新世界での誕生証明   作:泣面道化

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キャラが増えると書きづらいが話を進めて行くのには必要。
描写は苦手だが頑張ろう。


怒りの鉄拳

栄冠(クラウン)】レン・クロウ

 

「えーと、どちら様でしょうか?」

「アラ、ごめんなさいネ。アタシとしたことが名乗ってなかったわネ。アタシはAOHIGEヨ。よろしくネ」 

 

 恐る恐ると尋ねて見ると、名乗ってくれた。

 仮面の奥でバチコンって音がしてそうなウィンクをしながら。

 キャラが濃い・・・。

 

「ごていねいにありがとなの。わたしはうろなのっ!」

「ぼくはぼろすといいます」

 

 あらら、ウロとボロスが自己紹介してしまった。

 こぼれそうなため息をこらえる。

 

「レン・クロウだ」

 

 痛む頭を抑え、名を告げた。

 

「教えてくれてありがとうネ。ところでアナタたちは親子なのかしら?」

 

 続けてAOHIGEは尋ねてきた。

 ウロとボロスが同時にコチラを見てくる。

 どう答えるかな。

 

「ああ、親子だ。可愛い娘とカッコいい息子だろ?」

 

 レアなエンブリオだろう2人は一旦、隠すことにしよう。

 

「おとうさまっ!」「ちちうえっ!」

 

 2人はひしっと嬉しそうに俺に抱きついてきた。

 

「アラ、良いわネ。イキナリ話かけてごめんなさいネ。親子で楽しんでネ」

「ああ、ありがとう」

 

 AOHIGEは少し何かを考えてるようにしてから少し微笑み優しく告げてきた。

 俺が御礼を返すとゆっくりと去っていった。

 

「なんだったんだ、アイツ?」

 

 本当に思わず、話かけてきたみたいだった。

 抱きついたままの2人の頭を優しく撫でながら、妙にゴツい背中を見送った。

 あの後、落ち着いた2人にデザートを食べさせ店を後にした。

 

「さて、この後どうしようかな?」

 

 嬉しそうに手をつなぎながら眠そうにしている2人を見る。

 

「眠いなら、紋章に戻るか?」

「うー、いやなの。おとうさまとせっかくおはなしできるようになったの」

「ちちうえとおはなしをつづけたいです」

 

 俺が問うと眠そうに返す2人。

 

「また起きたらお話するから、今は眠りなさい」

「うー」「はい」

 

 優しく諭すように言うと納得したようなしてないような返事を返して、2人は紋章に戻った。

 

「ちゃんと戻れるんだな」

 

 手袋を外して紋章を改めて見た。

 結婚もしてないのに子供か。

 まあ、また後で考えよう。

 さてとマイマイマインの試射でも行くか。

 ウロとボロスと過ごしたおかげか、気分が少し前向きになったような気がした。

 

 街を離れ少し森の奥に来た。

 マイマイマインを取り出す。

 矢を番え、構える。

 ゴツいが気になるほどではなく、重さも問題なし。

 軽く放ってみる。

 木に勢いよく飛んでいき刺さる。

 前の弓よりだいぶ威力が下がるが、使えないことはない。

 こっから成長していくしな。

 《トリック》で矢を手元戻してみる。

 木に刺さった矢が消え手元に戻る。

 矢の状態を確認してみるが、特に損傷等は無さそうだ。

 矢を刺した木の状態を見に行くと、刺さった部分が少し焦げていた。

 矢を作る時に使った火属性魔法のジェムの効果だろう。

 

「まあ、ぼちぼちかな」

 

 かなり有効活用出来そうな武器だ。

 ふと耳に誰かの声が聞こえた気がした。

 《隠潜》を使って声が聞こえたような気がした方向に向かう。

 途中で《気配探知》に反応があった。

 4人かな?

