東方万能録   作:オムライス_

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お待たせいたしました。
今回は守矢編になりますが、前編と後編で分けて投下します。
前回までと同様に一話で書き切りたかったんですが、まあ、よし、うん。

やっとこさこの作品も150話。何だか染み染み…。


150話 神と人 (前編)

天使軍の侵出と同時期、柊 隼斗は幻想郷の地に立っていなかった。

正確に言えば、座標自体は幻想郷で間違いない。だが誰かが彼のいる座標を特定し、そこを訪れたとしても彼はその場に存在していないのだ

 

 

「予想はしてたけどよォ……、真っ先に俺を抑えにくるとはな」

 

 

ひたすら暗黒の広がる黒一色の異次元空間に隼斗は立っていた。

不思議なことに光一つ無いこの空間は彼と、その対峙する敵の姿を鮮明に映し出している

 

そこへ舞い降りた青紫髪の天使は微笑みながら言った

 

 

「あら、前に約束したじゃない。貴方の全力の出せる場を用意するって」

 

 

死の天使、サリエルは「それに」と付け加え、互いの間に巨大なモニターを出現させた。

幾つかに分割しているモニターには幻想郷の様子が中継されているようで、今まさに幻想郷へ降り立った天使軍と住人たちが対峙した場面だった

 

 

「折角連れてきたこの子達も貴方が相手では分が悪いと思ったのよ。だから開幕早々貴方に動かれないように此処へ御招待したってわけ ♪」

 

「そいつは残念だな。3秒ごとに三匹は挽肉にしてやれたってのに」

 

 

早くも戦闘態勢に入った隼斗は拳を鳴らすが、対するサリエルは戦闘どころかこれからティータイムでも始めるかのように空中へ腰掛けた

 

 

「……何の真似だ?」

 

「まあそう慌てないで。お互いの勢力がどんな結末を迎えるか一緒に見届けるのも一興だと思わない?」

 

「……」

 

 

次の瞬間、何もない空間は凄まじい衝撃によって震撼する。

特別なことは何もやっていない。前方へ踏み込み、天使の頭を掴んで地面へ叩きつけただけだ

 

だが、そこらの大妖怪や魔人が同じことをしてもこうはならない。妖術や魔法と言った自身の強化を全く行わずに、身体能力だけで一コ世界丸ごと揺るがす事など不可能だ

 

 

「地面にヒビ一つ入らねェか。確かに頑丈な空間だ。……なあ?サリエルよォ」

 

 

メキメキと頭蓋の軋む音が鳴る中でも、天使は不敵に笑っていた

 

 

「ふっ、くくく。本当に手が早いのねぇ。せっかちさんは嫌われるわよ?」

 

「生憎と気が短ェもんでな」

 

 

隼斗は振り上げた拳を躊躇なく落とした。

再び轟音と衝撃が一帯を包み、足下には血溜まりが広がる。

仮に此処が人間界であったなら、その一撃は都心を難なく崩壊させる破壊力が込められていた

 

 

「!」

 

 

不意に、隼斗の側頭部へ高速で飛来するナニかが打ち込まれ、その身体を側方へ押しやった。

挟み込んだ掌からはチリチリと煙が上がり、一瞬遅れて空気の弾ける音が響き渡る

 

 

「あら凄い!ちょっと強めに打ったのに防がれちゃった」

 

「随分癖の悪い羽だな」

 

 

隼斗がそう吐き捨てて睨み付けたのは、鞭のように空気を裂きながら蠢く一枚の翼。

その速度から察するに、先端の威力は容易に大地を分断する域に達していた。

普通なら防御ごと薙ぎ払われ、一瞬で肉塊へと変貌する。それを喰らって尚軽口が叩けるのは、規格外の耐久力を持つ彼だからできることだった

 

 

「悪ィ、思わず毟っちまった」

 

 

今しがた翼の一撃を受けた掌から、はらはらと真っ赤に染まった羽毛が舞い落ちた。

だが、一部を大きく抉り取られている翼を目にしたサリエルの表情は変わらない

 

