もしガルパンに航空機があったら()   作:田舎の異音

4 / 56
今回は蝶野教官による訓練の日のお話です!大洗の戦車乙女は初めてながら何とかやっているようですが、ユキオは大丈夫でしょうか?





『原点』

人間には、それぞれに適した睡眠時間というものがある。

 

大抵の場合、誤差が生じたりすることによって、朝起きられないこともある。

 

しかし、もし8時間睡眠が私にとって適切であればこんなにも寝起きはいいはずがない!

 

...いや、飛び起きたといった方がいいかもしれない。

 

なぜなら俺は昨日12時に寝たからである!始業は8時15分からであるため非常に事態は芳しくない!つまり冒頭は寝坊の言い訳だ!

 

「熟眠を意識しすぎて目覚ましかけ忘れちまったな!ははっ!」タタタッ!

 

 

今日も俺の大洗LIFE(おおあライフ)は慌ただしくもスタートしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

急ぎ足で向かううちに校門が見えてきた。

 

遅刻回避することによって与えられる達成感、眠気を飛ばしてくれる朝のランニングこそ、至高なのである!

 

 

 

.....ん?あそこにいるのは西住さんと全校集会でうたた寝していた人じゃないか。

 

それから校門には風紀委員!という腕章をつけたおかっぱの女子もがいる。

 

「(体育会系のオッサン教師じゃなくてよかったな...)」

 

むしろこんな学校にそんな教師がいたら、絶対に手を出すだろう。間違いない。

 

 

 

?「冷泉さん!これで連続245日の遅刻よ!」

 

?「朝は何故くるんだ...」ボソ

 

「お、おはようございまーす...」サササ

 

?「こらそこ!さりげなく入らないの!まったくもう...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

み「そっか、井波くんも寝過ごしちゃったんだね」クスクス

 

「たくさん寝ようとして目覚ましかけなかったのが間違いでしたよ」ゲンナリ

 

み「そういえば今日は教官が来る日だよね。どんな人なんだろう?」

 

「やっぱり教官だからムキムキの男の人がくるかもですね笑」

 

み「楽しみだね!」

 

その時、大型のジェット機が低空で進入してくるのが見えた。大洗は学園艦だが空母ではなかったんじゃないのか?!

 

「...!みほさん!危ないから伏せろ!!」ガバッ

 

み「え、ええぇっ?!///」

 

ジェット機に大きな口が空いたかと思うと、とてつもない鉄の塊がパラシュートを目いっぱい広げながら降下していった。

 

頭下げてなかったら直撃したし、数メートル横にいたら下敷きになっていたぞ!

 

「この野郎!どこで戦車降ろしてるんだーッ!」ギュッ

 

み「い、井波くぅん...///」プルプル

 

「あ!すいません、わざとじゃなくて、その...」アセアセ

 

み「わ、わかってるよ!気にしないでね、今のは教官の戦車みたいだからいこっか!」

 

「(この人肝据わってるんちゃうか...)」

 

危うく戦車に潰されかかった後に、遅刻を思い出して歩いていく人はこの人だけだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蝶「よろしくね!戦車道は初めての人が多いと聞いていますが、一緒に頑張りましょう!」

 

今日来た教官は、蝶野亜美(ちょうのあみ)さんというらしい。

 

見たからに男勝りな眼差しに口調と、スラリとした身体は、強さの他に美しさすら感じた。

 

蝶「あれ?西住師範のお嬢様じゃありませんの?」

 

み「えっ...」

 

あの反応、あまり嬉しくなさそうだ。でも西住師範とは誰の事だろう?戦車道連盟のお偉いさんか??

 

蝶「師範にはお世話になっております。お姉様は元気かしら?」

 

み「あ、えーっと...」

 

蝶野さんのマシンガンのような会話に、我が先輩が困っているではないか!

