おまけ的なこの話と登場人物紹介をして第二章に入ります。
今回はとあるマスターたちの話です。
【
今日もオレの顔は美しい。
デンドロにログインして、まずは手鏡で顔を確認する。
そして、エンブリオ【煌顔群馳 ミダース】を出す。
安っぽい黄金の大仏マスクだ。
チープだがけっこう気に入っている。
「さてとガッツは、と」
フレンドリストからガッツを探してログインしているか確認する。
ログインしてるみたいなのでメッセージを一緒に行動できるか送る。
少しして霊都で買い物中、その後で良ければと連絡があったので、了解、終わったら連絡を頼むと返信して霊都をぶらつく。
「約束の時間まで、まだあるしガッツが間に合えば助かるが」
オレは、デンドロを始めたばかりのマスターを狙っている。
昔は初心者狩りなんかをしていたが、エンブリオも孵ってない
考えた最強の戦法も一切通じずに一方的に殺られた。
エンブリオの能力すらも一見して封じる切れ者だった。
悔しかった。
リアルでは、顔以外は完璧なオレがぱっと見はそこらに居そうなヤツに殺られたから。
ヤツにリベンジをするために中々情報を得られないまま調べていくと、ヤツはレン・クロウというマスターで賞金稼ぎとしてその道では有名になっていっていた。
ヤツのエンブリオの情報はまだ得られていないが超級職に就いていて複数の特典武具も所持しているという噂だ。
エンブリオ、ジョブ、装備品のシナジーで悩んでいる間にヤツは遠くに行ってしまったようだ。
そしてデンドロにある程度、詳しくなったタイミングで声をかけられた。
「大仏さん、私たち今日からデンドロを始めたばかりなんですがデンドロについて教えてもらえませんか?」
2人組の少女だった。
今のオレなら簡単に狩れるような初心者、昔のオレならどっかに適当に誘い出し狩っていたかもしれない。
安っぽい自尊心を満たすために。
気まぐれだった。
オレの知ってる知識や役に立つ情報、たまたま近くにいたガッツも誘って一緒にモンスターを狩るサポートもした。
なんだか楽しかった。
それからオレは定期的に初心者講習のような事をやり始めた。
ヤツへのリベンジも忘れていないが、自分の顔の確認と並ぶ程にはこの初心者講習にハマった。
今では大仏さんの初心者講習とある程度認知され始めてきた。
まあ、みんながみんなマナーが良いとは言えなかったが真剣にデンドロに取り組んでいたオレは不覚を取る事も無かった。
今日はそんな教え子たちに誘われてUBM討伐に行く予定だ。
【視死魔威 サイオン】、獅子型のUBMで視線を向けた先に闇属性魔法を発生させるUBMらしい。
今回は特典武具を狙ってではなく、教え子のサポートだ。
最初の2人の教え子、マイマイと音々。
そして後から彼女たちの紹介で来たキティとみそ汁。
4人の女性パーティーだ。
「センセ〜!こっちだよ〜!」
身長の小さなビンクのショートカットの少女が元気に手を振り、呼んでくる。
「早いな、まだ時間じゃないだろ?」
「エヘヘ、楽しみでつい」
無邪気に笑いながらそう言ってきた。
辺りを見ると、青いロングヘアーの落ち着いた少女、音々。
黒猫のフードを被りデカいデブ黒猫の上でうたた寝をする少女、キティ。
そして、どこを見てるかわからない瓶底メガネを掛けた茶髪のツインテールの少女、みそ汁。
4人揃っていた。
「今日はよろしくお願いします!センセ!じゃあ、しゅっぱ~つ!」
「ちょっと待て、ガッツも来るから」
元気全開で行こうとするマイマイを止める。
「エーっ!ガッツさんも来るのっ!特典武具取られちゃうよ〜!」
「大丈夫だ。オレもガッツもサポートだ。オマエらがヘマしなきゃ手を出さねぇよ」
驚くマイマイを窘める。
そのタイミングでガチャガチャと重く金属が擦れるような音がしてきた。
そちらに目を向けると全身甲冑がコチラに向かって歩いてきた。
「すまない、待たせたか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
詫びをいれるガッツに音々が答える。
「それじゃあ、改めてしゅっぱ~つ!」