 

「うふふ。本当に、素晴らしいわぁ」

 

 

 

ーーー

 

 

曰く、その大男は神や悪魔をも恐れぬ無敵の力を有していた

 

曰く、長きに渡る苦行に耐え、手に入れたその力は神でさえも太刀打ちできないとされていた

 

 

………曰く、その男は『羅刹の魔王』と称された

 

 

 

「もう終わりか?守矢の神とやらは」

 

 

野太い声が、静かに守矢神社を包む。

嘗ての清らかな聖地は消え失せ、真ん中からへし折れた数多の御柱が突き刺さり、所々突起した地面がその場の惨状を物語っている

 

 

その場に立っているのは、六本の腕に其々刀や鈍器を携えた巨人、ラーヴァナただ一人。

ボロボロの身体の二柱は、その後ろにいる人物を庇うように膝を突き、鋭い眼光を向けていた

 

 

「私は大丈夫ですから!もう私を庇いながら戦うのはやめて下さい!!このままじゃお二人が…!」

 

 

緑髪の少女、東風谷 早苗は若干嗚咽の混じった声で叫ぶが、当の二柱は首を縦に振ろうとしない。振るわけにはいかなかった

 

 

「ははは、私達も零落したね。守ろうとして逆に心配されるなんて」

 

「そだね。でもまだ本気出してないし。こっからが本番だかんね!」

 

 

まるで子供の様な強がり。それは早苗から見ても一目瞭然だ。

全力でないと言えばそれは本当なんだろう。

だがそれは自分という枷が、より形勢を不利にしてしまっているのであって、二柱自体は『本気』を出している。

自分さえいなければなんて言う事情は、この際あまり関係がないのかも知れない

 

……それでも少女は、

 

 

「でも…!」

 

 

早苗の言葉は視界の端から乱暴に振るわれたメイスによって遮られた。

技術よりも腕力任せによる一閃だが、戦闘慣れしていない少女の目で捉えるにはあまりにも速過ぎる

 

 

ドゴォォッッ!!! と鈍い轟音と衝撃が響く。

続いて樹木がへし折れる様な乾いた音が耳に入り、早苗は思わず閉じていた目を開けた

 

 

「っっとに馬鹿力だねコイツは…!」

 

 

何重にも束ねられた御柱を盾に、目の前で立つ神奈子の姿があった。

掌を翳し、ギリギリ貫通しかけた衝撃を盛り上げた土で緩和しつつ、二柱は交互に告げた

 

 

「早苗が何を言いたいかはわかるよ」

 

「……ああ。でもそうじゃない」

 

「えっ?」

 

 

ボロボロと崩れ落ちる土塊の先で、新たに刀を振り上げたラーヴァナの姿が映る

 

 

「自分達の戦いにむざむざ子を巻き込む親はいない。理由は単純。何よりも大切だから」

 

「これが親心ってやつかね。早苗って言う存在が、いつしか私達にそんな心を植え付けた。……だから」

 

 

振り上げた刀を握る腕目掛け、一点に集束された光線が複数の御柱より発射された。

突如地面が勢いよく変化し、その巨体を突き上げる様に隆起した

 

 

大したダメージはなかった。しかし、ラーヴァナはこの戦いで初めて自身の攻撃を止められたことに目を丸くする。

その姿を見遣った二柱は口を揃えて言い放った

 

 

『守らせて』

 

 

嘗て、大和・洩矢を治めていた二大神は、苦戦を強いられる現状を嗤った

 

 

「面白い」

 

 

ラーヴァナからそんな言葉が漏れる

 

 

「最初はあっという間にケリがつくもんだと思っとったが、いや中々に楽しめそうだわい」

 

「それは随分舐められたもんだね。祟ってやろうか」

 

「まあ待て。お前達はどうも後ろの小娘が気掛かりで全力が出せてないようだ。折角楽しめそうだと言うのにそれは勿体なかろう?」

 

「何が言いたい?」

 

 

