ウルトラマンメテオ   作:リョウギ

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Ep.01

「ーでは、また明日!」

 

電波変換通信機のスイッチを切り、一人の女性が伸びをする

機材の周りには色々な小物や雑貨が並べられ、こじんまりしているが可愛らしい空間になっていた

 

女性ー夕凪(ゆうなぎ) 星乃(ほしの)はこの空間が大好きだ

 

機材の並ぶ場所の背後をスライドさせ、外に出る。どうやら、この空間はミニバンの後部座席だったらしい

 

外に降りた星乃は遥か彼方の方を見上げる

そこには見渡す限りの星空が広がっていた

 

ふと、空を横切る流星を見つけ、星乃は思わず手を合わせて目を瞑る

 

「……って、特にお願い事もないのについやっちゃうんだよね」

 

星乃はミニバンの運転席に腰掛け、シートを倒す

 

 

「……明日も、いい普通の1日でありますように」

 

 

目を閉じ、そのまま眠りに落ちていく星乃

ミニバンの上では、静かに星が輝いていた

 

⭐︎

 

灰色の車体にカラフルなペイントがされたミニバンが廃墟の中を走っていく

 

「ここら辺ももう調べつくしちゃってるよねぇ……」

 

あたりの瓦礫や、崩壊して植物に覆われた建物を見渡し、何か残っているものはないだろうかと探し続ける

 

ミニバンを止めて廃墟の中を上がっていく

 

あるアパートの一室だったのだろう。よくある家庭のリビングが意外なほど綺麗に残っている

冷蔵庫はもう空っぽ。3日ほど前に星乃がいただいたことを覚えている

 

書斎のように使われていた部屋の本棚もほぼ空っぽ

いくつか残っていた本のうち、ぱらぱらめくって中身を確かめながら、抱えられるだけを抱えて去る

 

ふと、帰り際に靴箱の上に置かれた小さな猫の置物が目に入る

 

「うーん、多分そろそろ移動しないとだし。キミも一緒に行こうか」

 

星乃が猫の置物を手に取り、軽くホコリを払って上着のポケットにしまう

 

部屋から出て、見渡す限りに広がる景色を見た

かつては多くの人が行き交う大都会・東京だった場所

 

 

そこは今や、廃墟になり、植物がそこかしこに生い茂っていた

所々、大きく破壊された建造物が見えるも、いくつかは形を留めており、まるで生きていた時間がそのまま止まっているようにも見える静寂が広がっていた

 

 

見慣れた風景を見渡し、一息ついて星乃は階段を降っていく

 

 

目を覚ましたのは5年ほど前だったか

 

医療施設のコールドスリープカプセルから目を覚まして、割れるように痛い頭を押さえながら見た外の景色は今とよく似ていた

 

眠りにつく前に覚えていたことは、世界中がある災害に見舞われてパニックになっていたこと。日本も、その災害に襲われて父と母が私を逃すためにコールドスリープ装置に私を押し込んだこと

 

 

『生きなさい、星乃』

『私たちも、きっと一緒だから』

 

 

その言葉を思い出し、自分のカプセルの近くを探す

父が勤めていた病院は、見るも無惨に半壊し、星乃が眠っていたカプセルは奇跡的に無事だった

 

崩れている瓦礫の中、グシャグシャに割れ砕けた自分のものとよく似たカプセルの残骸を何十個も見つけた

 

そのうち二つには、見知った両親の名前が書いてあった

 

 

今思い出すと、あの時星乃は一生分泣いたのだろうと思っている

 

 

ミニバンの後部座席に拾った荷物を詰め込み、猫の置物は助手席に置いたクマのぬいぐるみに持ってもらう形にし、星乃はエンジンを始動して走り出した

 

 

星乃以外の地球人がいなくなって久しい地球の上

ミニバンのエンジンと、星乃の鼻歌、鳥の鳴き声だけが響いていた

 

⭐︎

 

かつてコンビニエンスストアと呼ばれていた建物に帰り着いた星乃は運転席から降りて伸びをし、駐車場に並べて止めていた別のミニバンに近づく

 

こちらはソーラーパネルとバッテリーを接続しており、簡易的な電源確保装置としていた

 

「うん、問題なし。蓄電も十分そうだからまだ不安は無さそうかな」

 

店内に入ると、入り口近くの本が積まれた棚に今日集めた本を並べて、奥のバックヤードに入る

やかんに入れたお湯を沸かすと、カップ麺を一つ選んで手に取り、お湯を注ぐ

 

