「……こんなものか。」
明日、行う授業の準備をしてスパナは一息ついた
錬金アカデミーの教師と連合の幹部として仕事をしている、スパナはとても多忙だ。
休みも取れないことも多く、娘から不満を漏らされることも少なくない
「……もう18時か、そういえば風太郎からいちのせによって欲しいと言われていたな。夕食も食べて帰るか」
スパナの直弟子兼親戚の風太郎に帰りにいちのせに寄って言ってくださいと言われたことを思い出し、丁度いいので夕食も食べて行く
ついでにりんね達の様子も見ていくことにした。本日は遅くなるから夕食はいらないとラケシスに言っておいてよかった
「最後にあいつらと会ったのは……二週間前の同窓会以来か。……しかし風太郎のやつ何の用なんだ」
来るように念を押してきた風太郎の用事について考えてみるも、心当たりは全くないならば悩み事か?と思ったが最近の授業態度や学校生活を思い出しても、悩んでいた様子もなかった。気にはなるが考え込んでいても仕方ないので向かうことにする
「いらっしゃ……先生!」
「ああ、お前が帰りに寄れと言ったんだろう」
「へへへ!夕飯食べて行きますか?」
「ああ、お任せで頼む」
「はーい!ちょっと待っていてください!」
まだ営業中ではあったキッチンいちのせではあったが、客はスパナ以外には居なかった
キッチンからは風太郎に呼ばれたのか、りんねが挨拶にきた
「黒鋼先輩、こんばんわ。仕事ですか?」
「ああ、さっきまで授業の準備をしていてな。教職をやっていると義兄さんの凄さが分かる」
「先生は本当にすごいですよね、ところで注文は?」
「風太郎に伝えたが聞かなかったのか?」
「え!?風太郎さっき台所に行きましたけど……」
「なん……だと……?」
錬金術も勉強も基本的にそつなくこなす風太郎だが、料理は激マズなのだ、レシピを見ながらや普通の料理は問題ないのだが、オリジナルやアレンジ系は高校生の宝太郎のよりも不味い。味も悪ければ、色味も悪い。スパナは何度も、風太郎に創作料理を食べさせられている、だが風太郎には悪意はなく好意によるものであり、可愛い親戚の好意を無駄にすることもできなく毎回完食してからスパナは気絶している
「……ラケシスに連絡しときますね」
「……すまん、頼む……宝太郎は?」
「今日は新地球に泊まるそうです」
「……そうか」
「先生!お待たせしました!風太郎スペシャルです!」
「……ああ、ありがとう」
スパナの前に出された料理は、カレープレートだった、プレートの上には紫のカレーライス、黒いサラダ、黄色い魚の揚げ物が乗っている
スパナの事を思ってかしっかりと大盛だ
「(待て……紫のカレーは百歩譲ってわかる、俺も紫の料理は作る。だが黒いサラダと黄色い揚げ物はなんだ!?黒いサラダとか初めて見たぞ!?)」
「先生?」
「……頂きます。」
まずはサラダ……
「(ごふっ!?なんだこれ!?す、酸っぱい?レモンでもかけているのか!?なんとなくひじきといかすみのような味はする……次は揚げ物……うん。普通だな白身魚にかぼちゃの練り物を混ぜているのか)……うまいぞ」
「本当ですか!?よかった~、今日はカレーもよくできたんですよ!」
「(……これは、紫芋か?いやまてなんだこの味は……カレーの味がしない……!?これは……シチュー……!?)これ、本当にカレーか?シチューみたいな感じがするが」
「え?ちゃんとカレールー使いましたよ?」
「そ、そうか」
そしてしっかりと完食をしてスパナは気絶した
「……んう、ああ。なんだかすっきりしたような」
「おはようございます」
「りんね……どれくらい気絶してた?」
「30分程度ですよ」
「短いな、普段は1時間は確実に気を失っているんだが」
「慣れないでくださいよ……風太郎は今キッチンを片付けさせてます」
「ごまかし悪いな」
「いえ、息子がすみません」
「……それにしても、風太郎は元気になったな」
「…………そう…………ですね。その件についてはありがとうございます」
「いや気にするな」
スパナは思いだす、風太郎を弟子にした日のことを
時は遡り、風太郎が錬金アカデミーに入学した頃までさかのぼる
『…………』
『どうした?こんな所で帰らないのか?』
入学して間もない頃、風太郎悩みに悩んでいた
錬金術師として偉大な父と母のこと
もちろん父と母のことは大好きだが、周りからそのことを羨ましがられたり、連合や教師の錬金術師の人に比べられたりした
そうして教室で一人で泣いてる所をスパナに見つかった、スパナは学校生活の中、風太郎が落ち込んでいるのを気づいて、放課後探していた訳だが
『泣いてどうした?いじめられでもしたか?』
『ううん』
『それとも、宝太郎達のことで何か言われたか?』
『…………なんでわかったの』
『ふっわかるさ。』
『おじさんも…………お父さんとのパイプ作りでよくしてくれるの?』
『なわけないだろう?親戚にそんなことする意味はないぞ、新地球なんて行こうと思えばいつでもい行けるしな。お前が心配なだけだ』
『僕ね…………錬金術の才能無いんだって』
『お前がか?ならそいつはお前のこと何もわかっていないな、お前に錬金術の才能がない?そんなことはない』
『ほんと?』
『ああ、今日のテストもよくできていたじゃないか、宝太郎に比べればお前のほうができている。この超S級錬金術師の俺が保障する』
『叔父さん』
『それでも納得できないのなら…………俺が鍛えてやる。パパを驚かせてやれ』
『…………うん!』
「ふっ…………」
「黒鋼先輩…………?」
「いやアカデミー入りたてのあいつを思い出した。あの時は見てられなかったが今の元気な風太郎を見れてよかったと思っている。錬金術の出来が悪いとお前たちの子供としてふさわしくないとふさぎ込んでいたからな。あいつは悩むと駆け込むタイプだ、そこは似なかったな」
「…………そうですね」
「あっ!先生!起きた?相当疲れてたんだね!これ!先生に渡したくて」
「これは……」
「疲れが良くとれるドリンクと栄養剤!最近先生、疲れてそうだったから」
「そうか…………悪いな」
ドリンクは嫌な予感がするが家で飲もう、栄養剤は…………大丈夫だろう…………大丈夫だよな?
「風太郎」
「何先生!」
「何かあったら相談しろ…………両親にいえないことでもなんでも言え。俺はお前の師匠だからな」
「…………うん」
「ところで最近高校のクラスメイトの桜井と仲がいいらしいがこれか?」
最近、クラスメイトの桜井と仲がいいと聞いた、以前共闘した桜井景和の姪だ
「なっ!?ち、違うよ!桜井ちゃんとは…………べ、別に!」
「何、遠慮するな、おすすめのデートスポットを教えてやろう。」
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