さて、前回から突然短期入学することになった井波ユキオ。
黒森峰で上手くやっていけるのでしょうか?
それでは5話、動きます。
入学して早々に短期転校とは、我ながらいい御身分である。
生徒会長に、叱責を受けないか怯えながら伝えてみると、
杏「お、いーねー!ちゃんと訓練して帰ってきてねー?」
である。小山柚子(生徒会長副会長)さんには、「辛かったらいつでも帰ってきてね?」と両手を握って言われてしまった。
しかし河嶋桃さんが
桃「いや、好きならそこに居たって構わない。余計な事を言うな。」
と返したから驚きだ。
まず短期転校とはなんなのだろうか?俺なりに考え出した結果だが、恐らく生徒の強化合宿ではないかと思う。
要するに、強豪校に生徒を短期間鍛えてもらい、その報酬として何かをあげる。win-winではないか!
...と思っていたが、調べてみるとよく分かった。
特に待遇も良くなければ、むしろ嫌がられることすらあるらしい。
「転校生といったら、普通喜ぶものじゃないのか?」
ーーーーまさかお払い箱なのか?これは左遷とも取れるぞ。
.....いや、今は〝なぜ転校になったか〟よりも〝これからどうするか〟の方が大事である。
願わくば西住さんを、短期転校を打診してくれたあの時より、もっと笑顔にさせてあげようではないか!
きっと機体を自由に操れるまでになれば、戦力は大幅上昇どころか大会での好成績も夢ではない。西住さんも喜ぶはずだ!
『頼りにしてるよ!』その言葉が頭でグルグルと回り、心なしか身体が温かくなっていくのを感じた。
そして翌日、黒森峰女学園より迎えのヘリコプターが到着した。
2枚のプロペラが回っていて、これといった攻撃兵装は確認できない。
早く乗りなさいよ、と銀髪の操縦手が俺を急かす。わ、悪かったよ。
簡単にではあるが、梓さんや西住さんら先輩方にも挨拶は済ませてきた。
誰だっけ?と必死で思い出す先輩もいたが、まぁ仕方あるまい。
その後ヘリは何回か補給をしつつ、かなりの時間を掛けて九州地方までやってきた。
「母校はどこなんですか?」
「熊本よ。普段は天草灘で停泊してるわ。」
「そうなんですか。学園艦には休日の時間を潰せる施設とかあるんですか?」
「何を言ってるの?そんなもの無いし、遊びたいなら帰りなさいな」
「さ、左様でございますか...」
聞き方が不味かったようだ。俺のいう娯楽施設とは、ゲームセンターやショッピングモールなどの類でなく、プールやスポーツジムだ。
ヘリコプター内が険悪な雰囲気に包まれる。
えっこれ俺が悪いのか
まあ、無論か。
「さ、着いたから早く降りて頂戴」
荷物を両手に無理やり抱えて、急いで飛び降りる。
彼女に何か悪い事でもしただろうか?
「さて、寮を探すか....ってうお!?」
ヘリが飛び立った後、その向こう側には2列横隊を組んだ生徒がいた。
プロペラの風圧で1mmも微動だにしないのは、訓練されているからに違いない。
?「よく来たな。我々は君を歓迎する。」スッ
「こちらこそお招き頂きありがとうございます。って、あなたはあの時の...」グッ
まずは握手を交わす。
ま「あの時は名乗れなくてすまなかった。私は西住まほ。ここ黒森峰女学園の隊長だ。」
「西住って事は、みほさんの...」
ま「ああ。しかしその話はここでは控えるようにして欲しい。理由はいずれ分かる」
「分かりました...」
ま「入学早々すまないな。それでは自己紹介を始めようか...」
姉の方の西住さんはスゥっと息を吸ったかと思えば、
「
と迫力のある声で怒鳴る。
軍靴のかかとを揃える音が「ザッ!」っとそれに応える。
美しい音のキャッチボールだ、不意に俺はそう思った。
ま「今日から我が黒森峰女学園に短期入学することになった井波ユキオだ!彼は航空科であり、技術と訓練を誰よりも欲している!!航空隊諸君には、彼を十二分に鍛え上げてもらう!」
「「「「「
ま「私からは以上だ。ユキオからも自己紹介を頼む」
姉の方の西住さんの、周囲を圧倒する話し方に俺も例外なくそうされていた故、いきなり自己紹介せよと言われれば当然俺も焦る。
例を挙げるとするならば、席順で問題を解答するはずが、いきなり自分の番になり焦ってしまう。と言ったところだろうか。
そんな事より自己紹介をせねばな!
「井波ユキオ、一年生です。大洗女子学園から来ました。航空機にはまだ乗った事はありませんが、遅れを取らぬよう必死で努力しますのでよろしくお願いします!」ペコッ
ま「ありがとう。それでは解散ッ!ユキオも早速寮に荷物を運んでくれ。人手が必要なら生徒を使うといい」
ありがとうございます、と一礼をして入寮する。
....壁は純白で手触りもとく、ベッドにはふかふかの布団が敷かれてる。
私は無理やり荷物を抱えていたが為に痺れた手を開放し、ベッドに横たわって物思いにふける。
「(まさかあの時の人が西住さんのお姉さんだったなんてなぁ...不思議な縁もあるもんだ。)」
人生は何があるか分からない。
一体誰が実戦練習でグラウンド100周走ったら、黒森峰の隊長と出会い、その元へ短期転校する事になると予想できただろうか?
見えない何かの力が働いているかもしれないが、どの道俺にそれを操る能力はない。
ただ一つできる事があるとすれば、早速この後ロードワークに出かける事ではないだろうか!
こうして俺の黒森峰女学園生としての日常が始まった。
以上、5話でした!
さて、やっとまともな訓練が受けられるようになった主人公ですが、航空隊内でも何かが待ってる予感がします。
次回もお楽しみに!お読みいただきありがとうございました