もしガルパンに航空機があったら()   作:田舎の異音

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どうも、田舎の異音です〜♪
さて今回は、集落退避行のお話。井波は無事に飛行場へ到着できるのでしょうか...?

それでは第37話、動きます。


『重要なのは...』

大洗女子学園の存続が掛かったこの状況において、航空隊隊長の俺が出撃できないのは、想い人を奪われる事以上に悔しい。

 

飛行場———飛行場に戻る事さえできれば...!

 

秋山さんとエルヴィンさん、風紀委員長と冷泉さんの斥候による地図を見ながら、いかに脱出するかのみを考える。

 

「あそこの穴から戦車で逃げるのはどうですか?」

 

ポリカールポフの複葉機が空けていった、後ろの壁穴を指さす。

 

み「それが一番現実的かもしれません」

 

磯「それなら、井波くん達を運ぶチームを決めなきゃですね!」

 

河「小柄で快速なのがいいんじゃないのか?」

 

梓「小柄で快速...38tか八九式でしょうか?」」

 

み「その2両ならあの穴を通れるかもしれない...でも、フラッグ車を1両で行動させるのは危険かも...」

 

「それでは生徒会のみなさん、よろしくお願いします!」

 

ぴ「よろしくお願いします」ペコ

 

河「はぁ...まったく、今回だけだからな!」

 

柚「で、でも飛行場まで運ぶのはかなり時間が必要だし、包囲されてる状態を戦車で抜け出すのは流石に無理なんじゃ...」

 

全員が再び深く考え込む。確かに、包囲された空間を戦車でバレずに脱出するのは不可能だ。

しかしその時、しばらく考え込んでいた我が生徒会長が口をひらいた。

 

杏「...ねぇ井波くん、燃料切らしたスツーカってもう回収されちゃった?」

 

「いえ、開けた場所に着陸させて、見つからないように木の枝でカモフラージュしてます」

 

杏「へへっ、そりゃいいねぇ~」

 

生徒会長は何かいい作戦を思いついたのか、ニヤリと笑った。

 

杏「一応聞いておくんだけどさ、ももがーちゃんの操縦の腕は確かなの?」

 

「はい、さっきも2機の戦闘機を撃墜しましたし、訓練中の事故もありません」

 

するとおもむろに無線機を手に取り、どこかへ連絡をしはじめた。

 

杏「あ、もしもしねこにゃーちゃん?ちょっとさー、頼みごとがあるんだけどね」

 

「....?」

 

杏「燃料、持ってこれないかな?」

 

「!!!」

 

どうやら生徒会長が考えているのはこういうことらしい。

まず我々が元来た場所へ走って帰る。その後燃料タンクを積んだB型のシュトゥーカが着陸し、合流。補給を済ませて飛行場へ戻るというのだ。

生徒会長がももがーさんについて聞いたのは、不整地での離着陸の難しさを予め知っていたのだろう。

 

「それいいっすねぇ!!」

 

それはまるで短い冒険のようで、男心がくすぐらてワクワクする。

万が一機体が回収されていたとしても、B型に乗り込んで帰ってしまえば出撃できるので問題ない。

 

み「ありがとうございます、角谷さん」

 

杏「いいのいいの、気にしないで~」

 

み「それでは次に、再び戦闘が始まった場合にどのように行動するかを——————」

 

 

 

 

 

 

 

 

河「よし、決まったな」

 

み「これならいけるはず...!」

 

杏「作戦名はどうする?」

 

み「う~ん...『ところてん作戦』と『カムバック作戦』にしましょう!」

 

河「わ、分かった。あと降伏時間まで何時間だ?」

 

柚「えっと...1時間半」

 

1時間半もこの状態で寒さに晒されれば、士気も下がってしまう。しかし俺とぴよたんさんはこの後すぐに戻らなければならないので、皆の為に何もできないのが悔しい。

 

梓「もう、行っちゃうの...?」

 

「ああ、帰って早く出撃しなくちゃいけない。今度は徒歩じゃなく、飛行機に乗ってここへ帰ってくる」

 

梓「あの、そのっ...げ、撃墜されないように気を付けてね///」

 

「もちろん!この試合が終わったら、また2人で飛ぼうな」

 

梓「うん...うんっ!」ニコ

 

「それじゃぁ皆さん、行ってきます!」

 

み「2人ともケガしないようにね!」

 

エ「次はフラッグ車の白旗が揚がった後で会おう、戦友よ!」

 

山「ユキオーちゃんと帰ってくるんだよー?せっかく梓が勇気出して声かけてくれたんだしさー」

 

梓「ちょっとあゆみちゃん?!」

 

杏「....井波くん」

 

「生徒会長、俺は大洗が必ず勝つと信じています。だから飛びます!あの時、ハンカチを貸して頂いてありがとうございました」ペコ

 

杏「ま、その借りはキッチリ返して貰うからねー?」ニヤニヤ

 

「もちろんです!」

 

 

我々は降りしきる雪の中を再び走り出す。我々の視界と迎える結末はどちらも不明瞭だ。しかし例え見えずとも、俺は走り続けなければならない!

