Yoakeのぼやけ   作:目玉の回游魚

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この物語はフィクションです。


#1

今日も憂鬱が始まった。

朝起きると同時に体が言うことをきかない。理由は分かっている、最近無理をしすぎた。働きすぎてニキビが増えたり、昔のトラウマがフラッシュバックしたり、そういうことが何度か起こると鬱になってしまう。

でも起きないといけない。布団から目覚め、顔を水で洗って鏡を見る。苦痛に満ちた顔だ。洗顔をして、朝食の用意をする。友達によると、気分のいい人は鼻歌交じりに朝食を作るという。でも僕は鼻歌を歌うことすらできない。歌いたくない。それくらい嫌な日々だ。

朝食を食べ終わり仕事着に着替えて、家を出る。鍵を閉めたとき、何かが肩に乗った気がした。でも何も乗っていなかった。

僕は会社へ向かった。

 

会社に着くといつも通りの環境だった。

脳に刻み込まれているキーボードを打ち付ける音、社員に対しこれでもかというほどの大声で怒鳴る部長の怒号。

その他色々な音がオフィスの壁を反響して僕の耳の中に入ってくる。

ストレスMAXの会社だ。

いつも通り、自分のデスクに座り業務を始めた。

他の社員も疲れているのだろう。やけにenterキーを押す音が大きい。何度もこの光景を見たせいか、脳がすっかりこの環境に適応してしまったようだ。

業務を続けていると、隣の沢村がヒソヒソ声で話しかけてきた。「お前はさあ、この環境どう思ってんの?いつまでもここで仕事せずにさぁ、辞めて新しいところで働こうぜ。」沢村は僕の同僚だ。小さい頃から今みたいな性格だった僕にもできた、唯一の同僚兼友達だ。こんなクソみたいな会社の唯一の癒しだ。

しかし部長の地獄耳がそれを拾ってしまった。タダでさえキレていた部長が、血相を変えて、僕たちのところにやってきた。そして、開口一番にこう言った。「てめえらは働いとけばいいんだよ、カスどもが。」他の同僚は注意したらキレられると思い、傍観している。そして沢村の方に顔を向け耳元で囁いた。「次そんなことを言ったら殺すぞ。」言いたいことを全て言えて満足したのか、部長は自分の席に戻っていった。

戻って行った後、沢村の顔を見た。目に精気が宿っていなかった。体は小刻みに震え、今にも涙は溢れ出しそうだった。僕はそんな沢村の背中をさすってあげた。

一方の部長はというと禁煙のオフィスで堂々とタバコをふかし、机に足をかけ、スマホを見ている。

僕はタバコの匂いが大の苦手だ。父もよく吸っていたが、その後肺がんで死んだ。普段からコンビニの外などの喫煙スペースで吸っている所を通り過ぎるときは、息を止めているようにしているが、今は自分よりもあいつの息の根を止めたい。この仕事から解放されたいと考えるようになった。

もちろん仕事を辞めることもできた。退職届を出しに行ったが、却下された。相手は誰かというと、あの部長だ。部長は言った。「辞めてもいいが、お前の個人情報をSNSに晒すぞ。」と脅された。嘘だと思った。僕の個人情報なんかいつ知ったんだと思った。硬直している僕に、部長は一枚の写真を投げつけた。それは僕の家の写真だった。それを知った瞬間、僕はすぐさま業務に戻った。

そしてその後は何もなく業務を終え、帰路に着いた。

そして心が脳にこう言った。「あいつを殺してやる。」と。




ご覧いただきありがとうございました。
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