神奈子と諏訪湖に其々武器を突きつけ、ラーヴァナは静かに宣言する

 

 

「このラーヴァナ。これより狙うはお前達のみとする」

 

「は?」

 

「そうすれば集中できるだろう?なに、心配はいらん。お前達が立っている間はその小娘には指一本触れぬと約束しよう」

 

 

「だが」と付け加え、ラーヴァナはその言葉を口にする。

神奈子等二柱を憤慨させる言葉を。

 

 

「お前達が力尽きた場合、小娘には一番惨たらしい死を遂げてもらうがなぁ」

 

 

にんまりと、二柱の反応を楽しむように。その戦意を煽るように。

 

直後、その場を膨大な神力と殺気が包み込んだ

 

 

「不快だと…、そう言ったはずだぞデカ物ッッ!!」

 

 

その瞬間、守矢神社上空の雲が渦を巻いて降りてきた。渦は次第に分裂し、幾つもの巨大な竜巻を創り上げる

 

 

「……早苗、『地上』にいると危ないから飛んでな」

 

 

言われるがまま地上から離れた少女を確認した瞬間、足下の地面が大きく沸騰した。

地面は次第に溶岩のように赤く染まり、所々から超高温のマグマが吹き出し始める

 

 

「ほぉ、これは中々」

 

「覚悟しておけ天使軍。私達はあの子を守るためなら悪魔にすら身を落とすぞ!!」

 

 

神奈子の周囲に展開された複数の御柱に、其々発生した竜巻が接続された。

竜巻を纏った御柱は神力によって充電された光のエネルギーに包まれ、神々しい輝きを放つ

 

 

そして、周囲の音が消えた

 

視界も光の一色に染まり、ラーヴァナの身体は同色の竜巻によって埋め尽くされた

 

 

轟く破壊の怒号は他所に被害を出さぬよう、今一度上空に向かって舞い上がった。

複数の竜巻が一点に集中して無理やり上へ進行方向を変える。大抵のものならその時点で原型を留めてはいない

 

続いて、竜巻が収まらぬ内にラーヴァナの足下が爆ぜた。

それも唯の爆発ではない。今まで蓄えられていたエネルギーが一気に解放されるように、文字通り『噴火』した

 

吹き荒れる烈風が周囲へ広がりかけたマグマや溶岩を上空へ打ち上げ、再びラーヴァナの頭上へと加速させ、炎弾の雨を降らせた

 

 

「ぬぅうう、おおおぁああッッ!!」

 

 

ラーヴァナのそれはあまりにも丁寧な力技だった。

六本ある剛腕で振るう刀やメイスは甚大な風圧を生み出し、纏わりつく猛攻を振り払った

 

 

「があーはっはっはぁー!!まだまだ生温いわい!」

 

 

荒れ狂う竜巻や灼熱の溶岩地帯に構わず、重々しく地面を踏み鳴らし接近する巨人を前に、諏訪子は更に地盤を叩いた

 

 

「おおっ!?」

 

 

ボゴッッ!! と足場が陥没し、ドロドロに融解した地面がラーヴァナの足を絡め取った。

優に千度を超える灼熱の底無し沼は、その巨体を腰下まで引きずり込み、巨人の復帰を待たずして神奈子は六つの御柱をその頭上へと配置する

 

 

「見た目通り、神の裁きをくれてやる」

 

 

六角形に展開された御柱は円を描くように回転を始める。

そして円の中心に蓄えられたエネルギーが巨大な光の柱となってラーヴァナの頭上に降り注ぎ、今日何度目かになる閃光と衝撃が、妖怪の山全体を震撼させた

 

 

「……す、凄いっ!これが、お二人の……」

 

 

感服する早苗をよそに、未だ険しい表情の二柱は互いに視線を交える

 

 

「……やったと思う?」

 

「……………せめて痛手でも負っててくれれば儲けもんだね」

 

 

舞い上がった砂塵の向こう側でちらつく気配は、より濃く、より強大なものへと変化していた。

 

