新世界での誕生証明   作:泣面道化

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感想、評価、誤字脱字報告ありがとうございます。
誤字脱字は気をつけてますが、見逃すので助かります。


アルター王国観光:前編

栄冠(クラウン)】レン・クロウ

 

 あれから何故かAOHIGEに父と慕われ困惑はしたが、何故か不思議と嫌ではなく許してしまった。

 俺はどうしてしまったのだろう?

 その後、フレンド登録をしAOHIGEと別れアルター王国へ向けての旅路の途中だ。

 なぜ、急にそうしたかというとムキムキのオッサンに父と呼ばせるなんてというHENTAIを見るような周りの目に耐えきれなかったわけではない。

 ガタガタと揺れる馬車の業者台で誰に言い訳するでもなく考えていた。

 ふと、視線を上げる。

 

「おでかけ〜、おとうさまとおでかけ〜」

 

 嬉しそうに巨大ウォンバットの上で身体を左右に揺らす少女と何とかすまし顔しようとして喜びが隠しきれない少年がいた。

 そう、ウロとボロスの教育のためである。

 こんなHENTAIの国は情操教育に悪いだろうととりあえず近くのまともそうな国を見に行く事にした。

 決して周りの視線とか風評に耐えきれなかったわけではないのだ。

 

「喜ぶのは良いけど、ザックから落ちるなよウロ」

「は〜い、わかってるの」

 

 《騎乗》のスキルを獲得出来るアクセサリー、【騎乗部族のお守り】を装備させているため問題は無いだろうが少し心配だ。

 スキルレベル1なのに10万リルとは高いなと思ったが、そういえばティアンはジョブへの適正がない事もあるから需要はあるんだろうな。

 俺のようにエンブリオを乗せるために使うヤツもいるかもしれんし。

 買ったアクセサリーショップでは、俺がマスターだとわかると「装備品は装備しないと意味が無いぞ」って言ってくれるサービスをしてくれた。

 こういうと一定のマスターは喜んでくれんだよって豪快に笑いながら教えてくれた。

 てか、あの人どう見てもアクセサリーショップの店員というか鍛冶屋のオヤジだったな。

 どうでもいいことを考えながら道中を行く。

 ザックは純竜級だし、警戒スキルは使用している。

 もしもの時は紋章に戻るように言ってるし正直、同盟国のアルター王国への道は整備されてるので今までの秘境探索に比べるとだいぶ楽だな。

 

「あのー、レンさん大丈夫でしょうか?」

「問題ないですよ。警戒スキルは使用してますし、私のザックは純竜級ですから」

 

 荷台から不安そうに青年が話かけてきた。

 何かあった時にはこのティアンの青年だけは無事に帰さないとな。

 彼はレジェンダリアにジェムを買い付けに来たアルター王国の商人のマーチさんで今回は経験のため1人で買い付けに来ていたみたいだ。

 行きはマスターの護衛を雇っていたそうだが、道中何も無くそのマスターたちはレジェンダリアの観光のため現地で別れたため新たに護衛を雇わず護衛費を浮かせようと買い付けを終えそのまま帰路についたそうだ。

 運悪くその道中でモンスターに襲われ、馬車が壊れあわや命までというところで偶然通りかかった俺が助けた。

 そのついでに俺が彼をアルター王国へ帰る護衛と何かに使うかもと用意していた馬車に荷を移して輸送を請け負ったのだ。

 

「しかし、良いのですか?輸送までしていただいているのに護衛費のみで?」

「ええ、別に大丈夫ですよ。アルター王国に行くついでですから」

 

 何度目かになるかわからない確認に愛想よく返答する。

 どうせ何も得ない予定の旅路で護衛費のみで得ることが出来ればそれだけで得だ。

 ギデオンに行くことになるが、まあ有名な都市ではあるし長居するつもりは無いが一度見ておくのは良い経験になるだろう。

 ただ決闘都市なんて教育に悪そうだ。

 モンスターに襲われたのがトラウマになったのか何度か意味の無いやり取りをしながら森を無事に抜けると安堵したように落ち着きを取り戻してきた。

 それと同時に焦り始めたが。

 

「ああ、護衛費をケチったせいで馬車を壊してしまったし絶対にジュエさんに怒られる」

「それはしょうがないですよね」

 

 頭を抱える彼に俺は苦笑いを浮かべ答える。

 まあ、護衛費を節約すると考え実行したのは彼なのでどうしようもないだろう。

 今回の仕入れの方が黒字になれば良いが。

 

「そうですよね、はあ」

 

