カスレアクロニクル   作:すばみずる

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73 頑張った君へのご褒美だよ

 六本木の高層ビルというものは、ボトムレスピットの住人にとっては異世界と呼ぶに相応しかった。

 

 エレベーターの階数表示が二桁を越えたあたりで、隣に立つミトラの手がシラベの手に食い込んだ。

 

 掴んだという表現はとうに通り過ぎていた。小さな指には余裕が無く力が籠り続け、僅かに震えている。

 

 シラベは何も言わず、掴まれるままにしていた。

 

 

 *

 

 

 一週間ほど前。一通の封書がボトムレスピットに届いた。

 

 差出人はデヴァローカコーポレーション。亜修利ヒナタが社長を務める会社だ。

 

 中身は至って真面目なビジネスレターだった。近年の玩具・ホビー市場における小売現場の動向について、現場の知見を持つ専門店からヒアリングを行いたい。つきましては貴店の代表者様にご足労いただき、弊社にてご意見を賜りたく──云々。

 

 あのヒナタの名前が企業の代表取締役として印字されている封書を読んだ時、シラベの第一感は「罠」だった。半ば自業自得とはいえ一服盛られたのは忘れていない。

 

 だが文面を何度読み返しても、そこにミトラへの恋慕や粘着めいた文言は一切含まれていなかった。フォーマルに過ぎるほどフォーマルな、純粋なビジネスの依頼書。添えられた名刺には秘書の連絡先まで記されており、段取りの丁寧さはストーカーのそれではなく、経営者のそれだった。

 

 ミトラは例のごとく面倒くさがった。

 

「行きたくない。あいつの会社とか絶対なんか企んでるでしょ」

 

「俺もそう思うけど、この文面自体に不審な点はないんだよな。企業対企業の体裁を取ってる以上、変なことはしてこないんじゃないか」

 

「カルメリエルに行かせなさいよ」

 

「商店街の組合じゃないんだぞ。代表者指名で来てるのに、得体の知れない奴を代理に送り込めるわけないだろ」

 

「じゃあシラベが一人で」

 

「バイトが店の代表で行ってどうすんだよ」

 

 レヴェローズという選択肢は最初から存在しなかった。あれを六本木の高層ビルに送り込むくらいならフルメタル神輿で突撃した方がまだマシだ。すべてを滅茶苦茶にするという意味で。

 

 断ることも考えた。だがここ最近のヒナタの変化──カードゲームに真剣に向き合い、レヴェローズと連れ立って外部の大会に出かけ、店内でもミトラと普通に対戦を楽しむようになった姿を見ていると、この誘いを無下に断るのは不義理なようにも思えた。

 

 シラベとカルメリエルに道理をこんこんと説教をされた結果、ミトラはしぶしぶ首を縦に振った。

 

 

 

 そして当日。シラベはアパートから引き上げた荷物の中から、ついぞ開けた覚えのない段ボールから引っ張り出したスーツに袖を通していた。

 

 二年近く着ていなかったそれは防虫剤の匂いがこびりついており、ネクタイの結び方を思い出すのに数分を要した。革靴は加水分解せず無事だったので買い直す手間は省けたのは幸いだった。

 

 前の会社で煮え湯を飲まされた時は二度と着るものかと思った服を、まさかカードショップのバイトとして再び着る日が来るとは。人生分からないものだ。

 

 一方のミトラは、経緯は不明だがヒナタに押し付けられたらしいフォーマルなワンピースに身を包んでいた。濃紺の生地に控えめなレースがあしらわれた上品なデザインで、普段のぶかぶかパーカーとは別人のようである。

 

 ただ、その仕立ての良さがかえって彼女の小柄さと幼い顔立ちを際立たせていて、どう見ても保護者に連れられた子供にしか見えない。

 

 アクセサリの類は断固たる決意で拒否したものの、カルメリエルによる説得によって履き潰したスニーカーからシンプルなパンプスへと切り替わっている。

 

「悪くないじゃん。ちゃんと似合ってる」

 

「……うるさい。歩きにくいのよ、こういうの」

 

 ミトラはそう毒づきながらも、顔を伏せてシラベには見せないように努めていた。

 

 

 

 デヴァローカコーポレーション本社ビルのエントランスは、ボトムレスピット全体がすっぽり収まるような広さだった。ミトラが圧倒されて機能を停めている間にシラベは受付カウンターを見定め、躊躇なく近寄っていく。ミトラはそれに必死について行くが、余裕のなさが足音に表れていた。

 

「ボトムレスピットの佐野です。ヒ……亜修利社長との面会の約束で……」

 

 ミトラが受付で名前を告げる声はいつもの気怠げな響きとは全く違う、余裕のない硬さを帯びていた。

 

 受付嬢は小学生女児と見紛うミトラにも動揺を見せることなく来客用のバッジを渡し、エレベーターへと案内する。

 

