東方万能録   作:オムライス_

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少し遅れまさしたが99話です。
次回の投稿で実質的な100話(祝)!






99話 地底の奥へ

「……改めて見てみると気味悪いわ」

 

地面にポッカリと開いた穴を覗き込みながら率直な感想を述べる霊夢。

穴の底は見えず、何処までも続いているのではないかと言う錯覚に陥る程

 

 

「……俺が先に降りる。霊夢は後から来い」

 

 

そう言うや否や、何の躊躇もせず穴へと身を投げる隼斗。

あっという間に闇へと消えた彼の姿を見て、霊夢は呆れたように呟いた

 

 

「命知らずね」

 

 

そして彼女も後に続いた

 

 

 

 

 

隼斗は自由落下によりグングン穴の底へ向かって行く。

落下を始めて既に十数秒程経っており、この穴は相当深い事がわかる

 

 

「破道の三十一『赤火砲』」

 

 

隼斗は掌サイズに調節した赤火砲を落下先へと放った。

数秒の灯火と共に、炎弾は底へと着弾した

 

 

「よっっっっとおー!!」

 

 

空気抵抗等を考えなかった場合の落下速度だけでも優に500㎞/hを超えている状態で、隼斗は足裏から瞬間的に霊力を放出させる事で衝撃を緩和し、着地した

 

早速周囲を見渡すも、光は一切なく完全な闇が広がっていた

 

 

「なんも見えねー。此処に住んでる奴らは暗視ゴーグルでも付けてんのかな」

 

「そんなハイカラなもんは無いよ」

 

 

隼斗の独り言に返答。

周りは洞窟の様になっているのか、やや反響気味に聞こえた

 

 

「……お前さんはアレか?地霊的なヤツ?」

 

「いんや、唯の妖怪だよ」

 

 

今度は真後ろから聞こえ、隼斗は首だけを其方に傾けた

 

 

「……随分落ち着いてるんだね。こんな暗闇でいきなり声掛けられたのに」

 

「目が見えなくても気配でわかる。それにもう暗闇で泣き叫ぶような歳でも無えしな」

 

「歳食ってても怖い奴は怖いんじゃないかねぇ」

 

「まあでもいい加減見えねーのは不便だから明かりつけるわ」

 

そう言って手元で再び『赤火砲』を灯す隼斗。あっという間に彼の周囲は照らされ、声の主の姿も照らし出された

 

 

「第一地底人発見」

 

「だから妖怪だってば。アンタ等人間の天敵、土蜘蛛の黒谷 ヤマメさんだよ」

 

「そうか。柊 隼斗だ、よろしくな」

 

「これまた意外。土蜘蛛と聞いて怖がらないなんて」

 

「土蜘蛛だと何かマズいのか?」

 

「『土蜘蛛は病を操る』ってんで昔から恐れられてきたもんさ。かく言う私もブイブイ言わせてた時期があったかねぇ」

 

「へー、そりゃまた。でもどの道俺がビビる要因にはならねーな」

 

 

その言葉にヤマメの眉がピクリと動く

 

 

「……ほう。そりゃまたどうしてだい?」

 

「生まれてこの方、病気とは無縁なんだ。丈夫いからな」

 

「隼斗って言ったかい?地上ではどうか知らんが、此処ではあまり大口叩かない方が身の為だよ?これは挑発でもなんでも無くね」

 

「だが事実だ。なんなら試してみるか?」

 

「………言ったね?えいっ!」

 

 

ヤマメは隼斗に向けて能力を使用。

隼斗の身体を毒々しい色の靄が包む

 

 

「一応警告の意味も込めて致死性のモノは使わないよ。……調子はどうだい?」

 

 

ヤマメの質問に、隼斗は変わらぬ調子で答えた

 

 

「至って健康。地上まで崖登りが出来るレベルで元気だ」

 

「……こりゃ驚いたね」

 

 

 

ーーー

 

 

「悪いな、道案内頼んじまって」

 

「いいっていいって。私も暇だったし。それよりも連れがいるんだろう?待たなくて良かったのかい?」

 

 

ヤマメの案内により洞窟内を進む隼斗。

共に来た筈の霊夢がこの場に居ないのは、単純に『隼斗の着地地点に現れなかった』為である

 

 

「逸れちまったもんは仕方ねーよ。まあ進んでりゃそのうち会えるだろ」

 

 

軽い調子で答える隼斗に、ヤマメは若干呆れながら尋ねた

 

 

「……大雑把なんだね隼斗は。それよりも此処へは何しに来たんだい?」

 

「連れが温泉と怨霊を引き当てちまったからそれの調査だ」

 

「……そ、それは運が良いのか悪いのか」

 

「ヤマメは此処には結構長いんだろ?どんな場所なんだ?」

 

「そうだねぇ。このままもう少し歩くと旧都と呼ばれてる大都市がある。元々は地獄だった場所さ。更に奥には今でも漂ってる怨霊と火焔地獄の跡地があるから、案外そこが原因かも知れないよ?」

 

「……いや案外って言うかそこで確定っぽくね?こりゃ思いの外早く解決出来そうだな」

 

「火焔地獄の上には地霊殿って屋敷が建ってる。そこの『古明地 さとり』って妖怪から話を聞いた方がいいんじゃないかしら」

 

「誰だそれ?」

 

「旧地獄跡の管理を担い、実質地底を取り仕切ってる妖怪さ。その能力故に『地上からも地底からも嫌われている』、ね」

 

「……」

 

 

暫く歩いていると、視線の先に幾つもの灯りが見えてくる。

それは数々の提灯や松明と言った、人工的な灯りであり、そこに文明が築き上げられている事がわかった

 

 

「驚いたかい?アレがさっき言ってた旧都だよ」

 

 

その質問に、何故か隼斗はジト目で答える

 

 

「ああ、確かに驚いた。ーーー早速彼処でドンパチやってる『連れ』にな」

 

「……へっ?」

 

 

前方に見える、洞窟側と旧都の間に架かる橋。

その上ではチカチカと閃光が瞬き所々炸裂音が聞こえている

 

 

「ええい!そのスイスイと私の攻撃を躱す様……妬ましいわ!!」

 

「じゃあ当たれってか!無茶苦茶言ってんじゃないわよ!」

 

 

口論も交えながらの弾幕戦を繰り広げていたのは、言うまでもなく後続していた筈の霊夢だった

 

「何でアイツが俺より先に此処に着いてんだよ。つーか誰だアレ」

 

「あちゃ〜、パルスィの嫉妬に触れちゃったか。どうする?」

 

 

パシッと額を軽く叩いたヤマメは、加勢すべきでは?と言う意味を込めて隼斗に尋ねた

 

彼は冷ややかに答える

 

 

「ほっとけ」

 

 

 




ヤマメと小町の口調がごっちゃになりつつある今日この頃

次回は100話!お楽しみに!!
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