東方万能録   作:オムライス_

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前回に引き続き独自解釈あり


17話 避けられない運命

ある晴れ渡った日の夕暮れ

 

俺たちは何時もの様に夕飯の準備をしていた。

食事は妖忌が作り、俺も手伝っている

 

紫と幽々子は食卓に座り談笑しながら料理が運ばれて来るのを待つ。

これが何時もの食事風景。

 

 

 

 

「ねえ、幽々子見てない?」

 

それは紫の何気ない一言から始まった

 

「幽々子?居間にいないのか?」

 

「それがいないのよ。全くどこにいるんだか」

 

「珍しいですな。幽々子様が食事時におられないとは…」

 

 

何と無く嫌な予感がした

 

「紫、幽々子を探せ」

 

「えっ?でも食事が出来ればその内出て来るんじゃ…」

 

「柊殿、どう言うことでしょう?」

 

「珍しく胸騒ぎがする。とにかく、俺と妖忌は屋敷の中、紫は庭だ。」

 

「承知しました」

 

「…わかったわ」

 

何と無く状態を察したのか直ぐに動く二人

 

 

外は不気味な程静かだった

 

 

ーー

 

「妖忌!居たか?」

 

「いえ、屋敷内隅々まで探しましたが影も形もありません」

 

「じゃあ一体どこに………!?」

 

「柊殿?どうs………!?」

 

 

 

屋敷内に光が漏れていた。

時刻は既に日も沈み、暗くなりつつあるにも関わらずだ

 

月明かりとは違う。鮮やかな赤桃色の光

 

庭先から妖力

 

「っ!!」

 

俺は妖忌に声を掛けるのも忘れ、庭に飛び出した。

向かう場所は西行妖

 

 

 

「…なっ!?西行妖が…!」

 

そこには見るものを魅了する程美しく、色鮮やかに咲き誇った西行妖があった

 

桜から視線を落とすと紫が立っている

 

「紫!」

 

「…」

 

呼び掛けるが返事が無い

 

「紫?どうし……」

 

異変を感じ、そばまで駆け寄った俺は何故紫が呆然と立ち尽くしていたかわかった。わかってしまった

 

「幽々……子?」

 

 

 

満開になった西行妖の下。

そこで横たわる幽々子の姿があった

 

「幽々子!?」

 

直ぐ様駆け寄り抱き上げる

 

「おい!幽々子!しっかりしろ!!おい!!!」

 

返事は無い。何時ものおちゃらけた返事が返ってこない

 

「幽々子様!!」

 

遅れて妖忌も駆け付けた

 

「ああっ…幽々子様…!そんな…」

 

変わり果てた幽々子の姿に膝を折る妖忌

 

 

幽々子の手には短刀。

胸の部分から血が滲み出ている

 

「自分で刺したのか…?幽々子!なんで……なんでだよ!!」

 

幾ら叫んでも、体を揺すっても幽々子は目を開けない

 

 

「!…っ柊殿!!」

 

「!?」

 

妖忌の言葉に顔を上げた

 

 

 

西行妖が不気味な光を発し、途轍もない量の妖力が溢れ出ている

 

「何だよこの妖力……そうだ、紫!!」

 

「…」

 

紫はあまりのショックのためか虚ろな目で座り込んでいる。

 

 

手に持ったナイフを首筋に当てながら

 

「っ!!!」

 

幽々子を妖忌に渡し、半ば飛び掛かる程の勢いで紫からナイフを弾いた

 

「おい、紫!しっかりしろ!!聞こえてるか!?」

 

「…」

 

見るといつの間にかスキマを開き、再びナイフを取り出そうとしている

 

「この…!やめろってんだろうがァ!!」

 

怒声と同時に紫の頭に拳を振り下ろした。以前の拳骨よりも少し強めに

 

「……!?〜〜〜〜〜っ!!?」

 

最早言葉が出ない程痛いらしい

 

「おい紫!!」

 

「つぅ……な、何よ〜」

 

「お前、正気に戻ったんだな?」

 

「えっ?私……何やって……っ!幽々子!?」

 

妖忌の腕の中で眠る幽々子に駆け寄る紫

 

「そんなっ…!幽々子…いやっ!いやあぁぁぁ!!」

 

「落ち着け紫!今は……っ!」

 

幽々子の亡骸を見て半狂乱になっている紫を落ち着かせようと近付いた途端、長年妖怪達と戦ってきたことで培った第六感が警報を鳴らしている

 

 

ーーーヤバいのが来る

 

「っ!!」

 

考えるよりも先に体が動いた。

 

その場にいる全員を抱えて後方に跳ぶ。

 

 

 

 

 

「ありゃヤバいな…!」

 

先程まで俺たちが立っていた地面

 

まるで生気を吸い取られたかの様にそこら一帯の草木は枯れ、土は腐敗している。

 

西行妖から伸びた枝によって

 

 

「妖忌、戦えるか?」

 

「無論です……!」

 

「そうか。……紫」

 

「……」

 

「こんな状況で酷な事を言う様だが、あの妖怪桜をどうにかしなきゃならねェ…

このままほっとけば更に犠牲者が出る。そしたらお前の夢も叶わなくなるんだ」

 

「…」

 

「……これは俺の推測だがな。幽々子は自身の能力に責任を感じていたんだ。そのせいで数多の人々を死に追いやってしまったのだと。

だから……

 

 

 

 

弱った心を西行妖につけ込まれた」

 

「…!」

 

「あいつはこう思ってたんじゃないか?この悲劇を自分で終わらせてほしいって」

 

「幽々…子…!」

 

「なあ紫。もしこれ以上犠牲者を出しちまったらあいつが浮かばれない……違うか?」

 

「…………そうね」

 

「……落ち着いたらでいい、決心が着いたらでいい。力を貸してくれ。……妖忌、行くぞ!」

 

「承知!」

 

暴走した西行妖を止めるため、数百年前より続く呪いを断ち切るため、二人は地を蹴った

 




今回は以上になります
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