近くのテレビの電源を入れ、DVDプレイヤーを付ける

昨日途中まで見ていた恋愛モノの映画が始まったあたりでカップ麺が出来上がり、食べ始める

 

 

二人の男女が笑顔で会話するシーン

お互いにお互いをどれだけ愛しているのか伝え合うシーン

結ばれて結婚式を挙げるシーン

 

 

興味深く星乃はそれを眺めていた

 

「愛……かぁ……」

 

食べ終わったカップ麺のゴミを片付け、拾ってきた本のいくつかを開いてみながら星乃は一人考える

 

「この前の放送では地球が愛してるモノとは言ったけど、さっきの人たちの愛ってのとはまた違うよね多分…」

 

集めてきた本の中の漫画から恋愛漫画を引っ張り出して見比べる

 

「……まぁ、私には縁のない話かなぁ。なんせこの星にはもう私一人きりだし」

 

あはは、と冗談めかして笑って、レジの奥に引っ張り込んでいたソファに寝転がる

 

 

目を覚ましてから、体力を戻して数日

重い体を引きずって色々な通信やネットワークを試してみた

 

ネットワークはほぼ不通

テレビはどこのチャンネルも砂嵐

 

友達、近所の知り合い、大学時代の恩師、警察、消防、試せる番号は全部試して、結局どこにも通じなかった

 

コレだけ試したら嫌でもわかる

 

 

地球には、私しかいなくなってしまったのだと

 

 

電話が繋がらないだけならまだ自分の側だけかもと思えた

だが、少しだけ繋がったネットワークで見たネットニュースで確信した

 

どのニュースも3年は更新が無いのだから

 

絶望だった。目が覚めたら一人きり

 

でも、世界はそれだけの不幸で満足はしてくれなかった

 

⭐︎

 

 

ードズンッ!!!

 

 

大地を揺るがす音に飛び起きる

いつの間にか眠っていたことに気づいた星乃は、すぐさまソファから離れてコンビニを飛び出して双眼鏡で遠くを見る

 

 

ーギャオォォォォォォォォォン!!!

ーグァァァウゥゥゥゥゥゥッ!!!

 

 

ここまで響く大音量

 

夜闇がかかりつつあった廃墟で2つほど巨体が蠢いていた

 

「ゴモラと……シルバゴン?うわぁ、凶暴なのばっかり…」

 

星乃は駐車場の中央に仕込んでいたデバイスのスイッチを入れる

デバイスから放たれた量子からバリアが展開され、コンビニと駐車場を覆い尽くす

 

自衛隊か何かの施設からもらってきた対怪獣用のフィールドバリア

コレが無い時は何度か車を踏み潰されたこともあった

 

念の為コンビニの照明も落とし、店内に戻る

 

 

人間たちがいなくなった一番の原因たる災害ーそれがこの怪獣たち

 

 

星乃が眠りにつく前にも怪獣たちは世界各地で出現が報告され、数を日に日に増していっていた

 

自衛隊などが対処していたのだが、それでも街の破壊は止まらず、廃墟となったままの建物も少なくなかったのを覚えている

 

 

目を覚ました地球は、その前よりも怪獣たちが増加し、正に怪獣の無法地帯と化していた

 

 

「……しばらくはここで大人しくしとかなきゃかなぁ…」

 

独りごちて、バックヤードに用意した電波送信機に向かう

ミニバンの後部座席にも用意していたのと同じものだった

 

デバイスの電源を入れてマイクのスイッチを入れる

 

 

「こんにちは、ハロー、はじめまして!」

 

「地球より夕凪 星乃が発信しています!」

「初めて聞いてくれた人、よろしく!いつも聞いてくれている人がいるなら…いつもありがとうございます!」

 

 

地球にただ一人と知って、夕凪 星乃が見つけた日課の一つがこの「放送」だった

 

キャンプを趣味にしていたりした経験から、色々なものを集めて生活拠点を作っていくうち、自衛隊が使っていた通信電波装置をもらってはじめたこの放送は、宇宙に向けて地球のことを伝えるためのものだった

 

 

「今日は1月17日。記念日は……おむすび記念日!」

「やはり日本人ですから、おむすびは私も大好きです!特に梅干しおにぎりが美味しいんですよ〜程よく酸っぱくて!」

 

 

多分この星がここからまた、人々で溢れることは無いのだろう

このままなら、宇宙の片隅で忘れ去られて、自分も死んでそれで終わり

 

正直なところ、この星のことをどう思うとか、そんな壮大なことは星乃自身知らなかった

 

ただ、「それは嫌だなぁ」と思ったのだ

 

 