 

動かねばなるまい。

 

「はい教官!戦車や航空機を相手にするときに日頃から心がけておくべき事は何でしょうか!」

 

蝶「う~ん...やっぱり日々の鍛錬と強気の姿勢よね!撃破率120%を目指して頑張って頂戴!」

 

「な、なるほど!分かりました!」

 

沙「ありがとうね、井波くん!」コソコソ

 

「ど、どうしたしまし、て?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今日の訓練は蝶野教官の決定で実践訓練...つまりチーム内対戦をやるらしい!

 

諸君にもこの気持ちの高ぶりが伝わっているだろうか!

 

想像してほしい、緑豊かな森林を、せせらぐ川のほとりを、心まで透き通るような広い平野を戦車で走破する、何事にもかえがたいこの快感を!!

 

急がば回れとはよく言うが、昨日一生懸命戦車を探した甲斐があったというものだ!

 

 

 

蝶「はい!みんな早く乗り込んで!」パンッ

 

そうか!戦車の掃除のときに割り振られたのが、今回乗る車両ということだな!

 

「(となると、俺はM3・Lee中戦車に乗るはずだが...)」

 

梓「見てよ!あゆみが帰ったあとにみんなで掃除したんだ♪」

 

あ「見つけたときは真っ黒だったのに、すごいな!」

 

「(あそこはもう決まったらしい。西住さんの四号戦車も発進し始めた。後進こそしているが...)」

 

なるほど、これが体育のグループワークで一人になった時の気持ちか!

 

だとすれば清々しいな!...教官に聞いてみるか。

 

 

「教官!自分は航空科なのですが、今日はどんな訓練をすべきでしょうか?」

 

蝶「あなた航空科だったの?!私は戦車教導隊だから航空機には詳しくないけれど...とりあえず支給されたものを見せてくれるかしら?」

 

「え?航空機って買うものじゃないんですか?」

 

蝶「いいえ、新設された学科だから、普通の学校には支給されてるはずなんだけれど...それなら仕方ないわね!」

 

「(仕方ない...?普通は支給される...?どういう事だ?)」

 

蝶「無い物は無い!取り敢えず今日は体力づくりね!グラウンド100周ランニングよ!」

 

「えっ?...ええぇぇぇ??!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クソ...前が霞んでみえない...これでやっと30周か.......

 

20周は走った時点で蝶野教官がAチーム、つまり西住さんの戦車が勝利したと伝えてくれた。

 

話を聞く限り西住さんは戦車道を昔やっていたようだが、その他は初心者ではないか!!

 

それだけではない!今頃黒森峰もサンダースも、プラウダでさえ実戦練習で空を飛んでいるそうじゃないか!!

 

俺は後れを取っている。

 

 

やるせない悔しさが込み上げてくる...

 

 

脚が限界に近付いている...

 

 

汗と悔し涙で前が見えなくなる...

 

 

 

 

 

 

 

80周走ったところで、流石に梓さんが心配して声をかけてくれたが、ここでやめては何かに負ける気がする。

何もできない以上、今はこれに全力を注いで実行する他ない!

折角苦労して入学したというのに、このままではだめだ!試合でも何もできずに墜とされてしまうぞ!

葛藤・身体的限界・劣等感と戦いながら、みじめに走り続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕暮れがグラウンドを赤く染めるころ、俺は99周目に入った。

歩くより遅いスピードで、俺は前に進んでいる。

脚の限界と感覚は、何周も前に置いてきてしまったようだ。

 

 

 

 

...いよいよ最後のカーブ。ちょうど夕日が顔に当たると同時に俺は決意した。

 

 

 

「....人一倍訓練しよう.....人一倍空へ飛ぼう...そして...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジェット機が支給されるくらい...有名、に...してや、る....」バタッ

 

 

 

いつの時代も、血生くさい努力は環境を変える。

 

俺はそう信じている。

 




自分はこういう逆境に立ち向かうのが大好きで、勉強の際にも苦手科目から取り掛かっていました笑
さて、屈辱的な状況下の井波ユキオに、救いはあるのでしょうか?

次回に乞うご期待、です!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。