東方万能録   作:オムライス_

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東方に限らず、初見で読めない名前のキャラって結構多いですよねー(棒)



自分が漢字に弱過ぎるだけか………


116話 隼斗の魔界探索記 ③

隼斗はだだっ広い城内を、勘を頼りに進んでいた。

ついさっきまで風穴の空いていた胸の傷は『回道』により多少は回復させたものの、完治には至らず歩くたびにズキズキと痛んだ

 

 

「……痛てて。ったくこんな事なら態と受けるんじゃなかったなぁ」

 

 

階段を見つけては上がったり下がったり。

新たな通路を見つけては行ったり来たりと、ひたすら歩き回っている隼斗だったが、ここに来て先のメイド以外誰一人として出くわしていない事に不信感を抱いていた

 

 

(おいおい、幾ら何でもこんなデカい屋敷に召使いがさっきのメイドだけって事はねーだろ……。人の気配もしねーしどうなってんだ?)

 

 

そんな中、隼斗はとある扉の前で立ち止まる。別にラスボスが中で控えていそうな禍々しく厳つい扉では無く、飽くまで普通の扉

 

 

 

 

 

ーーー『神綺の部屋』

 

 

扉からぶら下がる札にはそう書かれていた

 

漸く誰かが居そうな部屋を発見した隼斗は、安堵の息を漏らしつつ部屋の扉をノックした

 

 

「!?」

 

 

ゾワッ……!!と、扉に触れた瞬間伝わる悪寒。隼斗は反射的に飛び退いた

 

 

(何だこの魔力ッッ!………何でこの距離まで気がつかなかった!?)

 

 

廊下の壁を背にしながら暫しの間黙ったまま扉を凝視する。しかし扉から離れた途端再び気配は消えていた

 

 

「……」

 

 

 

 

その沈黙を破ったのは柔らかい声だった

 

 

 

「どうぞ〜、開いてるわよぉ」

 

 

ーーー女の声。

発生源は扉の向こう側

 

隼斗は部屋の主から入室を許可されたわけだが、先程感じ取った魔力を思うとあまり気が進まなかった

 

 

(今は気配も何も感じねェ……。言うまでもなく不自然だな。此処の部屋自体に気配を外部へ漏らさない細工がしてあんのか、はたまた態とあの瞬間に威圧してきたかは定かじゃねェが……、このまま突っ立っててもラチが明かねェ事だけは確かだ)

 

 

再び隼斗は扉の前に立つとドアノブに手を掛けた

 

 

「……ッ」

 

 

その瞬間体全体にヒシヒシと伝わる莫大な力。それは確かにこの部屋の『ナニか』から発せられている。

隼斗は意を決し、一気にドアノブを捻ると中へ足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

「いらっしゃい〜。ようこそ人間さん」

 

 

出迎えたのはピョコンッと、たくましく飛び出たサイドテールが特徴的な白銀色の髪の女性だった

 

 

「……………………………ん?」

 

 

想像していたモノと180度違っていた為か隼斗は少しの間思考を停止させた。

現在進行形で伝わってくる力は間違いなく目の前の者からなのだが、どう見ても雰囲気と合っていない

 

 

 

 

隼斗はイマイチ状況が飲み込めない中、促されるまま席に着いた。

目の前で優雅に紅茶の入ったカップを口へと運ぶ神綺を警戒しつつも話を切り出す

 

 

「……俺の存在には気付いてたのか?」

 

「ええ、貴方がこの地に降り立った瞬間からね。でもまさか、一直線にこの城へ突っ込んでくるとは思わなかったけど」

 

「うっ……、この度は誠に(ry…」

 

「うふふっ、それもう三度目じゃない?一度目の時に言った通り大した被害じゃ無いんだし気にしなくていいわよ」

 

「いや、でも此処のメイドはマジで殺しにかかって来たぜ…?」

 

「夢子ちゃんね。あの子って結構真面目過ぎる所があるから貴方を襲撃者とでも思ったんじゃないかしら。……普段は良い子なのよ?」

 

「いや寧ろそれが本来の反応じゃないか?……つっても謝罪と弁明するだけの余地くらい欲しかったけど。……あっ、そういや眠らせたまま放置してきちまった!」

 

 

ハッと思い出したように扉の方へ向かおうと立ち上がった隼斗の喉元へ鋭い剣先が突き付けられる

 

 

「貴様、神綺様との会話中に席を立つとは何事だ?」

 

「おおォ…ッ!?おまっ、何で……」

 

「夢子ちゃん、その辺にしてあげなさい」

 

 

危うく鋒を押し込みかけた夢子を神綺が宥め、隼斗はそんな彼女等の様子を怪訝な表情で見つめる

 

 

「勝手に入ってきた俺が言うのもなんだけど、何モンだよアンタら」

 

 

すると夢子は一度冷たい視線を送った後答えた

 

 

「……神綺様は『魔界の全てを創造られた』御方だ」

 

「……!」

 

 

その瞬間、隼斗の脳裏に大図書館で見た本のタイトルが浮かび上がった

 

 

ーーー『魔界の創造神』

 

 

魔界と言う世界から始まり、その世界に存在する全てを創り上げた神。

隼斗は目を見開き神綺を見た。

本当に目の前の女がそうであるならば、あの莫大な魔力も、自身の存在を初めから認知していたと言う事実も頷ける……と

 

 

「夢子ちゃんは優秀よー。私が創り上げた魔界人の中ではトップクラスの強さを持ってるしね ♪」

 

「……身に余るお言葉です」

 

「…だろうな。この短時間で俺の術から復帰してるわけだし」

 

「『あの程度』で私を倒せたと思ったか?浅はかな」

 

「………結構辛辣にくるね」

 

 

隼斗は一度咳払いすると、表情を真剣なものに一変させて神綺に向き直った

 

 

「……俺が今回魔界へ来た目的は一つ。えー、神崎さん?アンタに会うためだ」

 

「あらー神崎さんなんて照れるわねぇ。一層の事『神綺ちゃん』でも構わないわよ♪」

 

「し、神綺様……流石にそれは……」

 

「ウオッホン…!あー、つまり俺はアンタn……」

 

「ふふっ、偶にはそんな感じでフランクに呼ばれてみたいじゃない」

 

「しかしですね……、それでは神綺様の尊厳が損なわれるといいますか……」

 

「ウオッホン…!ゴオッホンッ!!実は聞きたい事g……」

 

「そんな堅苦しい事言わないの。夢子ちゃんだってもっと砕けた話し方でもいいのよ?」

 

「とんでもない!主君に対してそんな軽率な…!」

 

「ウオッホン…!ゴオッホンッ!!ゲェホッッ!!ゴホッ!ゴホッ!!…ンンッ!!」

 

「もう〜、夢子ちゃんったら相変わらz…

「テメェら人の話聞けやコラァァァァァ!!!」

 




じ、次回からシリアスになる筈…!


追記 : えー、ご指摘を受けるまで『神綺』を『神崎』と表記しておりましたので、それに因んだ小ネタも修正致しましたm(_ _)m

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