「しんどい時とか、疲れた時は、とにかくおにぎりでもなんでもお腹いっぱい食べたら、ああ、明日も生きてみようってなれる気がしませんか?」

「私も、疲れた時はたくさん食べちゃいます!その分いっぱい動くから、カロリーなんて気にしない!」

 

 

どんな道を辿ったのか知らない

なんで滅んだかわからない

 

でも、ここまできた星のことを誰も覚えてくれないのは嫌だなぁと思った。ただそれだけ

 

 

「コレを聞いてくれている誰かが地球にくることがあったなら、私が代表しておにぎりをいっぱいご馳走しますよ!お米はまだたくさん備蓄できてますから!」

 

 

意味があるかどうかも定かじゃない

そんな、終末後の世界の戯れ

 

 

「宇宙の片隅の腹ペコが、こんな話してたなぁとか、少しでも覚えてくれていたら……私はとても嬉しいです」

 

 

こんな世界でも、星乃は死のうとは思わなかった

両親が守ってくれたから。それに、このまま死んだら、なんだか負けた気がしてしまうからだ

 

だから星乃は、今日も何くそと胸を張って生きる

生きたいから生きる

 

そう、自分へのエールも込めて、放送を締める

 

 

「ーそれでは、また明日!」

 

 

⭐︎

 

差し込む朝日に目を擦り、体を起こす

貯めていた水で顔を洗って歯を磨き、いつもの着慣れた服に着替えて伸びをする

 

「今日は…いちごジャムかな?」

 

食料倉庫からパンを取り出しトースターに突っ込んでできあがりを待つ

その間にコーヒーを入れて一杯飲む

 

朝食を食べ終えた後、外の様子を確認する

 

近くの廃墟を数匹の怪獣がうろついていたが、暴れたりこちらに来る様子はなかった

 

電力のためにもバリア装置の電源は切り、コンビニに引き上げて蓄えた本の中から小説を取り出して読みだす

 

怪獣たちに対抗できるだけの武器は一応確保しているが、それはあくまでも追い払う程度のもの。中型程度ならまだしも、ゴモラやシルバゴンみたいな大型の凶暴な怪獣からは流石に逃げるか、息を潜めて離れるのを待つしか対抗策はない

 

そういう時は、星乃は本を読み込むことにしている

 

皮肉にも、こんなに本を読む時間が手に入ったのは世界がこんなになってしまったおかげだろう

 

そんなゆっくりとした時間を過ごしていた星乃だが、異音を聴き取って顔を上げる

 

 

ーガシャンッ!!!

 

 

それが速いか、コンビニの自動ドアを蹴散らして巨体が入ってくる

 

ーキィィィィィィィ…クァクァクァクァ…

 

カチカチと耳障りな鳴き声を鳴らしながら入ってきたのはカマキリのような姿をした中型怪獣

 

「マンティリス…!!」

 

ーギィィィィィィィィッ!!!

 

首を回して星乃を見つけたマンティリスが口を三叉に開いて咆哮する

 

即座に近くに置いていた手榴弾のピンを抜いて投げつけ、耳を塞ぐ

 

衝撃音と爆風に吹き飛ばされ、体が半分ほど千切れとんだマンティリスがぴくぴくと泡を吹きながら痙攣する

 

すぐさまショットガンなどを抱えて駐車場に停めていたミニバンに乗り込む

 

その時に素早く周囲を見渡すと、先ほどのと同サイズのマンティリスが3体ほど寄ってきていた

 

「嫌なヤツらに見つかった…!ゴモラたちに引っ付いていたの!?」

 

ミニバンを飛ばすが、その後方から羽を広げたマンティリスが追い縋ってくる。そのうち一体は地面を走りながら、羽を擦り合わせて特徴的な音を鳴らしていた

 

自衛隊基地などのファイルから怪獣たちの名前や基本的なデータは手に入れていたが、その中でもマンティリスには遭遇したくないと思っていた

 

マンティリスの厄介なところは二つ

一つは電波を視認して襲ってくるところ。通信装備などの都合上、星乃はマンティリスにとって恰好のエサでしかない

もう一つは、ハチのように統率のとれた行動をし、必ず大型のリーダー個体を伴っていること

 

ーギィィィィィィィィッ!!!

ークァクァクァクァクァ!!!

 

耳障りな咆哮を上げる2体の追従を振り切るため、そしてもう一つの目的のために廃墟となった発電施設へと入り、ミニバンから一旦降りる

 

「こっちよ!!!」

 

壊れたラジカセのスイッチを入れて電波を放出し、それを使ってマンティリスたちを引き寄せる

 

ーキュイィィィィィィッ!!!

