いよいよクライマックスです!
マウスよりも仲間を選んだユキオ。当然ながらその代償は、高くついてしまいます。
みほさんの真似をするのは簡単です。しかし、結果まで受け入れることは簡単ではありません。
果たして、ユキオはこの試合で何を学ぶのでしょうか?
それでは第46話、うごきます!
飛行場へ帰ってきた時、無線で耐えがたい事実が告げられた。
杏『我々の役目は終わりだなー、』
河『西住隊長、井波「隊長」』
み『すみません...』
「.......」
柚『謝る必要ないよ!』
河『いい作戦だった。井波も、あんまり気負うなよ』
杏『あとは任せたよ、2人とも!』
河『頼むぞ!』
柚『ファイト!』
マイクを手に取っていたが、なんと返事すればよいか分からなかった。
あの怪物を撃破するために我が生徒会長達は、はるかに体格の劣るその身を賭したのである。
どれだけ怖かったか、恐ろしかったか。
そして何より、この試合から自分たちが退場してしまうことに対する歯がゆさ、寂しさ。
到底これらは計り知れない。
(うまくいけば、みほさん達が被害なしでマウスを撃破するんじゃないか)
そう思っていた自分がいたせいで、今、このどうしようもない感情に襲われている。
ももがーさんを助けたのは、『道理』として間違っていなかった。
しかし、大洗女子学園危急存亡の危機において、それは『判断』として間違っていたのではないか。
俺は倉庫の隅で、マフラーを濡らした。
この姿は、航空隊の誰にも見せてはならない、絶対にだ。
...こんな感情に襲われたのは初めてだ。まるで『何か』がしつこく迫ってくるような感じ。
この『何か』とは、漠とした理解のことであり、何があろうと戦車道の物差しになるのは人間であり、意思が勝利の鍵であるということだ!
「(みほさんは、きっと今までにもこんな経験を...よし。ならば尚更、ここで負けるわけにはいかない)」
今この時を以て、我がJu87の爆弾が果たすべき役目が増えた。
それは、フラッグ車を守ること、大洗の明日を守ること、そして......
西住さんの『戦車道』が間違っていないことの証明だ!
ね「ユキオ氏、HS地点の0017にてみほさんが敵フラッグ車と直接対決中みたい。増援はレオポンが食い止めてるけど、時間の問題かも......どうするの、隊長」
ねこにゃーさん、ももがーさん、ぴよたんさん、そしてこれまで我が愛機を守ってくれた自動車部の皆の視線が、俺へと集められる。
聞くまでもない!
どうするべきかなんて、昨日と今日でそう急に変わってたまるものか!
「全機発進!全機我に続け!明日も飛ぶために今から飛ぶぞ!」
「「「「「おー!!!!」」」」」
【HS地点、0017にて】
ナ『こちらレオポン。なんかね、黒高がワイヤーでポルシェをどかそうとしてるみたいだから気を付けてねー。ていうかアンタたち、それは回収車の仕事だってー!』
沙「みぽりん!敵が近づいてるから急いで!」
秋「ポルシェが撤去された瞬間、ティーガーⅡやヤークトパンターが大勢押し寄せてくるであります!」
麻「そうなれば袋のネズミだな」
華「先ほどから鼬ごっこで埒が明きませんね」
み「一撃を交わしてその隙に距離を詰められたら...そういえば井波くんたちから連絡は?」
沙「それがさっきから全然応答ないの!最低1人は飛行場にいるはずなのに!」
華「まさか、全機...」
み「あと少し....あとちょっとでもいいから1対1の時間があれば...!」
ズドオォォォォン
沙「きゃあっ!」
秋「さ、沙織殿!」
み「沙織さん!大丈夫?」
沙「いてて、ちょっとバランス崩しただけだから平気だよっ!あ、ケータイ落としちゃった」
麻「あとにしろ。掴まってないと次のカーブでまた転ぶぞ」
華「落とした衝撃で開いてしまいましたね....って、あら?井波さんからメールが入ってます」
み「停止!!...全速後退!」
秋「おっとと!なんて書いているでありますか?」
華「沙織さん、見てもいいですか?」
沙「いいよいいよ早く見ちゃって!」
華「......『ハナサク、ハナサク』?」
み「....!」
秋「....来てくれたみたいですね、西住殿」
エ「どんだけ重いのよこの戦車!クーゲルとケーリアン、あんたたちも手伝いなさいな!」
?『し、しかし対空の見張り番が...』
エ「こんな市街地で爆撃なんてできるもんですか!いそいで!」
ナ「やば、動いてきちゃったよー....このままだとヤバイね」
ホ「ねえ、いま建物の間に何か通り過ぎなかった?」
ナ「んーとどれどれー....ははっ!ほんと懲りない男だなー君は!いいから気にしないで爆撃しちゃってねー!」
?『こちらケーリアン、超低空にて接近する敵機を発見!』
エ「なんですって?機種の特定を急いで!味方機かもしれないわ」
?『.......え』
エ「ちょっと、どーしたの?」
?『うそよ...あっ、あれは.....ッ!』
Die Stuka!
エ「た、対空車両弾幕をいそいで!」
?『全車もうやってます!!』
エ「じゃあなんで当たらないのよ!」
?『榴弾なので手前の建物ですべて炸裂してるんです!』
エ「なにがサーメットコアよ!!あんな旧式機も堕とせないで何がドイツの科学は世界一よ!!」
?『こちらクーゲルブリッツ!敵機6時方向!距離1キロまで迫る!!』
?『まさか、彼には仕組みが分かっているというの...?!』
エ『そんな訳ないでしょッ!』
?『敵機、距離500にて急上昇!反転します!!』
?『ひぃっ!もうそんな近くまで!?』
?『あ、あの機動はまさか...!?』
エ「ユキオがやる事なんて決まってるでしょ!全員ハッチを閉めて掴まりなさいッ!!!」
ドオオオオォォォォォン.....
蝶野『黒森峰女学園、パンター2両、ヤークトパンター、ラング、ティーガーⅡ走行不能!』
沙「みぽりん!」
み「うん、ここで勝負を決めます!優花里さんは―――――」
「頼みましたよ、みなさん」
突入前の上昇中、機体は黒森峰の恐るべき薄殻榴弾を多数食らった。
いつ撃墜判定が下っても不思議じゃない中、忠実なる我がJu87は
ゆっくりと高度が下がっていく。
「思えば、こんな旧式機にとんでもない無理をさせたもんだ。ありがとう、お前でよかった。しばらく、ゆっくり休んでくれよ」
そして今、我々を安全に着陸させるという最後の役目を果たした。
翼端から滴るスモークが草原にひろがってゆき、コックピットに優しい風が舞い込む。
シュトゥーカは、静かに眠りについた。
お読みいただきありがとうございました!
スツーカが低空で突撃するシーンは、『永遠の0』のラストシーンをイメージしました。
臨場感が出るように、あえて攻撃される側からの視点にしています...!
さて、次回からは少し平和?になると思います笑
それでは次回も乞うご期待!