 案内の目を盗むように、ミトラの手がシラベの手へとじわじわと縋りついていた。小さな手のひらがうっすらと汗ばんでいる。

 

 シラベは掴まれた手をそのまま受け入れる。ミトラの気持ちは理解出来た。こんな場所、頼まれて来ているものの頼まれたって来たくない。

 

 上昇する箱の中で、ミトラがシラベの手を引く。

 

「ねえ」

 

「ん?」

 

「なんでそんな落ち着いてんのよ」

 

 ミトラの声には悔しさが滲んでいた。自分がこんなに緊張しているのに、隣のバイトが平然としているのが面白くないらしい。

 

「前ん時にOJTとかほざきながら色々やらされたからな。何も知らないのにとりあえず付いてこい、行ってこいで丸投げされるのと違って、今回は相手方が知り合いでこっちの事前準備がばっちりなんだからだいぶ気が楽だぞ」

 

 あと、隣でビビり散らかしてる奴がいると逆に落ち着くし、と言わない程度の配慮はシラベにも出来た。

 

「……そう」

 

 ミトラの声はか細い。諸々の負い目が滲み出てきている。社会不適合者だ35歳児だなんだと揶揄しているシラベだが、ここでそういう発破の掛け方をするのは逆効果だと言葉を選ぶ。

 

「大丈夫だよ、店長」

 

 場をもたせるために握られた手を小さく揺する。

 

「最悪でも恥をかくだけなんだから、気にすんな」

 

「……下手を打つ前提で言うの、やめなさいよ」

 

 得意の足蹴りは出なかった。ミトラの手は離れなかった。

 

 

 *

 

 

 会議室に通されると、そこにはヒナタを含む数名の社員が待っていた。

 

 ヒナタの姿を見た瞬間、シラベは内心で少しだけ驚いた。

 

 いつものスーツ姿ではある──破廉恥に半歩踏み出している胸元も含めて。だが、ボトムレスピットで見せる芝居がかった仕草や陶酔した目つきは完全に消え去っていた。背筋は真っ直ぐに伸び、表情は穏やかだが隙がない。席を立って出迎える所作には、風格と呼べるものが確かにあった。

 

 こうなると、脳のネジが外れた服装も馬鹿に出来ない。その内情を知るシラベでさえ、相対していると心をどこか揺さぶる魅力というものをまざまざと見せつけられた。

 

 何も劣情を及ぼすことだけが魅力の得手ではない。心を近寄らせる、自分から近寄りたくなる。懐柔という面において、亜修利ヒナタは己の武器を研ぎ澄ませていた。

 

「お忙しいところ足を運んでいただきありがとうございます、佐野さん、押江さん」

 

 佐野さん。押江さん。名字に敬称。ミトラでも従僕でもない。ヒナタの社員たちの前では、彼女は完璧な企業人だった。

 

「こちらこそ。お招きいただきありがとうございます」

 

 シラベもまた、自然に余所行きの顔を被った。急拵えに用意した名刺の交換。何も知らないミトラへの予習を兼ねて復習した所作の類。準備した甲斐もあり、二年のブランクを感じさせないほど体に染みついたルーティンが自動的に回り始める。

 

 ヒアリングの内容は、ヒナタの手紙に書かれていた通りのものだった。街のおもちゃ屋から見た最近の玩具市場の動向。トレーディングカードゲームのプレイヤー層の変化。店舗大会の運営ノウハウ。子供向けホビーの需要と、大人のコレクター需要の共存。

 

 ミトラはシラベの隣で、必死に店長の仮面を維持していた。声は小さいが受け答えは的確で、商売人としての勘所は押さえている。若くから先代から継いだ個人商店を傾かせずに切り盛りしてきた実績は伊達ではない。

 

 シラベは実務担当として、カルメリエルと共に用意していた日々の販売データや客層の傾向を具体的な数字と共に説明した。ミトラは経営者として、個人商店が大手量販店やネット通販と差別化を図るためのポイントを語った。

 

 ヒナタの社員たちは熱心にメモを取り、時折用意していたであろう質問を挟んでくる。それに対するシラベとミトラの回答は、まっとうな企業の会議室で交わされるには少々泥臭いものだったが、現場の肌感覚に裏打ちされた言葉として受け入れられたように見えた。

 

 シラベは応対しながら、会社員時代の自分を思い出していた。場の空気に合わせて声のトーンを調整し、専門用語と平易な言葉を使い分け、相手の質問の意図を汲んだ上で回答する。

 

 上司の姿を見ながら学んでいたあの頃は、こんなやり取りが一生続くのだと思っていた。リズムゲームのように相手の望む言葉を望む間隔で回答していく、胃酸が迫り上がる焦燥感に追われる毎日。その日常が崩された時、シラベの中のどこかも崩れた。

