にのみ交戦しよう」
も『了解ナリ!』
コックピットから盆地を睨んでいると、1つの機影がしつこく教会上空で旋回しているのを確認できた。
「見張りか何かだろうか?」
するとその瞬間、プラウダの戦闘機から光る矢の様なモノが射出され、それは戦車部隊が立て籠もっている教会に着弾した!
「ロケット装備のヤーボ、すると奴はポリカルポーフの複葉機だな...」
きっと教会内は混乱と恐怖で支配されてしまっているだろう。これを許す訳にはいかない、直ちにこれ撃墜するよう、護衛機に伝える。
高度計は1300mを指す。再び機首を南へ向け、急降下爆撃への準備を行う。今回は流石に気付かれたようで、2機の敵戦闘機がいざ撃墜せんと、イケメン急上昇中だ。
「今だ!ヤーボを落とせ!!」
勇敢な護衛機が教会と仲間を守る為、今、ポリカルポーフに襲い掛かった!急上昇中の戦闘機達は、これに驚きすぐさま反転する。
「そろそろ頃合いだな。攻撃開始だ!」
俺も急降下を始め、目標に向けて舵を調整する。
プラウダの戦車達も学んだのか、戦車を屋内や建物の裏へ隠している。
しかしどんな手を使おうとも、空からは一目瞭然だ!
ぴ『ももがー氏が例の複葉機をやったぴよ!』
よし!全てが上手くいっているぞ!後はこの急降下爆撃さへ決まれば、プラウダの地上戦力は著しく低下し、我が校の勝利という最高のフィナーレを迎えられるに違いない!
?「......」カチッ
「.....!」グイッ
突如として、我が機の下方から曳光弾が飛んでくる。極めて正確な射撃だ、新手だろうか?しかし、急降下中の機体に後方以外から射撃を命中させるのは至難の業、恐らくまぐれに近いものだったのだろう。
?「.....」カチッ
「うおっ?!」
違う、まぐれなどではない。先ほどから左翼付近へ弾道が集中しているのを見る限り、この敵機はそこそこの技量があると確信した。
「プラウダの新手だ、下方から来ている!回避軌道を取るから機銃で応戦するんだ!」
ぴ『わ、わかった!』
Ju87系列の後部機銃は、後方の上と左右、若干ではあるが下方にも射撃はできるものの、真下へ潜り込まれれば対応が遅れてしまう。
俺は機体を右へ急旋回させ、我々を狙う存在の確認を急いだ。
ぴ『LaGGが1機、後ろに張り付いてる!』
「撃つんだぴよたんさん!早く撃ち落とせ!!」
護衛機は低空でもう1機のLaGGと空戦を行っている...つまりこの戦闘機は、我々が何とかしなければならないという事だ!
今までに学んだありとあらゆる回避軌道をここで試す。ラダーペダルを踏んで機体の軸を外したり、細かく急降下して射撃を躱し、何とかぴよたんさんの射撃位置に引きずりだそうとした。
「なんて操縦に長けたパイロットなんだ...!こうなったらあれをやるしかない!」
俺は、フラップとダイブブレーキを瞬時に開き、エンジン出力を限界まで絞り込む。体が前方へ投げ出されそうになりながらも、LaGGが前へ押し出されたのを何とか確認する。敵も速度を落とそうとしたのか、フラップを着陸まで降ろしている。我が機をよく観察している証拠だ。
間隙ができたところで地上支援!...したいところだったが、爆弾はすべてLaGGを振り切るために投棄してしまった。吊るしたままさっきの機動をすれば、失速して墜落は免れない。
俺は急降下爆撃をするように地上すれすれに突進し、増速して基地を目指すことにした。
ジェリコのラッパを吹きならすだけでも、相手の士気は削れるのだ!
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先行していたI-15(ポリカールポフの複葉機)もあっけなくスルーされ、現在は申し訳程度の対地兵装を積んで教会を攻撃中。まったく、この体たらくでは話にならないわね。
「2番機に告ぐ、あなたは随伴機を攻撃しなさい。私はあのJu87を始末するわ」
?『
私はプラウダの航空隊で最も信用できる僚機を連れ、主戦場へ到着した。さぁ、同志カチューシャのお昼寝を邪魔する者に罰を与えるとしましょう。
数分も経たずに、ヤツの後ろをとる事ができた。爆装してるJu87なんてただのカモよ。少しの高度さえあれば、こんなノロマは叩き落せるわ。
「....」カチッ
2斉射目でやっと気が付いたのか、慌てて右へ急旋回している。
「甘いわよ」グイッ
爆装した爆撃機の旋回についていけない程、プラウダの戦闘機の性能は低くない。
ほら、段々と距離が詰まってきたわ。800m...700m...600m...
「そんな回避軌道、意味なんてないのにね。サヨナラ、逆ガルのノロマさん...!?」
操縦桿の射撃トリガーを引こうとしたその瞬間、前方にいたJu87は速度を一気に落として私のLaGGと並んだ。敵のパイロットと一瞬目が合った後、状況を理解する。
「!?オバーシュートなんかさせないわ...ッ!!」
フラップを着陸まで下ろして、エンジン出力を絞る。
「なんなのッ?!速度は100キロ台なのにどうしてヤツは飛んでいられるのよ!?」
機体がゆっくり揺らめき、自分が失速寸前である事に気づく。墜落なんてごめんよ、とにかく離脱しなくちゃ...
チラッと後ろを見ると、Ju87は機体を器用に反転させて離脱していった。
爆弾を取りに帰る気なのね....また同志達が撃破されると思うと、居ても立っても居られない。でも、今は自分の事で手一杯...
「クソッ!!」
早く速度と高度を回復しなくちゃ。
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ぴ『仕掛けてきたLaGGはしばらくは戻ってこないっぽ~い』
「分かった、それじゃぁ早く帰って出撃しよう」
現在の高度は100m。天気の神様は我々を歓迎していないのか、ますます吹雪いてきている。
「そういやみほさんの言ってた通り、カイロ買っといてよかったですよね」
ぴ『まったくぴよ、乙女の体は寒さに弱いから—————————————』
——————そんな時だった
ガタガタ...ガタガタ...
「ん?エンジンの調子がおかしいな...」
シベリア程の寒さでもない限り、稼動中のエンジンが凍り付くことは考え難い。先ほどの戦闘でも被弾したわけではないし、摩訶不思議だ。
「一体どうしたんだよ相棒...」
まさかとは思いつつ、燃料メーターを確認する。
「そんな、空っぽだ...」
ぴ『い、今の何?』
「すまん、燃料を切らしたみたいだ...」
ぴ『ハァ、あなたって人はいつも肝心なところで...とにかく着陸に適した場所をさがすぴよ』
今やシュトゥーカは、ただただ地球の万有引力に従う鉄の塊となってしまった。これは非常にまずいな...
ここまで読んでくださりありがとうございます^^
致命的すぎる短所って、使い方次第で意外と強みになったりしますよね笑
ところで、皆さんにも好きなパイロットや軍人っていたりするんでしょうか?
よければコメント等で教えていただければ、資料などを元にして小説内で描きたいと考えてます^^
それでは次回も乞うご期待!