少し遅れましたが出来上がりました
終盤若干急ぎ足かも?
何はともあれ97話です!
博麗神社倒壊から三日後のある日。
八雲 紫は進捗状況の確認の為、博麗神社を訪れていた
あの一件から此処の巫女である霊夢は異変の犯人である比那名居 天子を破り、神社の復興を命じていたのだが……
「……あまり進んでいる様には見えないわね。本当に直しているのかしら?」
「一応工事はしてるんじゃねーの?ちょこちょこ天界の連中が降りてきてるのを見たし」
その隣では同じく頭を傾げる隼斗が、未だ足元にある屋根を目にしながら答えた
「なら天人って言うのはよっぽどのんびり屋なのね。このまま黙ってる霊夢も霊夢だけど」
若干の苛立ちを漂わせ扇子で表情を隠した紫を横目で流しながら、隼斗はある事を口にする
「アイツら天人は神通力だかが使えるんだってな。神社の修復も術を使ってやってるらしいが、その現場を誰も見てねー(霊夢は知らんが)。つまり何かしら『細工してても』バレやしねーって事になる」
「……それは貴方の勘?」
「まあな」
「……はぁー、どうやら調査が必要な様ね」
「俺がやろうか?」
「いいえ、偶には私が動きましょう。このままじゃ埒が明かないしね」
紫はスキマを開き中へと消えていった。
隼斗は一人思案し、ある人物を思い出す
「……竜宮の使いを当たってみるか」
結局彼も、独自に動き出した
・
・
・
・
妖怪の山上空を駆ける隼斗は、以前異変時に対峙した永江 衣玖の活動場所を目指していた。
……っと言ってもあの時以来会っていないため、その場所にいるかは不明だったが
詰まる所、普段通り勘で動いていた
「ん、この辺か」
「あら、貴方は…」
そして行き当たりばったりでも出会えてしまう。これも普段通り
「よお、丁度探してたんだ。ちょっといいか?」
「私を?何でしょうか」
「お宅んトコの『とんでも娘』が何処にいるか知らないか?」
「総領娘様でしたら地上に降りている筈ですが………何分自由気ままな方ですので私も把握しきれてないんです」
「ん、そうかー。(…となると、敢えて俺たちを避けてるのか?ますます裏がありそうだな)」
「あの、総領娘様がまた何か?」
「まあ、神社の再興を任されてる筈なんだが姿が無くてな。……そろそろウチの賢者がブチ切れそうだから早めに手を打とうと思って探してんだ」
「ふーむ……しかしそれはそれでいい機会かも知れませんね」
「ありゃ、意外な言葉が出たね」
「あの方は些か身勝手過ぎます。ここらで一度お灸を据えられた方がいいでしょう。
……あっ、私がこう言った事は内緒にして下さいね?」
「……お灸で済めばな」
ーーー
「……貴女は何処にでもいるのね、萃香?」
「ん〜?ああ、紫か」
何だかんだで進行している神社の修復。
時刻は夕暮れ。紫は出来上がった博麗神社の縁で横になり、酒を飲む小鬼の隣へ腰を降ろした
「お前が出歩いてるなんて珍しいな。どーした?」
「調査よ。此処を壊してくれた傍迷惑な天人が何か企んでないかをね」
「天人なら作業終えてさっき帰ってったぞ?作業ペースもそこそこに短時間で此処まで直せるのは大したもんだ」
「可笑しいわねぇ。私が見にくると毎回いないのよ?」
「ははーん。だから何か企んでるんじゃないかって探してんだ?」
「私はさっきそう言ったわ。全く、酔っ払うのも程々になさいな」
「なんだよヤケに機嫌悪いじゃん。こりゃまた珍しいや」
ケタケタと笑いながら瓢箪を口へと傾ける萃香とは対照的に、相変わらず紫は表情を扇子で隠したままだった
・
・
・
・
・
八雲 紫等が調査に乗り出してから更に数日後。
博麗神社は元の形を取り戻していた
「はあ?落成式…?」
「そうよ。折角工事が終わったんだもの。新しく生まれ変わった神社として皆に知ってもらわないと!」
これを機に今まで何処にいたのか比那名居 天子は神社を訪れ、霊夢に提案を持ち掛けた
「知ってもらうって……この神社は元々人が寄り付かないトコだったし、態々公にしなくてもいいんじゃない?」
「いいからいいから。ちゃんと最後まで私が責任持って仕上げてあげる!」
