東方万能録   作:オムライス_

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30話 妹紅 修行編

 

 

「……んっ」

 

「力み過ぎだ。もっと体の力を抜け」

 

「こう…?」

 

「そうそう。時期に慣れてくるから心配するな。続けるぞ?」

 

「う、うん…」

 

 

 

 

 

一体何をやってるかって?

 

 

ーーー座禅に決まってんだろ

 

座禅をする事で集中力が高まり、内に眠る霊力を引き出す事が出来る。俺で実証済みだ

 

「大事なことはイメージを強く持つことだ。体中に散らばってる力を中心に集めるイメージをしろ」

 

「いめーじーって何?」

 

ああそうか、この時代には横文字は伝わってないのか

 

「イメージってのは……まあ心の中で思い描いた姿や形って意味だ」

 

「むむ……いめーじ、いめーじ」

 

「だから固くなるなって。リラックスしろリラックス」

 

「り、りらっく…?」

 

だぁーもう!

 

「緊張をといてゆったりとしろって事」

 

「わかった」

 

グデーっとその場に寝そべる妹紅

 

「誰が寝ろっつったー!!」

 

 

こんな感じで始まった修行

 

 

 

「おら、集中途切れてんぞ!深呼吸しろ」

 

「スゥ〜、ハー」

 

「はい、イメージ!」

 

「むっ…!」

 

 

「よーし安定してきた。そのまま感覚を掴んでいけ」

 

「ホントに!?やったー!」

 

「あっ、コラ!集中解くな馬鹿」

 

 

「あっ……今何か掴めたかも」

 

「それが霊力だ。その感覚を忘れるなよ?」

 

「うん…!」

 

 

「うー、集中…集中……」

 

「少し休んだらどうだ?休むことも修行だぞ?」

 

「……ううん、まだ大丈夫だよ」

 

「…そうか、無理はするなよ?」

 

 

 

 

ーーー半年後

 

「はあぁぁ〜〜!!」

 

修行を続けて半年が経ち、妹紅は大分霊力をコントロール出来るようになった。

 

今では霊力で体を覆い、微弱ながらも身体強化が可能になっている

 

「よし、その状態を維持したまま組手に移るぞ」

 

今妹紅には霊力の修行と同時並行で、組手も行っている。

実戦では霊力だけ使えても意味がない。

当然肉弾戦も考えられる為、俺は自分の戦闘スタイルでもある徒手空拳を教えることにした

 

「やあっー!!」

 

「まだまだ!もっと重いの打ってこい!!」

 

 

 

 

ーーー5年後

 

 

 

「君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 」

 

掌を中心に霊力が溜まっていく

 

「焦熱と争乱 海隔て逆巻き南へと歩を進めよ」

 

溜まった霊力は詠唱と同時に炸裂する

 

「破道の三十一!『赤火砲』!!」

 

ズドォォォン!!

 

 

「で、出来た……!」

 

「ああ、上出来だ」

 

このたった数年の修行で妹紅は霊力の扱いが驚き程上達し、ついに赤火砲を打てるようになった

 

「やったー!!ついに念願の赤火砲が出来たー!!」

 

 

妹紅は余程嬉しかったのか子供の様に燥いでいる

 

「おいおい、赤火砲っつっても三十番代だから術自体は然程強くないぞ?」

 

「いいの。私炎系の術好きだし、此れからは炎系を極めていくよ」

 

「確かにイメージとは合ってるけどよ」

 

まあ何はともあれ此処まで頑張った妹紅に何か褒美をやらないとな

 

「妹紅」

 

「んー?なに師匠」

 

因みに妹紅は俺のことを師匠と呼ぶ様になった

 

「ほれ、頑張ったからやる」

 

そう言って妹紅に渡したのは、白地をベースに赤ラインの入った大きめのリボンだった

 

 

「わぁっ…!えっ、いいの?」

 

「当たり前だ。俺がそんなん付けてたら気持ち悪いだろ」

 

「で、でも私に似合うかな……」

 

「じゃあ似合うかどうか見てやるから付けてみろ」

 

「…うん。よっ…と……ど、どうかな?」

 

若干照れながら髪にリボンを付けて尋ねてくる妹紅

 

「ふっ」

 

思わず小さく笑う隼斗

 

「や、やっぱり似合わなかった?それとも付け方が悪かったかな…?」

 

隼斗は珍しくオドオドしてリボンを取ろうとする妹紅の手を止めた

 

「待て待て、誰も似合ってないなんて言ってないだろ?」

 

「だ、だって笑ったじゃん……」

 

「そりゃ予想以上に似合ってたからだよ。ったく何を心配してんだか」

 

隼斗が呆れ半分、微笑ましさ半分でそう言うと妹紅は再び顔を赤くする

 

「あ…ぅぅ……」

 

「おや〜?もこたん また照れてんのかー?」

 

「なっ、違っ……!…ってか もこたん て何

っ!?」

 

「気にすんな、もこたん!」

 

「それやめろー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 


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