 頭を抱え落ち込む彼から眼を離し、前を向くとウロが少し前のめりでザックの上で身体を伸ばしている。

 木だらけだったから珍しいのだろう。

 それからしばらくあーだのうーだの悩む彼を脇に馬車を進めて行く。

 前の2人が眠そうに身体を揺らし始めたので、マーチさんに2人の事を内緒にする事を約束して紋章に戻す。

 戻した時に少し驚いていた。

 そして、日が傾いてきて辺りが暗くなりここらで野宿する事にした。

 マーチさんは馬車に寝てもらって、俺たちはテントを張った。

 昼間したことで元気になったのか嬉しそうに騒ぐウロを横目に横で落ち着かずに辺りを見渡すボロスの頭を軽く撫でる。

 

「さて、寝るぞ。ウロ、ボロス」

 

 警戒用のアイテムを起動させ整えた寝床に入る。

 俺を中心とした川の字で寝るみたいだ。

 ニコニコと嬉しそうに俺を見るウロと落ち着かないボロスに挟まれ徐々に眠気に身を任せる。

 ザックにも警戒を頼んでるから大丈夫だろう。

 薄れゆく意識の中でそんな事を思った。

 何事もなく、朝を迎える。

 かなり力強く俺の身体を抱きしめるウロと遠慮がちに俺の服を摘み寝てるボロスを見る。

 性格が違うな。

 

「おはよう」

 

 小さく挨拶をして、起こさないように拘束から脱出する。

 

「よっと」

 

 テントの外に出て少し伸びをして警戒用のアイテムを停止させ馬車の様子を見る。

 マーチさんは寝れたみたいだ。

 

「ザック、少し寝ておいてくれ」

 

 身体を伏せて起きていたザックに声をかける。

 コチラを少し見て、眼を閉じた。

 ちゃんと寝るようだ。

 

「さてと、朝飯でも作るかな」

 

 アイテムボックスから道具を取り出し朝食の準備を始めた。

 朝食の準備を終えたタイミングでマーチさんが起きてきたり、メシの後にウロがテントから涙目で飛び出してきたりと色々あったが朝のバタバタとした時間は過ぎ、ウロとボロスにご飯を食べさせザックを起こしてメシを食わせたら片付けをして出発した。

 道中はモンスターの襲撃もあったが大きな問題はなくしばらくして【決闘都市 ギデオン】に到着した。

 

「ありがとうございます!レンさんのおかげで無事に帰ってこれました」

 

 マーチさんから感謝を受け取り、引き続き店まで送り届ける。

 目的地のジュエ宝石店に辿り着く。

 マーチさんは店の前で大きく息をする。

 覚悟を決めたようだ。

 

「レンさんは少し待っていてください」

 

 業者台から降りてCLOSEDされている店の鍵を開け中に入って行く。

 俺も降りておくか。

 少しして、中から綺麗な茶髪のロングヘアーの女性が出てきた。

 宝石店の人だからだろうか嫌味にならない程度に綺麗なアクセサリーがついている。

 

「当店の者がご迷惑をおかけしました。店主のジュエと申します」

 

 綺麗な動作でお辞儀をしてきた。

 

「いえいえ、依頼ですので迷惑ではないですよ。さてと、荷物をお返しして護衛代をいただきたいのですが」

 

 とりあえず何となく居心地が悪いのでやることをやってさっさと離れよう。

 

「ええ、そうですね。マーチ、手続きを」

「は、はい!」

 

 コチラの事情を察したのかジュエさんはマーチさんに指示を出した。

 慌てたようにマーチさんは荷台から荷物を降ろして、コチラに護衛代を払ってきた。

 

「それではコレにて」

 

 報酬を受け取りザックからウロとボロスを降ろす。

 ザックをジュエルに馬車をアイテムボックスに戻す。

 

「お待ちください。何か御礼を」

「いえ、依頼ですから。あーでも、そうですね、何か決闘以外でギデオンの名物ってありますか?」

 

 呼び止めてきたジュエさんにそう尋ねる。

 

「決闘以外ですか?うーん、そうですね、カフェ水蜜糖のドーナツは絶品ですよ」

 

 手をつなぐウロを見て優しく微笑みながらウィンクして告げてきた。

 

「どーなつ?おいしそうなの!」

 

 ウロは少し首を傾げてから理解したのか嬉しそうに騒ぎ始めた。

 

「そのカフェにはどう行けば?」

 

 嬉しそうなウロを見てからジュエさんに尋ねる。

 

「この通りを進んで行って少し行った先の道を右に曲がって少ししたらありますよ」

 

 道を指差しながら教えてくれた。

 

「ありがとうございます」

 

 嬉しそうなウロと少し手の握る力が増えたボロスを連れ歩いていく。

 

「ありがとうございました」

 

 後ろから感謝の言葉が聞こえた。




0)>まさかの主人公がHENTAI扱いを受けるとは

0)<今回はただの日常回でしたね

0)>次回はアルター王国観光の続きの予定です

0)<ではまた
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