 

 だが、今はこうして別の形でこの能力が使われている。ボトムレスピットのバイトとして、あの小さな店の代弁者として。

 

 不思議なものだ。シラベはそう思った。悪くないとも思えていた。

 

 

 

 打ち合わせは一時間半ほどで終了し、社員たちが退室した後。ヒナタがシラベとミトラを社長室へと案内した。

 

 重厚な扉が閉まり、三人だけの空間になった途端、ミトラの体からあらゆる力が抜け落ちた。

 

「…………つかれた」

 

 彼女は革張りのソファに歩み寄るなり、そのままぼふっと倒れ込んだ。ワンピースの裾が乱れるのも構わず、全身の筋肉を解放して脱力している。

 

「済まないね、ミトラ。疲れただろう」

 

 ヒナタもまた、社員たちの前で纏っていた経営者の鎧を脱ぎ去っていた。声には芝居がかった甘さが戻り、表情は完全にいつものストーカーモードに切り替わっている。

 

 そしてそのまま、自然な動作でソファの上のミトラに抱きついた。

 

「こら……離れ……」

 

「いいじゃないか。頑張った君へのご褒美だよ」

 

「あんたがしたいだけでしょ……暑苦し……」

 

 普段なら蹴りの一つも飛ばすところだろうが、ミトラにはもう抵抗する気力が残っていなかった。ヒナタの腕の中でぐったりとしたまま、微弱な抗議の声を上げるのが精一杯だ。

 

 シラベは備え付けのコーヒーメーカーから勝手に出したものをそれぞれに運んでからソファに腰を下ろす。ミトラがヒナタの胸の谷間に埋められている光景を特に助ける気もなくしばらくカフェオレのアテにした後、切り出した。

 

「なあ、ヒナタ」

 

「なんだい」

 

 ミトラの髪に顔を埋めたまま、ヒナタが応じる。ミトラの匂いを堪能しているのだろうが、シラベはもう慣れた。いちいち目くじらを立てていたら会話が成立しない。

 

「聞きたかった内容がマジだったのは分かる。社員さんたちの質問も的確だったし、うちの話が参考になるならそれはいい。だけどさ」

 

 シラベはカップをソーサーに戻し、ヒナタを真っ直ぐに見た。

 

「なんでうちだったんだ? 玩具やTCGの現場の話が聞きたいなら、もっと規模の大きい店はいくらでもあるだろ」

 

 ヒナタはミトラの髪から顔を上げ、シラベの目を受け止めた。

 

「信頼できる店の話を聞きたかったんだよ」

 

 その声は芝居がかってはいなかった。

 

「ウチは映像やVR、施設系をメインに扱っているが、最近は物理的なホビーとの融合にも目を向け始めている。だが、企業としても私自身でもこの業界に足を踏み入れてまだ日が浅い。データが必要だった。それも、より現場に近いものが」

 

 ヒナタはミトラを解放し、自分のデスクの椅子に腰を据えた。先ほどまでのストーカーの顔が、再び経営者のそれに戻っている。

 

「数字だけなら分析チームが揃えてくれる。だが、週末に子供たちが何に熱狂していて、大人たちが何に金を使っていて、店先でどんな会話が交わされているか。そういう手触りのある情報は、信頼できる人間からしか得られない」

 

「買いかぶりすぎだ。うちは個人商店だぞ」

 

「個人商店だからいいのだよ。大手は組織の論理で動く。そうでなければならない。君たちは、客の顔を見て動く。そうあろうとする。その差は大きい」

 

 シラベは黙った。真っ当な経営者のような言葉を言われてしまえば、生半可な知識しか持たない社会人崩れに言えるものはもう無かった。

 

 この女は馬鹿ではない。ミトラに対する狂気じみた執着を除けば、いや、それすらもある種の行動力と表裏一体なのだと認めざるを得ない。

 

 ミトラはソファの上でようやく体を起こしていた。髪を手で整え直しながら、まだ疲労の色が残る顔をしている。だが、目だけはいつもの死んだ魚に戻っていた。

 

 ヒナタが椅子に深く座り直し、ミトラに向き直った。

 

「ミトラ。一つ聞いてもいいかな」

 

「何よ。まだなんかあるの」

 

「しつこくて申し訳ないね。さっきの打ち合わせの延長のようなものだ」

 

 ヒナタの声のトーンが変わった。甘さでも鋭さでもない、慎重に言葉を選んでいる響き。

 

「仮に。あくまで仮にだが。いま、ボトムレスピットのある、あの場所。あそことは別の場所に店舗を移すとしたら、どういう場所が考えられる?」

 

 シラベの中で、微かな引っかかりが生じた。

 

 先ほどの打ち合わせを振り返る。立地条件に関する質問。商圏の人口動態。あの場所での需要の推移。データの一部といえばそうだ。しかし、それを一社員が一小売店業者に言うのではなく、ヒナタがミトラに言うのでは質が変わる。

