闇の華は偽りに咲く 〜見た目ラスボスの美少女たちは、俺の前でだけポンコツに戻る〜   作:フレラガ

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あまり進捗が良くなかったので、水曜日に書き溜め頑張ります(宣言)
週に二話更新くらいのペースはキープするつもりです


第十六話 闇深きパーティーと乱入した男

「あー、逃げたか……まあ、渡りが来るってのは結構厄介だな」

 

 そう言いながらザミアを降ろして笑顔を浮かべる間違い男。

 ――手に持った剣で与えた一撃はサンドワームに大きなダメージを与えたのだろう。地面に潜って出てこず、先程まで飛んでいたフェアリーバードもどこかへと消えていた。

 

「ああ、姉御の仲間だっけか? 俺はソロウっていうんだ。そういや、前に席に一緒にいたっけ?」

 

 まるで何事もなかったかのように俺達を見る。

 

「おいおい、そんな顔で睨むなよ」

 

 いや、睨んではない。多分、いきなりのことでビックリしてるだけだから。

 ……いや、そうか。俺が話し始めないと全員が会話出来ない状態だな。

 

「あー、すまない。助かった……うちのリーダーを助けてくれて」

「ん? ……へえ、まあいいか。姉御がピンチだったからお節介焼いちまったよ」

 

 勘違いは続いたままらしい。

 しかし……銀等級冒険者でも、相当な上澄みだ。こんな未開区域で他の冒険者が襲われているところに割り込んで助けられるというのは。

 

「……助かった」

「あー、いやいや! 姉御にはお節介だったかもな! 俺が余計なことをしただろうから、悪い!」

 

 そしてザミアに親しげに、気楽に話しかけるソロウ。

 ……いや、やっぱり訂正した方が良くないか?

 

「で、ちょっと言わせて貰うが……」

 

 そして、視線を俺達に向ける。

 それは戦う者としての……しかも圧倒的に格上で、値踏みをする側の傲慢で自信に溢れた視線だった。

 

「あんたら、姉御に不釣り合いだ。パーティーを抜けた方が良いんじゃないか?」

「なっ!?」

 

 そうして、俺達を見てそんな言葉を放つ。

 

「まず顔の怖い……あー、なんだ。そっちの無愛想な斥候」

 

 ……まあ、顔が怖いで言うなら皆怖いからな。

 とまあ、それは置いておくとしてもリズを見てソロウは告げる。

 

「この状況になってるのは斥候失格だろ。異常を察知して、一番に切り込んで状況を確認。誰よりも早く違和感に気づくべきだ」

「……」

「もしも未開域だったから……なんていうなら、冒険者は辞めた方が良いぜ? 上に行くなら、常に未知の環境に踏み入れるんだよ。己の知識と直感を信用した上で仕事をやり遂げないとな」

 

 リズは何も返答しない。だが、その内心は少しだけ理解出来る。

 

「で、魔法使いのねーちゃん」

「あ、あたし……?」

「温室育ちか? お貴族様のお遊びなら帰った方が良いんじゃねーか? 一つの種類鹿魔法が使えねーなら、特化してぶち抜けるか手段を増やしてあらゆる状況に対応出来るかしかねーだろ」

 

 そうして、ミライを見る。

 

「神官のあんたは悪くないな」

「……」

「だが、それでも悪くない程度だ。あの状況で強化して終わりか? 姉御が脱出に使える壁を足場として作って逃げさせるとか応用力が足りてない」

 

 ミライは、思い悩んだ表情で黙り込む。

 ソロウの言葉に誰も返答を出来ない。それは、言ってしまえば事実であったからだ。

 

(……実力がある人間が言うから説得力がある。それに、このパーティーの問題点でもあった部分だ。

 

 銀等級冒険者として戦っていくために必要な要素。それは高いレベルで自分の役割をこなすこと。誰も彼もが銅級の延長線上と考えて準備をしていなかった。だからこそ、今回ザミアが危険に陥ってしまったのだ。

 痛いところを突かれて、誰も否定のこと場を出せない。そして、男は俺を見た。

 

「んで、にーちゃん」

「……なんだ?」

「何で冒険者やってんだ?」

「……そりゃ、俺が冒険者しか出来ないからだ」

「ああ、そういう意味じゃねえよ。俺が言いたいのは――」

 

 その次の言葉を言う前に、ザミアはソロウの前に立ち塞がった。

 

「――黙れ」

「ん? 姉御?」

「……私の仲間だ。これ以上は許さない」

 