半ば強引に話を進めていく天子
するとその場の空間に一筋の切れ間ができ、中から伸びてきた白い手が天子の肩を掴んだ
「にょわー!?な、何っ!?」
「漸く捕まえたわ」
次にスキマから紫が陰のできた笑顔を浮かべながら現れると、天子の表情が驚愕から狼狽したものへと変わる
「迂闊だったわね。今まで通り姿を眩ませていれば良かったものを……計画達成を前に浮かれていたのかしら?」
「な、何のことよ?」
「惚けても無駄。既に調べはついてるの。お前の家系には神社がある事も、博麗神社を利用してこの地に領土を広げようとしている事もね」
「ふ、ふん。だから何?良いじゃない別に。地を這う妖怪風情がこの私に説教垂れる気?」
「……貪欲・慢心・傲慢。お前に限らず天人はいつもそう。『だからこそ余計に腹が立つのよ』」
紫は振り返り、天子の手によって再興した博麗神社に手を翳す
「ちょっ…!」
ーーー止める霊夢には目もくれず、紫は神社を再び倒壊させた
「なっ!?なんて事してくれたのよ!!」
声を荒げたのは霊夢ではなく天子の方だった
「……お前が神社の修復の際、小細工を施した事は知っている。だから壊したの。此処は幻想郷よ。地に足を着けもしない天人なんぞに渡しはしないわ」
「この……ッッ!?」
激昂した天子の首を、まるで上下で分けるようにスキマが開く
「いつ迄『その立ち位置』にいる気?まだ自分の立場がわかってないようね」
普段の落ち着いた物腰とは明らかに違う、明確な怒りを露わにした紫は殺気を発しながら続ける
「此れだけの事をしたんだ。それ相応のもので償いなさい」
「ひっ…!」
ーーー『美しく残酷にこの大地から住ね!』
紫はスキマを閉じるため、掌を翳した
ガシッ
誰もが息をのむ状況下で、その腕を掴む者が一人
「その辺にしといてやれ」
「……隼斗」
隼斗は穏やかな口調のまま続ける
「お前の怒りは尤もだ。制裁を加えなきゃ治らねェってんなら止めやしない。……ならなんで俺は止めたか、紫ならわかるだろ?」
「………」
静かに消えるスキマ。
解放された天子は緊張の糸が切れたのかその場にへたり込んだ
紫は一度深く息を吸い込み、思いっきり吐いた
「ふぅ……私とした事が大人気なかったようね。でもこれは最終警告よ。次は無いと思いなさい」
先程とは違い殺気が消え、落ち着いた様子で忠告をした紫は「我ニ投ズルニ桃ヲ以ッテスレバ、コレニ報ユルニ李ヲ以ッテス」と言う言葉を残し、スキマを開いてその場から姿を消した
「……さて」
地べたに座り、未だカタカタと震える天子を見下ろす隼斗
「今回初めて命の危機ってヤツを感じてわかったろ?アイツは普段滅多に怒らない。お前さんは自分が考えてるよりもとんでもない事をしちまったんだ」
「………そのようね」
「よーく反省しろ。そんで周りとも、もうちょい仲良くしてみろ。考え方も変わると思うぜ?」
天子をその場に残し背を向けて歩き出す隼斗。それと入れ替わるように永江 衣玖が天子の元に降り立った
「それとな、アイツが去る前に残した言葉。『接し方を考えてくれるなら、仲良くしよう』……って意味だぜ」
「多分な」っと笑いながら、霊夢を連れてその場を後にする隼斗を、天子は無言のまま見送った。
衣玖は天子の肩に手を添えて優しく起こした
「さっ総領娘様、帰りましょう」
「………ぅ」
「はい?」
「だからありがt………何でもない!」
「……あらあら」
ーーー
「今日は珍しいものを見たわ」
「だなー。紫のヤツ瞳孔ガン開きだったし」
「それもあるけど………優しい隼斗も何だか気味が悪いわ」
「あンだとコラァァア!?」
この後、再び倒壊した神社を前に呆然としたのは言うまでもない。
神社については後日、隼斗に怒られた紫が萃香に頼み込んで修復されたという
はい、これにて緋想天は以上になります。
因みに、以前の話で隼斗と衣玖さんが戦闘しそうな場面がありましたが、実際この二人……戦ってません。
隼斗が深読みしすぎてなんかあんな感じになっちゃいました(謝)
本人も反省してる事ですし許してつかぁさいm(._.)m