 

咆哮したマンティリスが鎌を振り上げ、星乃に襲いかかる

 

寸前で飛び込みして回避するが、袖口が切り裂かれ、薄く裂けた皮膚から血が滲む

 

「ーッ!!」

 

駆け出した星乃を追ってマンティリスが更に突進する

 

「引っかかったわね!」

 

近くのロープを斬り落とす

 

下がってきた金網に衝突したマンティリスの全身に火花が散り、焦げ臭いにおいが辺りに充満する

 

焦げて落ちた個体に遮られていたもう一匹に向けてすかさずショットガンを乱発する

 

放たれた弾にマンティリスがズタズタに引き裂かれて墜落する

 

ほっと一息吐き出し、胸を撫で下ろす星乃

 

その時、大きく大地が鳴動して星乃がよろめく

 

「ー来た……ッ」

 

発電施設の半壊した屋根から大型のマンティリスの顔が覗く

 

 

ーギィィィィィィィィィィッ!!!

 

 

大型のマンティリスが両手の大鎌を裂け目に突っ込んで引き裂く

 

そのままこちらに迫ってくる大型マンティリスを引きつけるように走る

 

(このまままっすぐ行けば……あった!!!)

 

目印に立てていた旗が目に止まる

 

怪獣に襲われた時の備えはいくつか用意していた

そのうちの一つが、自衛隊が用意していた対怪獣用大型地雷。近くの駐屯地に一個だけだが生きていたものがあったのを見つけて、なんとか車で牽引したりして地面に埋めていたのだ

 

一個ではゴモラとかシルバゴンのような頑丈な怪獣は倒せやしない

だが、マンティリスのような昆虫怪獣なら、再起不能にすることもできるはず

 

地雷を飛び越えてしばらく離れ、大型マンティリスに向き直る

 

バキバキと施設を壊しながら迫る大型マンティリス

あと一歩、そこで地雷が爆発する

 

 

ーその寸前でマンティリスは脚を止めた

 

 

「えー」

 

マンティリスはしばらく地面を凝視すると、地雷が埋まっていた場所に正確に鎌を突き立てる

 

思わず飛び退くが早いか、地雷が盛大な爆発し、あまりの爆風に星乃の小さな体が吹き飛ばされる

 

そのまま地面を転がり、金属の柱に強かに背中を撃ちつける

 

「かはっ!?」

 

肺の中の空気を吐き出し、ゲホゲホと星乃が咳き込む

 

朦朧としながら星乃はマンティリスを見上げる

爆発に巻き込まれながらも、硬質な鎌は傷一つついていない

 

「けほっ…地雷から放出されてた、微弱な……電波を、見たの…」

 

ギリ、と星乃が唇を噛みながら、共に吹き飛ばされたショットガンに手を伸ばす

 

そのショットガンに刃が突き刺さる

 

ーキィィィィィィィッ!!!

 

残っていた三匹目の兵隊マンティリスが三叉の口を広げ、星乃を見下ろしながら咆哮する

 

「ーッ!?」

 

立ち上がろうとして足がもつれ、足首を捻って転んでしまう

 

尻餅をついたまま振り下ろされる鎌を避けて後ずさるが、壁にぶつかってしまう

 

ークァクァクァクァ……

 

兵隊マンティリスが両腕の鎌を舐めながらこちらに迫ってくる

 

星乃はなんとか立ち上がろうとするが、足に力が入らない

 

 

死にたくない

死ぬわけにはいかない

 

 

それでどうなるの?

 

 

ドクン、と心臓が跳ねる

 

このまま生きていく意味はあるの?

 

ーやめて

 

誰も生きてない。いつか一人で死ぬだけなのに?

 

ーやめて…

 

大丈夫、いつかが今になるだけなんだから

 

 

「やめて……ッ!!!」

 

 

死にたくない。死ねない

でも、体に力が入ってくれない

 

心じゃなくて、体が諦めてしまっている

心の中でもきっともうわかってる

 

 

自分のしていることに意味なんかない

自分が生きていることに、意味なんかないんだ

 

 

ぎゅっとポーチに入れていた小型通信端末を握りしめる

 

「………誰か、たすけて」

 

絞り出すような、か細い声が漏れる

誰にも届きやしない。マンティリスにエサの在処を教えるだけの電波がどこかに飛んでいくだけ

 

ーキィィィィィィッ!!!

 

兵隊マンティリスが鎌を振り上げる

目の前に死が迫っていた

 

 

ーあぁ、悔しいなぁ……

 

 

星乃がぎゅっと目を瞑る

 

 

 

ーシュアッッッッ!!!

