遅くなりましたが107話投稿致します!
風を切り、猛スピードで突き進む影。
ほぼ一瞬にして、飛翔する船を捉えたソレは、勢い余ってか甲板に突っ込んだ
「我ながら見事な速度調節。一瞬で追いついたぜ!」
「ちょっと魔理沙!着地くらいもっとスマートにしてよね…!」
「まあまあ、絶叫マシンみたいで面白かったじゃないですか」
特に悪びれる様子のない魔理沙を霊夢が窘め、早苗が宥める。
甲板には大きな溝が出来ており、停止した際の摩擦熱で煙が上がっていた
「次から次へと何なの?」
その光景を間近で見ていた一輪は、呆れ返った様子で立ち尽くした。
今し方侵入者を摘み出したばかりだと言うのに……と肩をすくめ、新たな侵入者を対処するため歩み寄った
「一応聞いておくわ。貴女達も宝目当ての盗人さん?」
「失敬だな。私は永久に借りる事はあっても盗むなんて事はしないぜ!」
「魔理沙さん、世間一般的にはそれを盗人って言うんですよ。……コホンッ。私達はこの船の調査に来t……」
そう弁解しかけた早苗の言葉を、己が欲を隠そうとしない紅白巫女が遮った
「決まってるでしょ!宝と聞いて食いつかない人間はいないのよ…!」
「……素直な事ね。まあいいわ、『雲山』」
直後、一輪の背後から桃色の雲が出現する。
その雲は形を変え、巨大な人間の様な頭部と、腕の形を形成した
「申し訳ないけど、貴女達には即刻ご退場頂くわ」
そう言って拳を引いた彼女の動きに合わせ、後方の大男も連動するかの様に拳を引いた
轟ッッ!!と身の丈を優に超える拳が突き出され、霊夢等は思わず空中へ逃れた
「いきなり危ないわね!」
「……ご心配なく。今のは避けられる様打ったわ。あわよくば怖気付いて帰ってくれると思って」
「あれは……入道?ご老人みたいな風貌をしてますけど……」
突如現れた入道、そして侵入者を前に身構える両者。
しかし張り詰める空気の中で、魔理沙はフワリと甲板に降り立った
「パワー勝負なら受けて立つぜ!」
八卦炉を構え、自身に向けられている拳と対峙する
「霊夢、先鋒は私が貰うからな」
「よし!早苗、行くわよ」
「早っ!?いいんですか置いていって!?」
「魔理沙なら大丈夫よ。ほら、お宝が待ってるわ!」
「別に私はお宝目当てじゃありません〜!」
忙しくその場を後にする二人を、魔理沙は呆れ顔で見送った。
同様に一輪も視線だけを向け、溜息を吐いた
「騒がしい連中ね」
「ああ、私もそう思う。
って言うより対峙してる私が言うのもナンだけど、素直に通して良かったのか?」
「別にいいわ。船員は私だけじゃないし、元より盗られる物もないしね」
「そうなのか?じゃあ霊夢の奴後でガッカリするだろうな」
「あら、貴女も宝が目的じゃないの?」
「私は面白そうなモノがあれば何処でも現れるんだぜ!」
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船内へと侵入した霊夢と早苗。
中は意外にも広く、質素な造りとなっていた
「空を飛んでいるから機械的な仕様かと思えば……、何か不思議な力が働いているんでしょうか?」
「不思議なんて幻想郷じゃ日常茶飯事でしょ。それよりお宝は何処かしら?」
まるで廃屋の様な船内を、適当に彷徨う二人。しかし霊夢の言うような金銀財宝など見当たらず、ひたすら何もない空間があるだけだった
「貴女達は誰?」
そんな声が響き、二人は同時に視線を向けた。薄暗い通路の先から足音が一つ。
シチュエーション的には幽霊船の様な状況に、二人は思わず身構えた
足音はコツコツと近づいてくる
「幽霊……でしょうか?」
「だとしたら足のある幽霊ね」
「……お察しの通り、私は舟幽霊だよ」
船内に漏れる光の下で立ち止まった少女は、両手首を体の前で折りながら舌を出して答えた
「随分血色の良い幽霊も居たものね。アンタ誰?」
「それ私が先に聞いたんだけどなぁ……。コホンッ、私は村紗 水蜜。この船の船長をしてr……!?」
船長帽の鍔を摘んで被り直しながら自己紹介をした村紗は、ふと霊夢の腰に吊るされている物を見て目を見開いた
「『飛倉の破片』…!貴女、それを一体どこで?」
「どこって、ウチの庭に落ちてたから拾ったのよ」
「そのUFOなら私も拾いましたよ、ホラ」
「!!」
暫く二人の取り出した謎の光る物体を見つめた村紗は、一拍おいて表情を変えた。
当初の軽いものから険しいものへ
「貴女達見たところ人間みたいだけど何しに此処へ?」
「昔からこう言う古臭い船にはお宝が眠ってると聞くわ!だったら目的は一つ。トレジャーハントよ!!」
「それは沈んでる方なんじゃ…?」
「……そう、宝物目当てなのね。だったらこの通路を進んだ先の『私の部屋にある』わよ」
村紗は視線を二人から外さずに、指だけを後方に向けた。
そちらを見れば、確かに薄っすらと扉のようなものが見える
「……『どうぞ此方に』って空気じゃないわね」
「えーと、こういう時のお決まりのセリフは……」
「『此処を通りたければ私を倒していけ』!!」
ーーー
甲板で行われているパワー対決。
魔理沙は常に空中を飛び回りながら、雲入道に捕まらないよう間合いを測る……。
そうしている内に生じた隙を見つけては高火力の技を放っていた
「恋符『マスタースパーク』!!」
敵方へ向けて一直線に伸びる魔砲。
対して一輪はその細い腕を前方に突き出しストレートを放った
「拳固『懺悔の殺風』!!」
ブオォォオオッッ!!と風を切りながら繰り出されたのは、一瞬遅れて放たれた雲山の拳。その一撃はマスタースパークと均衡し、やや押され気味になりながらも相殺してみせた
「!……そんなフワフワした奴にマスタースパークを防がれるとはな」
「そう思うなら受けてみる?雲山の拳」
「……」
一輪の動きに合わせて魔理沙へ拳を突きつける雲山は、ふとある事に気が付く。
そしてゆっくりと構えを解き、一輪へ耳打ちするように身を屈めた
「……!?あの白黒が…?」
次の瞬間には驚愕した様子で魔理沙を見た。
まるで意外なものでも見たかのように口を少し開いたまま凝視している
「なんだ?独り言始めたと思ったら固まって?」
「貴女が『飛倉の破片』を持っていると雲山が言ってるんだけど……本当かしら?」
「飛倉?……何だそれ」
「一定条件で光を発する法力の込められた破片よ」
「光……?ああ、もしかしてこのUFOの事か?」
魔理沙の帽子はちょっとした収納スペースになっており、いつも八卦炉などはそこから取り出している。
魔理沙は帽子の中に手を入れて謎の拾い物を取り出した
「!……間違いないわ。飛倉の破片よ…!それを渡してもらえないかしら?」
「渡すと何かあるのか?」
一輪は一呼吸おいて答えた
「姐さんを……、『聖 白蓮』を復活させることが出来る…!」
最初雲山見た時、読み方『くもやま』だと思ったとです
だって『うんざん』より語呂がいい気がして……