東方万能録   作:オムライス_

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10話目です!


10話 土地神 洩矢 諏訪子

「うぅ…ん…ん?」

 

「おっ、気がついたか」

 

「ここは……ってお前は!!」

 

暫く辺りを見渡した後、俺に気がつき勢いよく飛び退く幼女もとい洩矢諏訪子

 

「意識が戻って早々騒がしい奴だな」

 

「誰のせいだ!それにここは…!」

 

まだ頭が混乱してるのかイマイチ状況が飲み込めていない様子だ

 

「落ち着けって。ここはお前の神社の寝室だ」

 

「えっ…?」

 

あの後俺は気絶した洩矢諏訪子をそのまま放置しておく訳には行かず(大半は俺のせいだし)、一先ずこの神社内に抱えて行き寝かせていた。

 

「…何故助けた?」

 

「え?」

 

「理由はどうあれ私はお前を殺そうとした。そんな私を態々神社まで運び入れ介抱した理由はなんだ?」

 

洩矢は一斎警戒を緩めようとせず鋭い瞳で尋ねてきた

 

「いやだって悪いのは俺だしさ、神社の床割ったり賽銭箱壊しちまったり」

 

「だからって敵国である私を助ける理由にはならないだろう?」

 

ああそうか。そういやそっちの誤解も解かないとな

 

「初めに言ったろ?俺は大和の手の者じゃないし、そもそも何処にも属してない。だからお前と敵対する気も無いんだ」

 

「…それが本当だとして何であんな真似を?」

 

それはゴメン。完全に俺が悪いわ

 

「それについては悪かったよ。何て言うかその、此処に向かって跳んで来たんだけど丁度着地地点に賽銭箱があってさ……

どうしようか焦ってる間に勢いを殺すのを忘れててそのままガシャーンっと」

 

「…」

 

「…」

 

「……?」

 

「えっ、そんだけ?」

 

「そんだけ」

 

ガクッとコケる洩矢。

うーむ、ナイスリアクションだ

 

「なんだ…私はてっきり奇襲を掛けられたんだとばかり思ってたよ」

 

「ごめんなさい」

 

「…もういいよ。悪気があった訳じゃ無いんだろう?」

 

「そりゃ勿論。神に誓って」

 

いるけどね、目の前に

 

「じゃあ許すよ。こっちこそゴメンね?いきなり襲いかかっちゃって」

 

「気にしないでくれ、お互い様だ。

それより自己紹介がまだだったな、

俺は柊 隼斗だ」

 

「私はこの国の神、洩矢 諏訪子。諏訪子でいいよ。私も隼斗って呼ばせてもらうし」

 

「よろしく諏訪子。ところで大和の国と信仰を巡って戦争を起こすって話だが…」

 

「ああ、その事…」

 

俺の質問に声色を暗くしながら懐から一枚の文を取り出す諏訪子

 

「先日大和から届いてね。内容は要約すると、この国の信仰を渡せ。さもなくば攻め入るぞって事が書かれてる」

 

ん?聞いてた内容と少し違うな。これじゃ交渉どころか脅迫もいいところだ

 

「それ差出人は誰になってる?」

 

「記述はされてないね。全く失礼な奴だよ!」

 

おかしいな……

神奈子はその辺の事はしっかりしているタイプだったが

 

 

「まあ何方にせよ私は戦うよ。民を奪われる訳にもいかないし、私だって黙って消えるつもりもない」

 

「…消える?どういうことだ?」

 

「私は土地神。人々の信仰があってはじめてその姿形を保つ事が出来る。ならその信仰を奪われたら?」

 

「…そういう事か」

 

このまま大人しく従っても、戦って負けても結果的に信仰は失うことになる。

 

「なんかゴメンね?会って間も無い隼斗にこんな話しても困るよね…」

 

「い、いや…そもそも聞いたのは俺だし……」

 

ヤバい…予想以上に深刻な事態だった

 

俺個人としては助けてやりたいけど、部外者が手を出すのはなぁ…

神奈子にも言われてるし

 

「…もしも、もしもだぞ?相手が八坂神奈子だけだったら勝率はどれ位ある?」

 

「えっ、どうしてそんな事…」

 

「いいから!ほれ、言ってみ」

 

すると諏訪子は暫く考え込んだ後

 

「正直それでも厳しい。

でももしかしたら可能性はあるよ」

 

よし!それだけ聞ければ十分だ

 

「わかった。ちょっと待ってろ!」

 

思い立ったら吉日

 

俺は早速立ち上がり神社の外に出る

 

「ちょ、ちょっと隼斗?急にどうしたのさ!?」

 

「八坂神奈子と交渉して来る。戦いを一騎討ちにしてもらえる様にな」

 

「そ、そんな無茶な!?」

 

「いや、案外何とかなるかもしれないぜ?」

 

「それってどう言う…」

 

諏訪子が聞き返した時には既に隼斗は跳び立った後だった




うーん……
主人公に飛行能力を与えるか否か…

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