お待たせしました!
今回から話が進展していきます
異変が起きてから一時間にも満たない僅かな時間で、幻想郷の各地は化物達の襲撃により混乱状態に陥っていた。
影から出現する正体も目的もわからない謎の侵略者は、その数をもって住民達へ襲い掛かった
此処、地底に於いても状況は同じだった。
鬼によって築き上げられた都市を、周囲から囲むように押し寄せる影の化物。
地上とは違い、陽の光が差さない洞窟内は化物達にとって絶好のポイントなのか夥しい数が押し寄せていた
発達した巨大な爪を食い込ませ、洞窟の壁や天井を自在に這い回るその化物は一見したところ、獣と爬虫類を合わせたような悍ましい形態をしていた。
だらだらと涎を垂れ流す口内には、獲物の肉を抉り取る為であろう鋭利な牙が見え隠れしている
この異常事態に、都市に住む妖怪達は皆、『一人の鬼の指揮の下』、臨戦態勢を整えていた
都市の入り口を護る橋姫の水橋 パルスィは、隣に仁王立ちで立つ指揮官へ、溜息を吐きながら囁いた
「……囲まれてるわね」
「見ればわかる」
「あの数が一斉に襲って来たらいくら貴女でも些か分が悪いんじゃない?」
一本角を生やした鬼、星熊 勇儀は高らかに笑う
「かっかっかっ!心配無用!何匹来ようがちゃんと護ってやるから大船に乗った気でいな!!」
「頼もしい事だけど……、後ろ」
パルスィは片目を閉じ、囁くように告げた。
内壁に張り付いていた一匹が音もなく勇儀の頭上へ飛来する。
それに対し、勇儀のとった行動はいたってシンプルだった
特に見向きもせず、自身の元へ降ってくる化物へ裏拳を放つ
グシャッ!!と肉の潰れる音と共に、顔面が陥没した化物は高速で回転しながら後方の民家の壁へ突き刺さった
「……今のが開戦の合図と受け取るがいいかい?」
勇儀は口角を吊り上げ、ギラギラと光る瞳で化物達を一見した後そう言った
『おおおおおおおおォォォ!!』
彼女のそんな様子を目にした後方の鬼達も拳を鳴らし、舌舐めずりをしながら吼える
『キシャァァァァ!!!』
呼応する様に、牙を剥き出しにしながら威嚇する化物達。同時に壁や天井に張り付けていたその脚を離し、一斉に都市へ降り立った
「さあ、喧嘩しようか!!」
嘗ての鬼の四天王は大地を踏み鳴らし、その一声で大気を震わせた
ーーー
数年前、幻想郷に異形の怪物が現れた。
当時の被害状況は人里の一部の者が噂で知る程度の小さなものであったが、先代博麗の巫女はコレを軽視しなかった。
彼女は自身が住まう神社が襲撃された直後、神社裏の湖が怪しいと睨み、一人調査に乗り出した
ーーー当時幼かった霊夢を残し、以降戻る事はなかった
そして現在。
再び幻想郷に怪異が訪れた。以前よりも大規模に、各地で被害を出す程の異変
……現博麗の巫女である霊夢はこの異変に見覚えがあった
各地で出現した化物達は、当然博麗神社をも襲撃してきていた。
身体が黒い靄に覆われた異形の姿。そして頭部に共通して確認できる『髑髏』……。
倒した化物を見下ろしながら、ある一方を見据える
「……」
霊夢は思い出していた。
自身の先代であり、姉の様に慕っていた博麗 暁美が失踪したあの日。異変解決の為、彼女が最後に向かった場所を…。
「神社裏の……、湖」
「何だって?」
ふいに呟かれた言葉に、隣に立つ魔理沙が尋ねる
だが霊夢は答えず、凝視した方角へ飛び去ってしまった
「お、おい霊夢…!」
魔理沙も一瞬遅れて後に続いた
・
・
・
時同じくして、幻想郷のとある場所に存在する小さな湖。その中心の空間が裂け、二人の姉妹が降り立った。
背から天使の様な翼を生やした少女は、辺りを一見して呟く
「此処が奴らの巣?随分のどかな場所じゃない」
片や、青いメイド服を着た少女は興味無さ気に囁いた
「姉さん、早く親玉殺して帰ろうよ」
「慌てないの夢月。出迎えてもらえるならまだしも、探さない事には出てきてくれないわよ。それに親玉を潰したところで奴らが治るとは限らないしね」
「じゃあ皆殺しにすればいいんじゃない?」
夢月と呼ばれたメイド服の少女は、自身の手を巨大な鋏の形に変化させ、ジョキジョキと開閉しながらそう言った
「どれだけ数がいるかもわからないのにそんな面倒臭いことはしたくないわ。まっ、『頭を潰して即解決』って流れになってくれることを願うか」
翼を生やした少女は瞳を閉じ、指先でこめかみを軽くノックしながら周囲の気配を探り始めた。
そして静かに開眼した後、妹へ向けて告げた
「夢月、どうやらお見えになったわよ?」
「!」
その場に一筋の風が吹く。
姉が指した方向を見遣った夢月の視線の先には、湖のほとりに降り立った二人の少女の姿があった
開口一番、紅白の巫女は言う
「アンタ達が元凶かしら?」
その質問に翼の少女はやや首を傾げながら返し、続いて夢月も口を開いた
「……それは此方が言うセリフじゃないの?」
「貴女達が親玉?なんだ、やっぱり出迎えはあったのね」
「親玉ー?なんだかよくわからんが、怪しい奴らだな。少なくとも此処らじゃ見ない顔だぜ」
白黒魔法使いはそう言うと、帽子の中からミニ八卦炉を取り出し、早くも戦闘態勢をとった。
隣に立つ巫女も、既にお札とお祓い棒を握っている
「あら、やる気ね。……いくわよ夢月」
「ええ。幻月姉さん」
姉妹は不敵に笑い、ゆっくりと構えをとった
「気をつけて魔理沙。多分強いわよ」
「ああ、わかってる。霊夢こそ油断するなよ」
天使の様な悪魔さん参戦です
〜これまでの影の化物〜
・昆虫型
身体中から無数に伸びる触手の様な手と、昆虫の様な脚が特徴的な人里に現れたキモい奴。イメージ的にはも○のけ姫の祟り神
・傀儡型
まるで見えない糸に吊るされている様に空中を不気味に漂う人の姿をした化物。身体の一部を変化させて獲物に襲い掛かる。イメージ的にはリーデッド
・トカゲ型
発達した爪と、強靭な脚で森や林を駆け回り獲物に襲い掛かる。体表は爬虫類の鱗に覆われている。イメージはDMCのフロスト系
・混合型
獣と爬虫類を合わせた様な不気味な姿をしている。強靭に発達した爪を食い込ませ、壁や天井を這い回る。常に暗い所を好む。イメージは某ゾンビゲーのリッカー