東方万能録   作:オムライス_

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そろそろ書き溜めたストックが尽きそうだ……



15話 西行寺

「友達ィィ!?だ、誰の?」

 

「何でそんなに驚くのよ!?私よ!私の友達!!」

 

 

俺が開幕早々声を上げて驚いたのは、紫が友達を紹介したいと言ったからだ。

 

 

だって紫だぜ?あの初対面の相手に対する胡散臭い雰囲気も去ることながら、人をおちょくった様な薄ら笑いを考えr…「幾ら何でも言い過ぎでしょ!?」…心を読むな

 

「コホンッ。もう一度言うわね?私の友人がこの近くに住んでいるの。是非貴方に紹介したいから一緒に来てくれないかしら」

 

「ええー……」

 

「な、何よその反応」

 

「めんどい「さあ!行くわよ!!」

 

っと半ば無理やりスキマに落とされ向かうことになった

 

ーー

 

「おおっ…でっかい屋敷だな」

 

スキマの先は立派な和風の屋敷が広がっていた

 

庭には見事な盆栽があり、ちゃんと手入れがされて居て雑草一つない。池には此れまた鮮やかな鯉が泳いでいる

 

そんな風景に見惚れていた俺はある事に気付く

 

「あれ?紫は?」

 

ここに連れてきた当の本人がいない。

どこ行ったんだ?

 

「お主何者だ?」

 

「えっ?」

 

ヒュッ

 

 

背後から声がかかったので振り向いた瞬間、目前には刀の鋒が迫っていた

 

 

 

「おおっ、吃驚した」

 

「……ほぉ、私の突きを素手で掴み取るか…」

 

俺が驚いたのは常人離れした神速の突きに対してじゃない。こんなもの霊力で手を覆い、掴んで止めればいい。

 

 

 

この爺さん、気配を全く感じなかった

 

「アンタ誰?」

 

「ふむ……それは此方の台詞だが?」

 

ん?ってことはこの人が紫の友人か?

おいおい紫……幾ら友達が出来ないからってこんな爺さんじゃなくても…

 

「ここは白玉楼。西行寺家の由緒正しき御屋敷だ。お主の様な者が来る所ではない」

 

いやそもそも連れて来られた訳であって、帰ろうにも連れて来た本人がいないんだけど

 

「わかったわかった。とりあえず自己紹介といこうぜ?俺h…」

 

ヒュッ

 

「うおっ!?」

 

やべっ…

さっきの突きとは段違いの剣速だ。

流石にあんなので突かれたら痛いぞ!?

 

「名乗るならば剣を交えながらでも良かろう?」

 

「いや何でだよ!?普通にすりゃいいじゃん!?」

 

「スキあり!!」

 

「!?」

 

一瞬の虚を突いた刺突が隼斗の腹に命中し、大きく吹き飛ばされた

 

「……終いか。他愛ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

ブチッ

 

 

やべっ…少しキレちまった

 

俺は速攻で起き上がると一瞬で爺さんの前まで詰めより、敢えて大振りに拳を引いた

 

「なっ!?……っ!」

 

一瞬驚愕した爺さんだったが直ぐ様刀で受ける構えを取る辺り流石と言うべきかな

 

 

 

 

 

 

 

ーーーまあ防御なんて関係ないけど

 

 

「ふんっ!!」

 

「がっ……!?」

 

俺の拳は防御した刀ごと爺さんを吹き飛ばし、石造りの塀に叩きつけた

 

「どうだ?初めてだろ?素手の相手にぶっ飛ばされたのは」

 

「ぐっ…油断したか」

 

刀を杖代わりにしながら立ち上がる爺さんだが、瞳にはまだ闘志が宿っている

 

頑丈な爺さんだ

 

 

「ならば私も本気で行くぞ!」

 

「上等だ。来いよクソじじい!」

 

爺さんは刀を鞘に納め居合いの構えを。

 

俺は拳を顎の高さで構え敢えて握り込まず肩の力を抜く。

 

 

暫く睨み合いの沈黙が続く

 

 

 

 

 

 

カコンッ

 

 

「「!!」」

 

庭の鹿威しが落ちる音を合図に両者が動く

 

爺さんが繰り出したのは神速の抜刀術

 

俺が繰り出したのは右ストレート

 

両者の武器が迫る

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちなさい!!!」

 

「「!?」」

 

ビタァッ

 

 

突如響き渡った怒号ともとれる女性の声

 

その声に爺さんの刃は俺の首筋に、俺の拳は爺さんの眉間手前で止められていた

 

「…幽々子様?」

 

「…紫」

 

声のした方を向けば屋敷の縁に紫と、声の主であろう桃色の髪をした女性が立っていた

 

「妖忌、刀を納めなさい。その人は敵ではありません」

 

「幽々子様!しかし……!」

 

「貴方もよ隼斗。拳を引きなさい」

 

「……」

 

正直今俺は機嫌が悪い。話を聞かず斬りつけてきた爺さんもそうだが、そもそもこうなったのは紫のせいだ。その元凶である紫にとやかく言われたくない。

 

でも爺さんも意固地になって刀を降ろそうとしないし、埒が明かないのは事実か……

 

「……俺が大人になろう」

 

素直に拳を引いた

 

「……」

 

するとあっさり爺さんも刀を納めた

 

俺は紫の元まで歩いて行き、耳打ちで低く呟いた

 

「は、隼斗…?」

 

「………後で俺ンとこ来い」

 

 

 

俺が去った後、紫は顔面蒼白で苦笑いしてたそうな

 

ーー

 

 

 

ゴッチーン!!

 

 

 

「いったーーーーーい!?」

 

 

 

 

あの後此処の主である西行寺幽々子に屋敷の中へ招かれ茶の間に通された

 

で、お仕置きタイム。

可哀想だから拳骨は一発で済ませて殺った

 

まあ紫は頭から煙を上げて悶絶してるけど知らん、反省しろ

 

「御免なさいね?妖忌の早とちりで攻撃してしまって」

 

「いや、いいよ。元はと言えばちゃんと話を通してなかったコイツが悪いから」

 

未だ倒れている紫を指して言った

 

「っつ〜〜〜!仕様が無いじゃない!隼斗だって最初私の事バカにしてきたからちょっと仕返ししてやろうと…!」

 

「もう一発いくか?」

 

「ナンデモゴザイマセン」

 

ふと紫を見ると俯いてしまっている。

まあ元々からかった俺も悪いか……

 

「ん、ならもう仲直りしよう。俺も悪かったな、からかったりして。後殴って」

 

そう言って紫の頭を優しく撫でた。(一応殴った所は避けて)

 

「うぅ〜もういいわよ〜」

 

紫もホッとしたのか俯きつつ呟いた

 

「あらあら仲睦まじいわね〜、もうそこまで進んだのかしら」

 

「な、な、何言ってるのよ!そ、そんなんじゃ無いわよ!!」

 

「ふふ、紫ったら照れちゃって可愛い。ねえ、貴方もそう思うでしょ?」

 

 

 

 

「なあお茶もらえる?」←聞いてない

 

「緑茶でよろしいかな?」

 

「………紫も大変ね」

 




妖忌って実際どんな姿してるんでしょうか?

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