 

「約束どおり1人で来たわヨ。その子を離しなさい」

 

 店で会ったAOHIGEが軽薄そうな金髪の男に話かけていた。

 

「ハンッ!偉そうで気に入らねぇな。コイツがどうなっても良いのかよッ!」

 

 金髪の男は後ろを親指で指しながら偉そうに喋っている。

 後ろに何が、少し目を凝らすと布を噛まされ泣いている女の子が捕らえられていた。

 カッと頭に血が上る。

 弓を取り出そうとする手を止める。

 遠距離はダメだ、万が一がある。 

 距離を詰めよう。

 熱くなる頭を必死に抑え、努めて冷静になろうとする。

 

「おっと、馬鹿な事は考えるなよ。俺のエンブリオは説明しただろ?【厄束利交 エンマ】はお互いが交わした約束を守らないと罰を与えるって」

 

 金髪の男は続けて語る。

 AOHIGEは拳を震わせるほどに握りながら俯いている。

 

「コッチの条件は、このガキを無事にオマエに渡すこと。ただし、その前に痛覚オフを解除して俺の気が済むまで殴られて、その後に【鉄拳(アイアンフィスト)】の就職条件を教えて【鉄拳】を辞めたらなッ!ハッハハハハッ!」

 

 金髪の男が馬鹿にしたように笑いながら告げる。

 

「しっかし、馬鹿だよな。こんなティアンのガキ1人が超級職と同じ価値があるって思ってるなんてな。こんな無茶苦茶な条件が通るなんて思わなかったぜ。ありがとよ、ロリコン野郎」

 

 嘲るように続ける。

 

「さてと、話すのも飽きたな。痛覚オフにしたか?」

 

 何故かAOHIGEに小さな少女の姿が重なって見えた。

 【ハイエンド・リジェネポーション】を煽る。

 《一挙掠匿(スティーレル)》《トリック》で【蠱毒錬刃 バルム】を取り出す。

 《隠潜》を解除して出ていく。

 

「それって、第3者が間に入ったらどうなんだ」

 

 俺が金髪男に問う。

 

「なんだテメエ?どっからきた?」

 

 金髪の男は俺に警戒するように構えた。

 

「ヤメて、レンちゃん。約束が守られないと2人に罰が与えられるワ。アタシはその子を助けられなくて、ソイツは【鉄拳】への就職が出来なくなるノ」

 

 答えたのはさっきまで黙っていたAOHIGEだった。

 

「そうか、それで痛覚オフで殴られるのは代理でも大丈夫なのか?」

「アン?なんだテメエ、正義のミカタ気取りか?ハッハハハハッ、ああいいぜ、テメエでも問題ねぇ。俺の気が済めばOKだ。ありがたいぜ、アイツが死なねえように回復アイテム使うのもったいねぇと思ってたんだ」

「なにを言ってるノ?レンちゃん?」

 

 ホントになにを言ってんだろうな俺は。

 

「装備外してインナーになれよ。痛覚オフも忘れんなよ」

 

 装備を解除してインナー姿になる。

 

「フハッ!ホントになりやがったよ、コイツ。準備は大丈夫か?」

「ああ、問題ない」

 

 金髪男は噴き出すように笑い、俺に問う。

 

「え?なにを?」

「おい、よかったなあ。このマゾ野郎が代わってくれるってよ。まあコイツが満足する前に死んだらオマエだかな。《我が拳、巌となりて》」

 

 金髪男が拳を大きく振りかぶって俺の顔面を殴る。

 ハンマーに思いっきり叩かれたような衝撃。

 目の前に星がチカチカと飛ぶ。

 

「テメエッ!痛覚オフを切ってねぇなッ!俺の超級職がッ!」

 

 金髪男が慌てる様子を冷静に見る。

 なるほど、エンブリオの能力は嘘では無さそうだ。

 

「落ち着け、バカ。その子は無事だろ?」

 

 金髪男がバッと後ろを振り向くと泣いている女の子が無事な姿でいるのを確認した。

 

「焦らせやがって、コノヤロウッ!ぶっ殺してやるッ!」

 

 頭に血が上ったのか、単純な殴打が続く。

 頭、腹、肩。

 目につくところをとりあえず殴っているのか理不尽な暴力が続く。

 

「ヤメて、ヤメてヨ」

 

 AOHIGEのすすり泣くような声が聞こえた気がした。

 確かに痛いが、軽いな。

 身体に走る痛みを感じながら、どこか他人事の様に感じていた。

 金髪男がついに両膝に手をついてゼェゼェと息を切らす。

 

