新世界での誕生証明   作:泣面道化

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仕事の切り替わりで書く時間があまり取れない。


〈厳冬山脈〉

栄冠(クラウン)】レン・クロウ

 

「さてと、レンくん少し話をしようか」

 

 あの後、荷馬車と多くの人々を連れて戻ってきたJ孫はその人たちに指示をすると改めて俺に話かけてきた。

 

「さっきも軽く話したけど、我々はドライフ国内を食料を配って回っているキャラバンだ。君も見ているだろう?この枯れている大地を。セーブポイントから離れた場所ではこのように植物も育たない不毛の土地になっている。ここまでは良いかな?」

「ああ、それはわかっている」

 

 穏やか口調で話を続けるJ孫に返事をする。

 

「それで我々はそんな土地の人々が飢えないように食料を配って回っているんだ。だが、君も分かるだろうがそれは一時的な対処に過ぎず根本的な解決にならない。そして我々が回れない場所では飢え苦しみ亡くなられる方もいる」

「そうなるよな」

「食料を安定して生産出来るように、土地の再生に適した〈エンブリオ〉を持つマスターに協力を依頼したり、ジョブを試してみたりと色々とやって見たが大きな成果は得られなかった」

 

 悔しそうにJ孫が続ける。

 

「我々のような動きをするマスターも多くはないがいる。君のようにね。ただ、そのマスターも我々のように安定して食料を得るのは厳しいのも現実だ」

 

 まあそうなるだろうな。

 俺も今回配ったのはアルターやレジェンダリアてまとめて購入していた食料だ。

 同じ規模でももう一度配れるかどうかという量しか残っていない。

 

「アンタらはどうやって食料を?」

「ああ、〈エンブリオ〉とこの状況を憂いている貴族の協力のおかげさ。私の【大団宴 サイゴノバンサン】はパンやワインを作成する能力がある。そしてみーとの【羊頭供肉 タングリスニ・タングニョースト】で肉とミルクを確保している。後は協力してくれている貴族の枯れていない土地を借りてそこで野菜などを育てているのさ」

「良いのか?〈エンブリオ〉の能力を語っても?」

 

 自身の能力を隠さずに語るJ孫に思わず尋ねてみた。

 

「ああ、別に構わないよ。重要な情報は隠しているし、同じように食料を配っているマスターとの情報共有も必要だと思うしね」

「そうか。それであそこでスプラッタショーを開催している大男のヤギが〈エンブリオ〉ってわけか」

 

 少し肩をすくめ答えるJ孫に俺の視界の先で繰り返しヤギの解体ショーを行っているズタ袋を被った大男を指差し尋ねる。

 

「ああ、そうだ。みーとの〈エンブリオ〉は骨が残っていれば復活するスキルを持つガードナーさ。そして彼のジョブ【|肉王〈キング・オブ・ミート〉】のスキルで最高な肉を産み出しているのさ」

「なるほど、肉は無限に供給出来るというわけか」

 

 〈エンブリオ〉はやはり、反則的な能力を持っているな。

 

「まあ、私の〈エンブリオ〉も彼のも供給スピードに上限はあるからね。この国の飢えを満たすにはまだまだ足りないのだけど」

「それでも何にもしないよりは救える人は多いだろう?」

「君は優しいね。確かにそうだ」

 

 自虐的に言うJ孫に思わず、そう答えてしまった。

 少し沈黙が流れ、視線の先では解体された肉を手分けして馬車に運んで行き、代わりに出来た料理を持って出てくる人たちがいた。

 

「さてと、私も用意が出来たから食料の供給に戻るとしよう。良かったらレンくんも食べていってくれ。我々の料理は味にも自信があるんだ」

「魅力的な提案だが、止めておこう。代わりにこの村の人を満腹にさせてほしい」

「そっか、やはり君は優しいね。また、後で話が出来れば嬉しいが」

「ああ、こちらも話しておきたい事があるから待ってるよ」

 

 そう告げて馬車へと去っていくJ孫を見送る。

 涙を流しながら感謝を述べて食料を受け取る人、両親や兄弟といった家族と一緒に泣きながら食事をする人、見ているだけでJ孫たちがやってる事が本当に正しく良いように思える。

 だが、やはり一時的な対処療法でしかないと思わずにはいられないが。

 この村だけなら良いが、国全体が同じような状況なら彼らだけではどうしても手が足りないだろう。

 それに彼らが居なくなった時にはもう破綻してしまう。

 俺の最初のやり方もそうだが、根本的な解決をするか残された人々だけでも食料を得られる方法を確立しないといけない。

 多分、J孫も同じ事を思っているだろう。

 しばらくして、村への食料の供給が収まったのだろうか騒ぎが静かになりだしたタイミングでJ孫が戻ってきた。

 

「さて、お待たせしすぎてしまったかな?」

「いや、別に構わないよ」

 

 謝りをいれ向かいに座ってきたJ孫にそう答えた。

 

「そちらの用件から先に聞いても良いかな?」

「ああ、どちらが先でも良かったからな。この辺りの大地で作物が育たない理由は知っているか?」

 

 コチラに尋ねてきたJ孫にそう訊いてみた。

 

「専門的な事は詳しく無いが、ジョブや〈エンブリオ〉でもこの地に豊穣をもたらすのは成功していない。何かしらの外的要因があるとは思っているのだが」

「この辺りの土地は、皇都の玉座と〈厳冬山脈〉の何かにリソースが奪われ不毛の大地になっている」

 

 持っている情報を答えてくれたJ孫にコチラも持ち得る情報を共有する。

 

「何、本当なのか!?」

「ああ、俺の持つ技能による確かと思える情報だ」

 

 驚く様子のJ孫に努めて冷静に答える。

 

「玉座か、国をこのような状態にするとは王は何を考えているんだ!?」

「さてな、ただ玉座の方は対応が厳しいと思う。下手すれば指名手配で失敗したら今までのような活動も出来なくなる。それに玉座を守るティアンはかなりの手練れだった」

 

 憤るJ孫に静かな口調で語る。

 

「すまない、熱くなってしまった。確かにそうだな。だが、〈厳冬山脈〉も下手を打つとマズイな。【地竜王】に関わりの無いと良いんだが」

「それはまだ解らないな。俺もそこまで把握出来る能力を持ち得ていない」

 

 少し悩むように顎に手を置き考えるJ孫に伝える。

 

「ただ、せっかくの情報だ。少し確かめに行ってみるのも悪くないかもしれないな」

「うん?まさか確かな情報かもわからないのに行くのか?」

「今の方法もそんなに長く持たないだろうから。余裕のある内に解決策を探っておきたい」

 

 J孫がそう言うと膝を打ち立ち上がった。

 

「いざ、参らん。〈厳冬山脈〉へ!」

 

 力強い声が辺りに響いた。




0)>〈エンブリオ〉とオリジナルジョブが出てきました

0)<本編ではあまり語る予定の無い【肉王】を説明します

0)>肉王 解体師系統亜種派生超級職
スキル
狗頭羊肉 どんな肉でも最高の食用肉へとバラす

0)<みーとのエンブリオとシナジーがあるジョブとなっています

0)>次回は〈厳冬山脈〉へ

0)<ではまた
 
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