東方万能録   作:オムライス_

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〜投稿日時のご連絡〜
『隼斗の魔界探索記』シリーズは、次回より通常の三日毎ではなく、一週間間隔での投稿と致しますのでご了承下さいm(_ _)m





114話 隼斗の魔界探索記 ①

 

隼斗は今年何度目かになる魔界の地へと降り立った。……と言っても普段から魔法の森で暮らしている為、この環境は慣れたものだしそろそろ魔法の一つでも使える様になってもいいんじゃないか…?と考えるようになった今日この頃

 

 

「……」

 

 

目を凝らし、その超人的な視力を持って地平線の彼方にあるであろう目標を探す

 

 

「………………」

 

 

ぐるりと360度見渡し、やがて隼斗は目を閉じた

 

……視力では見つけられない。ならば次に取るべき手段は霊力を拡散させての波紋探知

 

 

「ふっ……!」

 

 

隼斗の足元から広がっていく波は一挙に地平線まで達した。

やがて引き潮の様に返って来た波の情報を読み取る

 

 

「……………………見っけた」

 

 

隼斗は体の調子を確かめる様にストレッチをした後、その方角へ向けて思い切り跳んだ

 

轟ッッ!!風を切り、一歩で数百メートル単位の距離を一気に駆け抜ける。

しかし彼が目指す目的地との距離は一向に縮まらない。

それだけ魔界という場所は、人間界と比較にならない程の広大な地が広がっていた

 

 

(考えてみりゃぁ、直線距離を全力で此れだけ長い時間走った事無かったな………。よし!)

 

 

バチチィッッ!!と隼斗の身体を稲妻が走り、その背から高濃度の霊力が吹き出す。

そして破れぬ様予め脱いでいた上着をアメフトボールの様に小脇に抱えた

 

 

「おっしゃぁぁああ!!」

 

 

掛け声と共に隼斗の姿が消失する。

瞬閧の爆発的なエネルギーにより、急加速した隼斗の身体は音速の数十倍にまで達した

 

 

(………見えた!)

 

 

隼斗は荒野を青白い閃光となって突き進む中、目標を目視出来る距離まで近付いている事に気が付く

 

 

(驚いたな……、予想以上に速度が出てたのか?)

 

 

遥か前方にはビル群の様な建造物が立ち並ぶ都市があった。

現在出ている速度ならば、物の数秒で到着する距離…………………………。

 

 

ーーーここで隼斗はある重大なミスを犯していた

 

 

「あっ……」

 

 

今まで出した事のない自身の速度に浮かれ、『余裕を持って減速し、停止する』事を考えていなかった。

都市は既に目の前まで迫っている。

この勢いのまま突っ込めばその一角を吹き飛ばしてしまうだろう

 

 

「やっべッッ!!」

 

 

隼斗は衝突を回避する為、反射的に飛び越えようと前方へ跳んだ。

 

 

 

「フゥ……、危ねぇ危ねぇ。もうちょいで激突するところだった……」

 

 

ギリギリ空中へ逃れた隼斗は後方を確認しながら安堵の息を漏らす。

そして十分過ぎる助走を付けての跳躍は、ほぼ数秒で都市を飛び越してしまった

 

 

(勢いつけ過ぎたか。取り敢えず着地して再度向かうk……ドゴォォオッッ!!

 

 

それは目先の危険を回避した直後の一時の油断………。

再び前方へ視線を戻した隼斗の目に飛び込んできたのは『巨大な壁』。そのまま避ける間も無く激突し、壁を粉砕しながら内側へと転がり込んだ

 

 

「くっそッ……!、……………何処だここ?」

 

 

瓦礫から這い出た隼斗は周囲を見渡した。

左右に続く長い廊下があり、天井には洒落た装飾の室内灯がその先まで照らしている。壁には幾つもの扉がありその数だけ部屋があるようだ

 

 

(……どっかの屋敷か何かか?……にしても………)

 

 

隼斗は今一度風穴の空いた壁に視線を戻した。崩れた壁の向こうには緋色の空と先程飛び越えた街並み広がっている

 

 

(……やっちまったな。よりによってお偉いさんが住んでそうな屋敷に突っ込んじまった……。謝ったら許してくれっかな)

 

 

 

 

 

 

カツンッ……

 

 

 

 

隼斗が壁の弁償費用その他諸々に頭を悩ませていると、廊下の先からブーツの様な乾いた足音が一つ鳴った

 

 

「ああ、何てことなの……!」

 

 

続いて若い女の声。心なしかその声色は震えており、怒が込められているかの様だった

 

隼斗がその方向を向くと、廊下の先から赤いメイド服を着た金髪の女性が歩いて来ていた

 

 

(……………どう見てもこの屋敷の人だよな)

 

 

まだ謝罪の言葉をまとめ切れていなかった隼斗は、兎に角謝ろうと頭を下げた

 

 

「えーと、御宅の壁を壊してしまいました。誠に申し訳g……」

 

 

ヒュッッ!!!

 

 

頭を下げた彼の頭上を、風切り音と共に何かが通過した。

ハラハラッ……と落ちる自身の黒髪。

隼斗は恐る恐る顔を上げた

 

 

「チッ…!外したわね。その首を落としてやろうと思ったのに…!!」

 

 

いつの間にか距離を詰めていたメイドは、振り抜いた剣を返しながらそう言った

 





次回より戦闘回?
以前洩矢神社の賽銭箱を粉砕した過去がある隼斗くん。
またやっちゃいました☆
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