 

 

 

ズシンッ!!!と重い衝撃音が響く

 

恐る恐る目を開けた星乃が見たのは、複雑なディテールの手甲に覆われた、自分の身長以上はある巨大な光の拳だった

 

「……えっ…?」

 

星乃が拳の先を見上げる

 

赤い光を纏う巨大な体。ただそれは、今までに何度となく見てきた獣のような姿ではなかった

人に近い姿。神話の巨人とも言えるその姿。神秘すら感じるそれは、星の光を蓄えたかのような目でこちらを見下ろして頷く

 

兵隊マンティリスを叩き潰した拳を持ち上げ、その手を開いて星乃の方へと伸ばしていく

 

「へ、ちょっ、きゃあッ!?」

 

大きな手は星乃を優しく掴むと、側の安定した建物の屋上に星乃を優しく置く

 

巨人はゆっくりと立ち上がる

 

纏われていた光が散り、その姿があらわになる

 

 

銀色の体に赤と黒、金のラインが入り、その左胸には流れる星のような形をした青いクリスタルが輝いている

 

 

「……光の……巨人……!?」

 

 

ーギィィィィィィィィッ!!!!

 

大型マンティリスが咆哮し、鎌を振り上げる

星乃の方を見て見下ろしていた巨人はマンティリスの気配に気づき、素早く振り返って地面を踏み込む

 

その衝撃で、発電施設の残っていた照明がまばらに転倒し、夜明けの薄闇を照らし出す

 

光の中で巨人は右拳を前に突き出し、低く構えをとる

 

 

 

ーシュアッ!!!

 

 

 

巨人が疾走する

 

ーギィィィィィィィィッ!!!

 

マンティリスもそれを迎え撃つ

巨体と巨体がぶつかる

 

マンティリスの振り回す大鎌を巨人は手甲で受け止めて受け流したり、身を翻したりして回避し、マンティリスに蹴りを打ち込む

よろめき様に振り回された鎌を受け止め、烈火の炎を纏う拳を撃ち込む

 

ーギィィィィィィィィッ!!!

 

マンティリスは負けじと体液を発火させた蛍光爆液を口から放つ

 

ーシュアッ!!!

 

拳を振るってそれを叩き落とし、マンティリスへと再び駆けた巨人が跳躍して渾身の拳を叩きつけて吹き飛ばす

 

ーギュイィィィィィィィァァァァッ!?!?

 

マンティリスの巨体が大きく吹き飛ばされ、大地を滑って大きなビルに叩きつけられる

 

巨人は拳を二度打ち合わせると、両腕を腰だめに構え、炎のような光を全身に纏いエネルギーの球を体の前に作り出す

 

 

ーシュアァァッ!!!

 

 

鋭く右拳を突き出し、エネルギー球を殴る

そこから放たれた赤い光線がマンティリスを貫き、その巨体に穴を開ける

 

ーギュギ……グ、イィィィィィィッ……

 

マンティリスがだらりと脱力し、その体が爆発して粉々になる

 

 

怪獣を圧倒した巨人の姿を見上げ、星乃が息を呑む

 

星乃のことを見下ろした巨人の姿が光に包まれ、星乃の下に降りてくる

 

「大丈夫か?えっと…夕凪……星乃、だっけ?」

 

現れた快活そうな青年を見て星乃が目をぱちくりと瞬かせる

 

「え、な、あなた…誰!?」

「あ?あ〜っと……そうだよな、俺の自己紹介しないとだよな」

 

こほん、と咳払いをし、青年が星乃に向き直って微笑む

 

 

 

「俺は、ウルトラマンメテオ!辺境警備隊…って言ってもまだまだ駆け出しなんだが、そのメンバーだ」

 

 

 

「ウルトラ……マン……?」

 

青年が頷く

 

「間に合ってよかったぜ」

「間に合って…って?」

「言っただろ?」

 

 

「『たすけて』って」

 

 

「ーあ」

 

星乃があの時の通信を思い出す

 

青年ーウルトラマンメテオが鼻をなぞり、サムズアップしてみせる

 

 

 

「俺が来たからには安心だ。絶対に守ってやるからな!」

 

 

 

⭐︎⭐︎

 

ウルトラマンメテオ

Ep01「流れ星が運ぶ出会い」

 

 




「この地球には、もう私しかいないの」

「……辛かったんじゃないのか?」

「もう大丈夫。平気だから。助けてくれてありがとう」

「私は、一人で生きていけるから」

Ep.02
『星空の誓い』

「理由なら、あるじゃねぇかよ!!!」
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