『自分を見放したら、我々は負けるのだ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分ほど走って、着陸した場所へ帰ってきた。

そこには先程と変わらない、忠実なる我がシュトゥーカが悠然と佇んでいた。

 

「すまんな、こんな寒い場所に置き去りにしてしまって」

 

無線機を取って、ねこにゃーさんに連絡する。

 

「愛機は見つかった。予定通り燃料をお願いします」

 

5分も経たずしてJu87B-2が到着した。ねこにゃーさんは気を効かせてくれて、エンジンを温めるためのストーブまで運んできてくれた。

 

ストーブの周りをねこにゃーさん、ももがーさん、ぴよたんさん、シュトゥーカ、俺で囲んでしばらく温まる。

 

ね「まったく、初めての実戦飛行が後部席、しかも荷物運びなんて酷いにゃー...」

 

「仲間を助けることは、敵を倒す以上に重要な事ですよ!」

 

ね「そういわれると悪い気持ちはしないけど...」

 

ぴ「実際、ねこにゃー氏の通信は聞き取りやすくて助かってるぴよ!」

 

雪の中なのもあって、ねこにゃーさんが顔を赤らめたのはすぐに分かった。

 

 

 

 

 

———————————————————————

 

ダ「ユキオさん、しぶとく頑張っているみたいですわね。ペコ、あなたはどう思う?」

 

ペ「まだ大洗にはHe100のエースパイロットがいますし、それに彼らの急降下爆撃を連携させれば、勝機はあると思います...!」

 

ダ「ふふっ、判官贔屓かしら。でもあなたもまだまだのようね」

 

ペ「えっ?」

 

ダ「さっき少しだけ飛行場の映像が映ったわ。でもそこに...He100なんて無かったように見えるのだけれど、私の気のせいだったのかしら?」

 

ペ「それなら、きっとどこかで偵察飛行をしているのでは?」

 

ダ「いいえ、そうは思いませんわ」

 

ペ「...?つまりダージリン様は、この試合に大洗のエースはもともと参加していないと仰られたいのですか?」

 

ダ「惜しい、単にユキオさんは情報戦でプラウダに勝った、それだけの事よ」

 

ペ「ち、ちょっと待って下さい!大洗には元々すごいパイロットがいて、ユキオさんは黒森峰から大洗へ左遷されたと聞きました!情報戦とは関係ない気が...」

 

ダ「ああ、そういえばユキオさんは、サンダースとの練習試合で両校トップの撃破数だったそうですわね。実力主義の黒森峰において、どこに左遷させる理由があるのかしら...?」

 

ペ「そ、それは...」

 

ダ「あの2機のJu87も、明らかに黒森峰のもの。しかも大洗女子学園は資金不足で初期機体さえ配給されていないそう。...そして最も不思議なのが、大洗航空隊の設立はユキオさんが転校『してきた後』」

 

ペ「ちょっと待ってください!ダージリン様の話だと時系列が狂ってしまいます!その流れでいけば、大洗にはユキオさんが来る以前には航空科生はおろかHe100すら存在しない事に....!」

 

ダ「もし彼が元々大洗の生徒で、何かの縁で黒森峰に短期転校していただけならば、もし彼がプラウダ生徒のスパイ行為に気づき、嘘をついたとしたら.....?」

 

ペ「...そういう事だったんですね、やっと理解できました」

 

ダ「どうしてプラウダが攻撃機ではなく戦闘機ばかり出撃させるのかが分かったわね、ペコ。さて...そろそろ彼女たちも気づく頃ですわ」コトッ

 

 

 

 

 

———————————————————————

 

 

ノ「.....!?同志カチューシャ、少しよろしいですか」

 

カ「なによ...もう時間なの?」フワァ

 

ノ「いえ、伝令係の報告と偵察機の報告とで、かなり気になる部分があるのですが」

 

カ「なーに?まだ眠いから手短にお願いするわ」ムニャムニャ

 

ノ「実は————————————」

 

カ「.....う、うそっ、それって本当なのッ?!」

 

ノ「偵察員を現在呼び戻しているところです。到着したらもう一度検証してみますが...恐らく可能性は高いと思われます」

 

カ「このカチューシャが何でこんな失敗を...航空隊に今すぐ伝えて!降伏時間のタイムリミットになったら、攻撃機は全機出撃よ!!それじゃ、もう一回寝るわね...Zzz」

 

ノ「Да」

 

ふふ、井波さん、私たちはお互いに騙し合っていたという訳ですね。しかしプラウダは、今やあなたの思惑を見切った...この準決勝はプラウダが、同志カチューシャが勝利して閉幕を迎えるでしょう。

 

カ「...ノンナ、お願い」

 

ノ「分かりました」

 

さぁ、子守唄を歌ってあげましょう。寝る子は育つ、どんどん成長して立派な隊長になってくださいね、同志カチューシャ...

 

 

「Спи,младенец мой прекрасный,Баюшки-баю....」

 

 

 

 

 

———————————————————————

 

 

飛行場へ帰る道中、脇目もふらず同じように帰っていくIL-2Mを発見した。一体プラウダは航空機をいくつ持っているのやら...複座という事は偵察だろうか?いつから見られているのかは知らないが、帰るのならそれでいい。

ここで、俺はIL-2Mの偵察活動からいい『アイデア』を得た。予想外かつ大胆なこの作戦は、きっとプラウダ生徒を混乱させてしまうだろうが、それはさほど重要な事ではない。

もちろんケガをさせたりもしない。

 

そう———ただ少し————発想の転換である。

 

 

掛け時計は、降伏時間のタイムリミットまで残り1時間を示している。

 




子守唄を聴きながら寝た記憶が私にはもう無いのですが、正直カチューシャが羨まc(ゲフンゲフン


いつでも出撃できるようになった井波と、見えない敵に踊らされていた事に気が付いたプラウダ。決戦まで残された時間は60分。
降伏時間のタイムリミットは、大洗女子学園の寿命そのものといっても過言ではないのかもしれません。

それでは、次回も乞うご期待!
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