……野太い声が、彼女等の表情をより強張らせる

 

 

「ふーむ。これは中々どうして、良い意味で期待を裏切らんかったか」

 

 

ーーー無傷。

 

その頭部を髑髏状の仮面で覆った巨人は、神の力を真正面から全て受け切り、その全てを弾き返していた。

最早、タフネスがどうとか言う問題ではない。

絶縁体にひたすら電気を流すような、はなから効果など無かったかのように、ラーヴァナという巨人は嘗ての二国のトップに立っていた神の力を難無く凌いだ

 

 

「しかし、同時に残念でもある。儂がこの仮面を出してしまった以上、お前達が耐え得るような加減が出来んのでな」

 

「!?…神奈子ッ!!」

 

 

一瞬だった。

悲鳴すら無かった。

見上げる様な巨体の男の身体は消失し、瞬きするその瞬間で、神奈子の身体はくの字に折れ曲り、後方の本殿へと叩き込まれていた

 

 

「んん〜、やはり耐えられぬか」

 

 

六本ある内の、どの腕を使った?

 

いや、そもそも何で攻撃された?

 

諏訪子は思考をそこで止め、反射的に地面を巨大な壁へと変化させていた

 

 

直後、岩が砕き割れる衝撃音と共に、その小さな体躯はゴム毬の様に地面を転がった

 

 

「神奈子様ッッ!?…っっ諏訪子様ぁぁぁぁ!!」

 

 

一拍遅れて、早苗の悲鳴が木霊する。

少なくとも彼女の目には、二柱がほぼ同時に吹き飛ばされた様に見えたはずだ

 

 

 

そして、

 

 

「お前一人になってしまったなぁ?小娘」

 

 

びくんっ、と少女の身体が跳ねる。

拒む思考とは裏腹に、反射的に後方を向いてしまう身体を必死に両手で抱くその姿は、ラーヴァナの加虐性を煽った

 

 

「んん〜、なんだ?お前は戦わんのか?このままでは確実に殺されてしまうぞ?ん?良いのか?」

 

「あっ……いや……っ」

 

 

言葉が言葉として出てこない。

完全に竦んでしまった身体は、後ずさるという選択肢すら消してしまっていた。

現状彼女にできることは、ひたすら強く御幣を握り締めることくらいだった

 

 

「まあ、抵抗したところで無駄と判断してのことなら仕方あるまい。では、誠に心苦しいところではあるが、約束は約束だ。手始めに四肢を捥ごうか?それとも五臓六腑を引きずり出した方がいいか?お前はどう思う?」

 

 

悪魔の笑顔だった。泣き叫ぶ少女の姿を想像してか、若干呼吸が荒い。

その全てが、一層早苗の恐怖を煽った

 

ゆっくりと、巨大な掌が少女の頭上から迫る

 

 

 

 

 

「………触るな」

 

 

地獄の底から轟く様な、小さな怒号が聞こえた

 

 

「その子に、触るなッッ……!!」

 

 

本殿の瓦礫から飛び出した御柱が。

突如ラーヴァナの身体に巻き付いた極太の蔦が。

彼女等の感情を表すかの様に、強く、堅固に巨人の身体に食い込んだ

 

 

「神奈子様…っ、諏訪子様…っ……!!」

 

 

再び少女の前に立った二柱は、それぞれ掌で少女の頭を撫でた

 

 

「大丈夫。早苗は絶対守り切るから」

 

「危ないから少し下がっててね、早苗」

 

 

掌は少女の頭を離れ、目の前の巨人に向けられる。

不意を突いたはずの攻撃すらも、動じずに引き千切る化物は呆れた声色で吐き棄てる

 

 

「さっきので倒れなかったのは立派だが、お前達との戦いは少々飽きてしまってな。続けるのは構わんが、手心無しで殺すぞ?」

 

 

その言葉に誰よりも反応を示したのは早苗だった。

 

殺される?二人が?

どうして?

自分達が何か悪いことをしたのか?

そもそも、何か殺されなければならない悪行を働いたと言うのか?