「ハァハァハァ、どうなってんだ。テメエ」

「フン、お前程度の軟弱な拳じゃ何発やっても無駄だ」

 

 金髪男が思わず呟く言葉に短く返す。

 

「ハン、止めだ止め。もう飽きた。おい、いつまで泣いてんだ。キメェ奴だ。速く《鉄拳》の条件を教えろ」

 

 金髪男は俺がいないかのようにペタンとお尻を地面につき泣きながらコチラを見ていたAOHIGEに話しかける。

 

「早くしろよ、俺の気が変わらねえうちによッ!」

「1つで良い、条件を教えてやれ。そしてすぐにジョブクリスタルで【鉄拳】を辞めて再び【鉄拳】になって戻ってこい」

 

 金髪男の叫びに被せるように俺が喋る。

 

「アン、なんだテメエ。なに言ってやがる?」

「【鉄拳】はソロで強敵の撃破をする必要があるワ」

 

 金髪男が困惑するように喋ると、AOHIGEは俺の言いたい事が分かったのか涙声ですぐに条件の1つを口にしてログアウトした。

 拘束の魔法を込められたジェムを取り出し、ヤツに投げる。

 幾重にも拘束魔法で捕らえる。

 俺は外していた装備をつけ、捕らえられた女の子に近づく。

 

「ア、何しやがる。テメエ、どうなんのかわかってんのかッ!?」

「エンブリオの能力は本当なんだろうな。最初の焦りは本物だった。だから条件を満たしてしまえば終わりだ」

 

 騒ぐヤツに静かに伝える。

 

「俺が痛覚オフでオマエの気の済むまで殴られてやった。そしてAOHIGEがオマエに【鉄拳】の就職条件を教えて【鉄拳】を辞めた」

 

 オマエは詰んだと。

 

「ちょっ、待てよ。おい、待てよ」

「コチラは約束を守った。さて、オマエは無事に帰すといった少女を俺に助けられたらどうなるんだろな?」

「待てよ、待てって。オイッ!待てッ!」

 

 拘束を解除しようともがき騒ぐヤツを無視して少女の拘束を外す。

 

「怖かったね。もう大丈夫」

 

 優しく告げると、少女は力強く抱きついてきて強く泣いた。

 

「うわあああァァァ!」

 

 金髪男は赤黒い禍々しいオーラに包まれ、そのオーラはゆっくりと晴れていった。

 

「俺の超級職が」

 

 ヤツはガックリと拘束の中で力なく項垂れた。

 

「テメエ、絶対許さねえ。ぶっ殺してやる」

 

 少女を泣き疲れて眠ってしまった後にヤツは力を取り戻したかのようにコチラを睨みつけながら叫ぶ。

 くだらないヤツだ。

 《隠潜》を使い、拘束を解き告げる。

 

「お前の相手は元々、俺じゃねぇよ」

 

 怒りが来た。

 ヤツに本当の終わりを告げる怒りの鉄拳が。

 

「アオヒゲーっ!」

 

 ヤツが気づき叫ぶ、何かアイテムを取り出しその怒りに投げつけた。

 ソレはジェムのだったようで様々な属性で上級魔法も混ざった物だった。

 なぜソレが"不死蝶"と呼ばれたのか。

 負った傷が燃えるように火の粉を撒きながら治っていく。

 

「チクショっ!チクショっ!チクショーっ!」

 

 焦ったように繰り返すヤツに怒りは告げた。

 

「《我が拳、巌となりて》」

 

 ボクサーのような構えで小指を立て拳を握った怒りが素早いストレートを放った。

 一撃KO。

 ヤツは光の粒子になって消えた。

 《隠潜》を解いてAOHIGEの前に立つ。

 

「お疲れ」

 

 俺は短く労いの言葉をかけた。

 

「ありがと、お父さん」

 

 返ってきた言葉は想定外だった。

 




0)>実は主人公は最初から痛覚オフにしてないという。

0)<以前にブローチが砕けるくらいの痛撃を受けてなければ耐えれなかったかも。

0)>出てきた【鉄拳】は硬拳士系統超級職です。

0)<しかし、濃いキャラを出すはずが何か薄味になったような?

0)>次回は少し時間が進みます

0)<ではまた
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