マイマイは気を取り戻したのか元気に掛け声を上げた。
霊都を出て戦闘準備に取り掛かる。
マイマイと音々は自分のエンブリオを取り出した。
マイマイは身の丈ほどのハンマーを、音々は竪琴を持つ。
そしてその2人を先頭に進んで行く。
森を進み、ザコモンスターを蹴散らしようやく目的地に到達した。
泉のそばで水を飲む獅子型のモンスターがいた。
《看破》によるとヤツが【視死魔威 サイオン】だ。
周りのメンバーに頷く。
ゆっくりとガッツともにヤツに近づく。
ガッツの金属音でコチラに気づいたようだ。
「《
オレの顔が輝くが右手でガッツに触るとガッツが輝き出した。
ガッツは防御体勢のまま固まる。
オレの必殺スキルは敵のヘイトを集め動きを止める。
そして新たに得たスキルはその効果を右手で触れたものに移すというものだ。
ガッツの【巨人鎧 ゴリアテ】は単純な巨大化の能力のため、リソースの多くはステータス補正、特にHPとENDに振られている。
ジョブ構成もメインの【
ヤツの視線はガッツに固定され、闇属性魔法がガッツを襲う。
パーティーのHPゲージを見るがあまり大きく減少してない。
「あまり長くは止められんぞ」
仕事はしたとマイマイたちに告げる。
「わかってるって、行くよみんなっ!」
マイマイが大きなハンマーを振りかぶりながら駆け出す。
音々は竪琴を奏でながら歌う。
キティも黒猫の上で爪を構え、黒猫は駆け出した。
みそ汁は杖を構え後方に待機している。
マイマイのエンブリオ【地濤説 ガイア】はハンマーが超振動しメインジョブの【
音々のエンブリオ【琴掻吟革 オルペウス】は竪琴の音色で味方にバフを敵にデバフを与え【
キティはガードナー獣戦士理論というガードナー系統のエンブリオが従属キャパシティを使わない事を利用して従属キャパシティが少ない獣戦士系統でも強力なモンスターを従属させて《獣心憑依》という従属モンスターのステータスを自分に加算させるスキルを有効利用している。
スキルレベルがあるので100%ではないが、【深皆眠虎 ヒュプノス】は純竜クラスにはステータスがあるので相当に強化されている。
みそ汁はあまり活躍の場はない。
彼女のエンブリオ【船頭平静 ネーレウス】は船のエンブリオで荒れた海を凪いだ状態で進めるようにする能力を持つが陸上ではあまり意味がない。
シナジーのある【
バフの掛かったマイマイとキティ、ヒュプノスがサイオンに迫る。
「《
「《タイガー・スクラッチ》」
振りかぶったハンマーをマイマイが叩きつけようと、キティとヒュプノスが爪で斬り裂こうとした。
その時、サイオンの身体中から無数の目が現れた。
《トリック》で【ジェムーアース・ウォール】を取り出し目の前の地面に投げる。
地面が隆起し壁となる。
パーティーのHPゲージを確認する。
ガッツ以外のゲージが吹き飛んでいる。
「《
ガッツに付与していたスキルを解除する。
【ジョブクリスタル】を取り出し砕く。
「《
ガッツの鎧が一気に巨大化するが、一瞬でHPが消し飛び光の粒子に変わって行く。
「《ムレータ》っ!」
【
取り出していた【ジェムーフラッシュ】、ただ強烈な閃光を出す魔法が込められたジェムを投げる。
腰に下げていた軍刀を引き抜きながら駆ける。
一息に首を斬る。
軍刀が脆く砕けるともにサイオンの首は刎ねられた。
《失いし我が栄光》は発動中に使用した物を破壊する代わりに能力を引き上げる。
その倍率は《我が美貌を魅よ》の使用時間に比例して増加する。
古代伝説級金属で作った軍刀だったんだがな。
【<UBM>【視死魔威 サイオン】が討伐されました】
【MVPを選出します】
【【なるなる】がMVPに選出されました】
【【なるなる】にMVP特典【視死刀 サイオン】を贈与します】
「嗚呼、取るつもりは無かったんだがな」
思わず艷やかな黒髪を掻きむしった。
0)>まさかコイツにスポットが当たるとは
0)<第一章人物紹介で蛇足的に出てきた人たちを紹介する予定ですのでココではカットします
0)>主人公のエンブリオのフラストレーションが他のマスターで発散されている
0)<ではまた