 

…冗談じゃない。

 

守られてきた。

今までだって、現状だって。ずっと二人が自分を守ってくれていた

 

いつしか思ったことがある。

もし、万が一強敵が現れて、もし、そいつが二人より強かったら。

自分はただ見てるだけで終わるのか?

目の前で二人が痛めつけられるのを、ただ震えてへたり込むことしかできないのか?

 

 

……冗談じゃないッッ。

 

早苗は先程まで震えていた身体に爪を立てる。

打って変わって湧き上がる感情を、最愛の二人を傷付ける男に向けるべき感情を、彼女は受け入れた

 

 

現人神として、いつまでも守られる立ち位置に座しているわけにはいかない

 

 

いつしか消えた震えは、少女を前に進ませる

 

 

「私も、戦います」

 

「えっ、早苗…?」

 

「何言って…ッ」

 

 

最早、二柱がなんと言おうと関係なかった。

強い意志で。固く込められた思いを内に秘めて、

 

 

「今度は私がお二人を守りますから!」

 

 

握り締めた御幣を突きつけ、早苗は能力を解放する。

どんな逆境だろうと関係ない。

それが起きてしまえば覆すことだってできる。

 

ーーー奇跡を。

 

 

閃光が走った。

先の神奈子が照射した光のレーザー程ではないにしろ、全く同型のレーザーが打ち出された。

その一筋の光が、

 

 

「ぬっ…!?」

 

 

その攻撃は、余裕綽々で受けたラーヴァナの腕を焼いた。

二柱も、ラーヴァナ自身も。そして何より攻撃を仕掛けた早苗ですらも驚愕に表情を染める

 

 

「効い…た…?」

 

 

その時点で、何故早苗の攻撃がダメージに繋がったのかは誰もわからなかった。

威力自体は大したことはないものだ。腕の表面を少し焦がした程度。後にも先にも引きずる様な傷ではない。

しかし、だからこそ。その程度の攻撃が通った原因がわからない

 

 

 

 

「………小娘、お前は神ではないのか?」

 

「…えっ?」

 

 

そしてたった今、ラーヴァナは理解した。

一番脆弱で、警戒すらも馬鹿らしいと思っていた少女が、一番の脅威になりうる存在だと言うことに。

 

 

「二柱の神よ。その小娘も参戦すると言うなら、先程の約束は成立せん。今の内に締めさせてもらうぞ」

 

 

六本の剛腕をそれぞれの位置に構え、踏み込む態勢をつくったラーヴァナに、一同は思わず身構えた

 

 

「あーもう早苗!こうなったら私達から離れるんじゃないよ!!」

 

「勿論です!お二人は私が守りますから!!」

 

「うーん、そう言うことじゃないんだけどなー」

 

 

気の抜けた会話とは裏腹に、緊張が走る

 

早苗の力が最も有力だとしても、圧倒的に火力が足りない。神奈子や諏訪子が力添えをすることで補うこともできるが、目の前の巨人がそれを許すはずもない。

そもそも何故なのかが判明しない以上、迂闊に仕掛けるのはリスクが大きすぎる

 

 

 

…………だが、そんな緊張した空気を崩したのは、第三者の声だった

 

 

「うわっ、何あれ。デカくてごっつい男がいるんだけど……」

 

「総領娘様、もう少し言葉遣いに気を使ってください、はしたない」

 

 

腰まで届く青髪に、桃の付いた帽子を被った少女と、その少女を宥めるように付き添う羽衣を纏った女は、一同の前に降り立った

 

 

「誰?」

 

 

警戒しつつ諏訪子が尋ねると、青髪の少女は声高らかに言い放った

 

 

「私は比那名居 天子。知人がどうしてもと言うから助太刀に来てあげたわよ。感謝なさい!」

 

 




神奈子と諏訪子のことを基本、地の文では『二柱』。早苗の描写では『二人』と表しているのは態とです。

原作やるまで天子(てんし)を天子(てんこ)だと思ってた時期が主にもありました

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