東方万能録   作:オムライス_

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12月30日〜1月3日まで休載します
投稿は1月4日から


27話 幻想郷訪問

「はい到着。ようこそ、此処が幻想郷よ」

 

「此処が……」

 

「へぇ、俺も初めて来たけどホントに創っちまうとはなー」

 

「当然よ!何せ私なんですもの!」

 

ふんすっ!っと胸を張る紫

 

ちな最初に喋ったのは俺じゃなくて紫な。

俺達はあの後、紫と合流してスキマを通り幻想郷へと来た。

 

スキマが開いた先は所謂竹林で、事前に紫と相談して永琳達には此処に住んでもらう事にしていた

 

「で、紫。肝心の住まいはどこにあるんだ?」

 

「此処からもう少し進んだところよ」

 

紫に案内されて歩いて行くと和風建築の屋敷が見えてきた

 

「立派な屋敷じゃないか。どうしたんだ?」

 

「向こうから持ってきたのよ。勿論空屋からね」

 

「此処に私たちが?」

 

「ああ。此処なら追手も来ないだろうし安心だろ?」

 

「ええ。ありがとう隼斗、八雲さん」

 

「紫でいいわ。隼斗の友人なら私の友人ですもの」

 

「あら、ありがとう。改めて八意 永琳よ。此れからもよろしくね紫」

 

「蓬莱山 輝夜。輝夜でいいわ。よろしくねゆかりん」

 

「ええ、よろしく……ってゆかりん!?」

 

「あら、気に入らなかった?可愛い響きじゃない?ゆかりんって」

 

「いや恥ずかしいわよ!」

 

「おっ、新しい友達が増えた上にアダ名まで付けて貰えるなんてよかったじゃないか『ゆかりん』」

 

「隼斗まで…!?」

 

暫く紫を俺と輝夜でからかっていると何やら考え込んでいた永琳が顔を上げ、

 

「紫がゆかりんなら私はりんりんかしら」

 

っと真顔で言い放った

 

 

 

お前はパンダか

 

 

 

ーー後に此処が輝夜の能力と永琳の張った結界により、未来永劫古びる事のない屋敷『永遠亭』と呼ばれるのはもう少し後の話

 

 

 

ーーー

 

「本当に行っちゃうの?」

 

「ああ。此処に住むのもいいけどまだ外でやることがあるからな。」

 

「もう少しゆっくりしていけばいいのに……」

 

あれから一週間程永琳達の屋敷に留まり、そろそろ旅を再開するつもりだ。

永琳も輝夜も此処で一緒に暮らそうと言ってくれるが、そうもいかない

 

「心配すんなって。時々顔出しに来るし、幻想郷がある程度落ち着いてきたら俺もこっちに住むからさ」

 

「全く、貴方は相変わらず自由奔放な性格してるわね」

 

「無鉄砲なところもね」

 

失敬だな!俺だってちゃんと考えて行動しとるわ

 

「……」

 

「「いってらっしゃい、隼斗!」」

 

「…いってきまーす」

 

 

紫のスキマを抜け再び外界へ訪れると、京は

突如月へと帰ってしまった輝夜の話で持ち切りだった。

帝から出された兵は壊滅し大きな損耗を出してしまった事や、天より現れた天人の乗った船の目撃情報(その日のうちに俺が処分済み)などだ。

 

更に聞くところによると、輝夜姫は月に帰る際世話になった夫婦に『不死の薬』を置いていったらしい。

まあ十中八九 蓬莱の薬だろう。

 

だが夫婦はその薬を使う事はなく、帝の命令により富士の山にて燃やす事になった様だ。

 

帝の使いが薬を持って富士に向かったのは5日前

 

 

「んーまあ処分する分には問題ねーか」

 

いざとなったら俺が処分しようと思ったけど手間が省けて何よりだ

 

「さて、じゃあ旅を続けますかね」

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

京を出て今日で2週間。

……駄洒落では無い。偶然だ

 

現在偶々入った山で絶賛迷子中である。

 

此処に来て俺が方向音痴だと言うことが露見してしまったと思うだろう?

だがそれは間違いだ。

俺は基本的に初めて訪れた場所であっても地図判読が面倒なので自分の勘を頼りに進む。その為軍にいた時も地図を持った事がない。

まあそのせいで3日くらい森の中を彷徨う嵌めになったが。

あの後の麻矢の怒りっぷりときたら……

況してや碌に地図もないこの時代じゃ尚更だ

 

話を戻そう。そんなこんなでこの山を抜けようとしたのが3日前。

可笑しい………何故目の前に断崖絶壁が広がっているんだ?

呆然と上を見上げれば高さ2、300m位ありそうだ。落ちたら一溜まりもないなー(棒

 

おっと現実逃避してる場合じゃない。

早いとこ山を抜けないとな

 

最悪紫を呼べばいいんだけど普段からかってる手前頼み辛いな……

 

「あっ、そうだ。高い所登って周り見てみりゃいいじゃん…!」

 

流石、俺ってば天才だな!

そう思って再び崖の上を見上げた俺の目に飛び込んできたのは

 

「……なんだありゃ?人か?」

 

いや間違いなく人だ。しかも見た目からして女の子

 

……が落ちてくる。

 

親方!空から女の子が!をリアル体験した瞬間である

 

「やべっ、助けねーと…!」

 

うっかり傍観していた俺はハッと我に帰り、女の子を受け止める為術を発動する

 

「縛道の三十七 『吊星』」

 

空中に霊力で出来た衝撃を防ぐネット上の床を出現させ、女の子を受け止めた

 

「おい大丈夫か……って気絶してるな。それにこの髪は?」

 

その少女の髪は一見老人と見間違えてしまう程の白髪だった




では皆さん良いお年を!

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