季節は冬。
毎年順当にやってくるこの季節は、当然幻想郷でもお馴染みであり、人・妖怪それぞれ外を出歩く事が少なくなる
此処、博麗神社ではコタツに入り、頬杖をついて蜜柑を頬張る巫女の姿があった
「はぁ……参拝客が来ないのは毎度の事だけど………この時期は特に人気が無いわね」
毎年来る季節、毎年恒例の悩み。
しかし彼女自身が外に出るのを渋っている為、仕方ないと言えば仕方ない
「ん〜。あっ……表の雪掻き忘れてた」
閉め切った部屋の外には雪が降り積もり、膝下近くまで達していた
「うぅ〜寒いから外出たくないけど……このままじゃまた去年と同じだし……うーん」
五分間の葛藤の末、なんとかコタツから這い出た霊夢は雪掻き道具を手に外へと出た
「あー寒っ。こんなに寒い中作業しても儲かるわけでも無しに。……虚しいわね」
一人神社の庭で悟る霊夢だが、別に悲しいBGMなど流れていない
「一層の事隼斗に支援頼もうかしら」
霊夢がそう呟いた時だった
ーーードオオオォォオオンッッ!!
大地が揺らぐ程の衝撃と大音響が鳴り、博麗神社近辺の大地が上空へ勢い良く吹き飛んだ
「ななな、何事よ一体っ!?まさかまた地震じゃ…って冷たっ!?」
思わず雪の上に尻餅をついた霊夢は、覚束ない足取りで現場へと向かった
「えっ……」
そして彼女はその場に立ち尽くした
目の前で空高く噴き出す『間欠泉』を目にしながら
ーーー
「……霊夢、お前温泉でも掘り当てたのか?」
異変を聞きつけ駆け付けた隼斗は、一定周期で噴き出す間欠泉を前に呆れながらそう尋ねた
「私じゃなくて勝手に吹き出したのよ。隼斗も聞いたでしょ?あの轟音」
「あんだけデカけりゃな。俺はまた神社が吹き飛んだのかと思ったよ」
「全く、こっちは雪掻きの最中だってのに…!」
「……厳密に言えば俺がな」
両手にシャベルを持ちながらサラリと文句を言うも、当の本人には態とかマジなのか聞こえていない様子
「まあでもアレだな。一層此処に温泉地でも造りゃ、ちっとは参拝客も来るんじゃねーか?……なんてな」
「あっ…それ名案ね!だったらまず萃香呼んで設計してもらわないと!!」
「本気にしちゃったよこの人」
張り切る霊夢とは対照的に、ある事に気付いた隼斗は静かに噴き出す間欠泉を見据えた
「……霊夢、温泉造る前にやる事が出来たぜ」
「えっ?…あっ、お土産も用意しないと?」
「お前は一旦温泉から離れろ!…じゃなくて、アレ」
「何よっ……!?」
二人の視線の先では間欠泉と共に地面から這い出る怨霊の姿があった。
何故それが怨霊だとわかるのかと問われれば、二人は揃ってこう答えるだろう
『邪気を孕んでいるから』っと
地下深くから流れ出る怨霊。
放っておけば生者に悪影響を及ぼしかねない為、霊夢と隼斗は一先ず結界を張った
「ちょっと、どうなってるのよ!温泉は兎も角何でコイツらまで…!」
「間欠泉と同じ場所から出て来てるって事は、何か関連性はあるんだろうけどな」
先の噴き出した間欠泉により、地面に大きく開いた穴を見つめる二人。
底の見えない真っ暗な世界が広がっており、そこから噴き出す数多の怨霊が、より不気味さを醸し出している
「……いや待てよ?なんかコイツら大人しくないか?」
「………本当ね。邪気を纏ってはいるけど悪意を感じない。……もう訳がわからないわ」
「兎に角このままじゃ埒が明かねーし、一度紫に相談してみようぜ」
「ハァ、一難去ってまた一難か……」
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博麗神社居間にて、冬眠期間中に偶々起きていた紫を交えての緊急会議が行われた
「そう。それは少し良くないわね。よりによって地底への入り口が開くなんて」
「地底?なんだよ、幻想郷にそんなトコあったのか」
「昔は地獄の一部として使われていた場所よ。今は旧地獄として物好きな妖怪が住む都となってるけど」
「そんな所から間欠泉や地霊が出るの?」
「地霊は残留した霊が間欠泉のタイミングで湧き出てきたと考えるのが有力だけど……間欠泉に至ってはわからないわね」
「つまりその地底で何か異常があったって事か?」
「恐らくは。本来地上と地底が干渉し合う事はない筈なのよ。……霊夢、今回は立派な異変。原因を突き止める必要があるわ」
「うぅ、やっぱり……。折角温泉でゆっくりしようと思ったのに」
「心配いらないわ。これから向かうところは昔『火焔地獄』と呼ばれていた場所。きっと暖かいわよ?」
タイトル付けた後に『仄暗い水の底から』思い出した´д` ;