東方万能録   作:オムライス_

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※12月30日〜1月3日まで休載します



25話 月の使者

「月から迎えが?」

 

「ええ。三日後にね」

 

ある日何時もの様に夜中屋敷へ忍び込み輝夜と密k…ゲフンゲフンッ

話をしていると輝夜がふと呟いた

 

犯した罪の償いが終わり、三日後の夜に月から輝夜を迎えに月人がやって来るのだと言う

 

「……輝夜は帰りたいのか?」

 

「そうね〜、月に帰っても大方碌な扱いは受けないだろうし出来れば残りたいわ。

でも無理ね。現代の武力では太刀打ち出来ないもの」

 

「なら俺がなんとか」

 

「だから無理よ。隼斗が強いのは知ってるけど流石に月の兵器には敵わないわ」

 

アレってそんなに強かったか?俺には必要なかったからよくわからん

 

「あーあ。此処での暮らしも悪くなかったわ」

 

そう言って何処か寂し気に窓の外を見つめる輝夜

 

「……」

 

 

 

 

〜屋敷外

 

「……話は聞いてたろ?紫」

 

すると空間にスキマが開き紫が顔を出す

 

「…あら、気付いてたのね」

 

「頼めるか?」

 

「お安い御用よ。他でもない貴方の頼みですもの」

 

……3日後か

 

 

ーーー

 

そして3日後の夜。

 

この日、屋敷の周りは厳重に固められていた

 

何故なら今日の晩、月から使者が現れて輝夜姫を月に連れて帰ってしまうという。

そこで翁は月の使者から輝夜姫を護るため、各国から腕利きの猛者達、そして帝から兵士二千人送ってもらい警護に当たらせた

 

屋敷に集まった兵士は各々の武器を持ち、我先に手柄を立てようと躍起になっていた

 

輝夜はその様子を窓から眺めながら一言呟く

 

「無駄なのに」っと。

 

やがてその場に変化が起こる。

月の光が異様に輝きを増し、まるで昼間の様に明るくなる。

 

そして現れたのは雲に乗った月の使者

 

 

 

……ではなく武装された複数の宇宙船だった

 

 

 

「何だアレは!?」

 

「空を飛んでいるぞ……!?」

 

兵士達が口々に言う中、指揮官らしき男が声を張り上げる

 

「相手がなんだろうと関係ない!姫をお守りするのだ!!弓矢隊射てェェェ!!」

 

指揮官の号令で一斉に放たれる矢

 

しかし船の装甲には傷一つ付けることは出来ず、今度は兵達にその砲門が向けられる

 

 

カッと光ったかと思えば、放たれた閃光は一瞬で兵達を灰に変えた。

 

次々に殺されていく兵士達。

 

逃げ惑う兵もいれば勇敢にも戦おうとする者もいる。

だが武力の差は絶望的、瞬く間に兵士は全滅した

 

屋敷の庭に宇宙船が降り立つ中、輝夜姫は一人外に出てきた

 

 

「姫、お迎えに上がりました」

 

「……永琳」

 

船から降りてきたのは複数の兵士と、八意永琳。

そして輝夜が永琳に何かを伝えた後、

 

「八意様、時間がありません。お急ぎをぉ”お”…!?」

 

兵士の一人が永琳に話し掛けた瞬間、眉間を矢が貫いた。

 

「悪いわね、こういう事よ」

 

いつの間に取り出したのか、その手に弓を構える永琳が冷めた声色でそう言った。

頭部を吹き飛ばされた兵士は血を吹き出しながら力無く倒れる。

 

「なっ!?永琳様!?」

 

「姫、走って下さい!!」

 

「ぐえっ…!?」「ぎゃ……!?」

 

今度は同時に複数の矢を放ち、至近の兵士を片付けた永琳は輝夜と共に森に向かって駆け出した

 

「くっ…追うんだ!両方捕らえろ!!」

 

他の船から降りてきた兵士も光線銃を持ち追跡を開始した

 

「八意永琳…!まさか裏切るとはな」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

「くっ…!囲まれたか…!」

 

輝夜を連れ、森へと逃げた永琳だったが追っ手を振り切れず囲まれてしまった

ざっと数えても30人は居り、全員がレーザーを射出するライフルを装備している

 

「くくっ、月の頭脳と呼ばれた貴方が馬鹿な事をしたものですな。我々を裏切るなど」

 

「え、永琳…」

 

「…姫は下がっていてください。大丈夫、なんとか隙を作りますから」

 

「貴方まさか……駄目よ!一緒に逃げなきゃ…!?」

 

「此処で二人捕まるわけにはいかないんです。わかってください…!」

 

「でも…!」

 

「輝夜様ご心配には及びませんよ?月に帰ったら永琳様も実験体になって頂きますから」

 

「…っ!?」

 

「この…!…ぐっ!?」

 

弓を引き絞る永琳だが、それよりも早く銃を抜いた指揮官の男に肩を撃たれてしまった。

熱線が肩を通過し、傷口に奔る焼ける様な鋭い痛みに思わず弓を落としてしまう

 

「永琳…!!」

 

「下がって…!!」

 

「射撃用意」

 

指揮官の号令で一斉に銃口が向けられる

 

「両方不老不死だ。両手足を撃って達磨にした後拘束具を付けて連行する」

 

「!?」

 

その言葉に顔を蒼くする輝夜を、庇う様に抱く永琳。

肩口から血が滲み出しておりとても痛々しく、それでも尚指揮官の男を睨みつけている

 

「ーーー撃 」

 

 

 

 

今まさに発射号令が下される瞬間、それは現れた

 

 

ヒュウゥゥゥ………スタンッ

 

上空より飛来し、目の前に着地したのは一人の男

 

「な、何だ貴様…!?」

 

「えっ……?」

 

此方に背を向け、まるで自分達を護る様に立ち塞がったその男の背中を彼女は知っていた

 

「……ごめんな、少し遅れた。もう大丈夫だ」

 

ゆっくりと此方を向き優しい声色で語り掛けてくる男の顔と声を彼女達は知っていた

 

「あ、ああ……!」

 

忘れもしない

 

忘れるわけが無い

 

「隼斗……!!」

 

頬を涙が伝い、彼の名前を呼ぶ

 

「…はいよ」

 

そこには以前と変わらぬヒーローがいた

 

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