 それは言葉少なくとも伝わる本気の怒気。

 俺達ですら、見たことがない怒ったザミアの姿。しかし、それを見たソロウは笑顔を浮かべていた。

 

「――悪かった、姉御。そうだよな。姉御が言ってないなら俺が言うべきことじゃないよな!」

「……いや」

「ああ、それでも姉御。あの状況だと危なかっただろ? まあ、今回はそれでチャラってコトで頼むよ。俺としては、姉御と久々に再会出来たんだから仲良くしていたいからさ!」

 

 先程の厳しい銀等級冒険者としての助言はどこへいったのか。人なつっこい笑みを浮かべてザミアを姉御と呼び慕う姿は、表面上の姿よりも幼く見える。

 

「今、俺のパーティーもあるんだよ! 姉御が望むんなら、こっちのパーティーに来ても良いからな」

「……」

「と、そっちの仕事にこれ以上踏み込むのは流石に失礼ってもんか。じゃあ、またな姉御」

 

 いや、今更だ……と俺は言いたかったが、あっさりと去っていく。

 ――そうして残された俺達の空気は重かった。何故ならクロウの言葉は、リズたちの問題を指し示していたからだ。持ちつ持たれつが必要な冒険者。だが、それ以前の問題。それぞれに求められているスキルが足りていないと言う実力不足を指摘され……そして、それが否定出来なかったからだ。

 

「……すまない」

 

 最初に口を開いたのはザミアだった。

 

「気にしないで。事実」

 

 リズはそう答える。

 

「……悔しいけど、一理あったわ」

 

 アメリアも同意した。

 

「はい……言われて、私も納得しました。壁を作って足場に……他にも手段はあったはずです」

 

 ミライも、己の未熟を反省している。

 

「……いや、俺ももっと準備をするべきだった。俺もやるべき事が――」

「……それはない」

「違う」

「何言ってんの?」

「あの、それは違うかと……」

 

 俺も一緒に反省しようと思ったが、全員から何言ってんだコイツという顔で否定された。おかしい、どっちかって言うと俺が戦力じゃないんだし責められるべき立場なのでは?

 

「……ユーマの出来る事はしている」

「いや、でもだな……」

「頑張りすぎ」

「ええ!?」

 

 言葉少ないザミアとリズからそんな風に言われるくらいか!?

 

「……私が言うのもなんだけど、自分がやるべき領分を超える必要はないわ。ユーマがやるべき仕事はやってるし、私達が足りていない部分をユーマのせいにするのは話が違うでしょ」

「そうです! 自分が全部やらないとって考えてしまう子も多いですが……そうすると、結果的に他の子が大変な事になるんですよ!」

 

 アメリアとミライにも怒られてしまった。

 ……だが、そのお叱りというか注意は、確かにその通りだ。

 

(……必要以上に役に立とうとしすぎ……か)

 

 確かにザミア達には問題は多い。だが、それでも俺がイチから面倒を見ないといけない子供ではないのだ。

 出来ないから役に立とうとする。それは間違っていないだろう。だが、それが行きすぎればお節介であり、他人

の成果を無視することに繋がる。

 

(あー、そうだな……昔も怒られたな)

 

 昔のパーティーに入っていたときに、他のパーティーの知り合いから何でもやり過ぎだと起こられたのだ。

 よく俺が酒場で他の冒険者から話を聞く時に一緒にたかられていたな……今は確か銀等級冒険者だったな。他の街への遠征でしばらく見ていないが……

 

「ユーマ?」

「っと、悪い。そうだな。俺がここで自分が出来ていないって反省するのは違うな」

 

 俺が頑張ってないならザミア達の努力や成果をないがしろにしている事になる。

 ……でも気になるな。クロウ、俺に何を言おうとしたんだろう。

 

「ふぅ、落ち着いたし情報を纏めよう」

「……分かった」

「まず……あのサンドワームは恐らく渡り……魔の森よりも遠い場所から来た魔物に間違いないだろうな……多分荒原当たりか?」

「そうね。火山地帯にも居るらしいけど、その場合にはサンドワームの体は鉱石で構成される事が多いらしいわ」

「そうなると異常事態だな……マンドレイクが居なくなったからか、もしくは元々こっちに流れてきてたのか」

 

 細かい理由や原因は分からない。だが、これは報告するべき情報だろう。

 

「……帰還しよう。すぐに冒険者組合に伝える」

「了解」

「分かったわ」

「はい!」

 

 そうして、俺達は帰還する。

 ……だが、銀等級に昇格したばかりとは思えないほど、悩みが出ている重たい足取りだった。

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