 

 まるで──そう。どこかに移ってほしいとでも思っているかのような質問の組み立て方。

 

 ミトラはソファの背もたれに体を預けたまま、天井を見上げた。

 

「なんでそんなこと考えなきゃなんないのよ」

 

「仮の話だよ。思考実験だと思ってくれればいい」

 

「思考実験ねぇ」

 

 ミトラは天井の照明をしばらく見つめていた。それから視線を落とし、自分の膝の上で組んだ小さな手を見下ろした。

 

「あの店があの場所から無くなったら」

 

 声は平坦だった。

 

「そのまま畳んで、終わりね」

 

 シラベは口を挟まなかった。

 

「自分の代で敢えて終わらせるつもりは、ない。けど」

 

 ミトラは言葉を切り、小さく息を吸った。

 

「私の代で無理に長らえさせるつもりもないのよ。親父がやってて、親父が死んで、私が継いだ。それだけの店。もし私の代で店舗ごと無くなるようなことがあるなら、それはそれまでだったってこと。諦める」

 

 長年店を守ってきた人間の言葉としては、あまりにも淡白だった。

 

 だが、シラベにはその淡白さの奥に何があるか分かっていた。先日の棚卸しで、先代のノートを黙って自分のリュックにしまい込んだ手を知っている。アルバムを捨てると言いながら、カルメリエルに託した声の震えを知っている。

 

 諦められるという虚勢。執着への怯え。失うかもしれないものに執着すれば、失った時の痛みが増す。だから最初から手放す覚悟をしている。

 

 シラベがそう思うことを、ミトラは知っているのだろうか。分からない。ミトラの思いはシラベには読み取れない。

 

 ヒナタは黙ってミトラの言葉を聞いていた。

 

 長い沈黙の後、ヒナタは静かに微笑んだ。

 

「そうか。分かった」

 

 その微笑みには、ボトムレスピットで見せるような芝居がかった色はなかった。ただ穏やかな表情だった。

 

 ミトラが目を細める。

 

「何か変なこと考えてる? 地上げ屋でも雇うつもり?」

 

「まさか」

 

 ヒナタは苦笑して首を振った。そして一度だけ目を伏せ、また言葉を選ぶように少しだけ間を置いてから、口を開いた。

 

「ミトラがあそこを大切にしているというのが分かっただけだよ」

 

 その声は静かだった。

 

 ミトラは何も答えなかった。

 

 

 

 

 ビルのエントランスを出ると、冬の冷気が頬を打った。都心部の喧騒が二人を包む。

 

「あー……疲れた。もう二度とスーツ着ない」

 

 シラベがネクタイを緩めながら大袈裟に伸びをすると、隣のミトラが小さく笑った。

 

「案外似合うのに。今度からそれで接客してもいいんじゃない」

 

「やめろ、めんどくせえ。あとお前に褒められると調子狂うんだよ」

 

 ようやく気を張らずに済むという状況で、ミトラに余裕が生まれつつあった。シラベの装いを今更になって上から下へと見ていき、へぇほぉと感嘆符を漏らしていた。

 

「素直に称賛は受け取りなさいよ。そういう慣れってのが、社会人経験ってやつ?」

 

「どうだろうな。着こなしについては大学時代のバイトの方が役立ってる気がする」

 

「何それ。塾のバイトでもしてたの?」

 

「……まぁそんなとこ」

 

 二人は並んで駅へと歩き出す。ミトラのヒールの音がカツカツと歩道に響いていた。

 

 途中、ミトラの足が止まった。

 

「シラベ」

 

「ん?」

 

「さっきの、ヒナタの質問」

 

 ミトラは前を向いたまま言った。

 

「あんたはどう思った」

 

 店を移す話か。あるいは、店を畳む話か。

 

 商店街の片隅にある古びた小さなおもちゃ屋。地図の上では点にもならないような場所だ。

 

 だが、あそこにはレヴェローズがいて、カルメリエルがいて、大穴がいる。気の荒い女子高生が通い、初恋を拗らせた小学生が通い、そしてシラベ自身が住んでいる。

 

 あの場所が無くなったら。

 

 シラベは少し考えてから、答えた。

 

「俺はただのバイトだから、店がどうなるかに口出しする立場じゃないけどな」

 

「そういうのいいから」

 

「──あの店が無くなったら、困る。俺が」

 

 それだけ言って、シラベは歩き出した。

 

 ミトラはしばらくその場に立ち止まっていたが、やがてヒールの音を鳴らして追いかけてきた。

 

 何も言わなかった。ただ、帰りの電車の中で、ミトラの小さな手がシラベの袖をずっと掴んでいた。

 

 行きの時よりも少しだけ強い力を、シラベは握り返した。

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