東方万能録   作:オムライス_

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オリジナル回です


31話 支配された村

 

「おっ、村が見えてきたぞ」

 

「ホントだ……此れでやっと休めるよ」

 

あれから時は流れ、100年程経った

旅を続けていた俺と妹紅は一週間ぶりに人里を見つけ、そこで休む事にした

 

「さーてと、まず泊めてくれるとこ探さねーとな」

 

まだこの時代には宿屋が広まっていない為、一泊するのも交渉から始まる

 

「ねえ師匠。此処の村何か変じゃない?」

 

「ん?」

 

妹紅に言われて改めて村全体を見渡してみると、何と言うか活気が無く、ドンヨリとした空気が漂っている。

更に言うなら外を歩いてる人も少ない

 

「確かに変だな。……ちっと聞いてみるか」

 

丁度近くを歩いていた村人を呼び止め、事情を聴いてみた

 

「ちょっといいか?」

 

「な、何だアンタ達は…!?」

 

話しかけた村人は明らかに怯えた反応をした

 

「別に怪しいもんじゃないよ。旅の途中で偶然この村に来たんだけど、随分村の雰囲気が重く感じてさ。何でかなーっと思って聞いてみただけ」

 

「そう言うことか……だったらマズイ所に来ちまったな」

 

「マズイ……って言うと?」

 

「……この村は妖怪に支配されているんだ。……月に一度やって来て食料や若い娘を差し出せと要求してくる」

 

「妖怪……」

 

よくある話だった。こういった大きな都市から外れた場所にある小さな村は妖怪の標的となる

 

「退治屋とか陰陽師は雇わなかったのか?」

 

そう言った場合、大抵腕の立つ退治屋や陰陽師を雇う事で解決することが多いが…

 

「勿論雇ったさ、其れなりに腕の立つ退治屋をな………でも駄目だった。翌日には皆、変わり果てた姿で村の入り口に放られていたよ」

 

退治屋でも倒せないとなると其れなりに名の知れた妖怪かもしれない

 

 

 

「その妖怪の名前は?」

 

 

 

「……牛鬼だ」

 

 

 

 

ーーー

 

 

牛鬼………牛の頭に鬼の体、蜘蛛の様な八本の手足を持つ残忍な妖怪

 

俺たちは牛鬼討伐を条件に村での滞在を提案した。

村人は皆止めたが終いには承諾。

現在牛鬼がいると言う住処に向かっているところだ

 

「ねえ師匠、牛鬼ってどんな妖怪なの?」

 

「そうだなー、牛と鬼と蜘蛛が合わさった様な妖怪だ」

 

俺はざっくり説明した

 

「…何それ気持ちわるっ」

 

妹紅はそう吐き捨てると、俺より前に出て此方を向き

 

「今回は私がやってもいい?ソイツの討伐」

 

自ら牛鬼討伐を買って出た。

確かに妹紅とは100年余り一緒にいるがまだそういった強者との戦い、所謂実戦を余り経験させたことがない。

まあ俺が過保護なせいもあるかも知れないが、妹紅としては自分の実力を試してみたいんだろう。

そういった意味でも今回の一件は良い機会なのかも知れない

 

「……いいぞ、やってみな」

 

「うん…!」

 

そう返事をする妹紅に「ただし」と付け加え、

 

「牛鬼は其処らの妖怪とは違って実力のある妖怪だ。油断するなよ?」

 

ーーー始めから全力で行け

 

そう釘を刺し、万が一の時は俺が助けに入る事を条件に今回の討伐を妹紅に託した

 

 

暫く歩いて行くと、そう遠くない場所に大きな妖力を感じ取った

 

「牛鬼の住処まで後少しだ。集中だぞ妹紅」

 

「はい…!」

 

森を抜け、拓けた場所に出た。

 

目の前には洞窟があり、中から異形の怪物が姿を現した

 

「……誰ダ、オ前ラハ?」

 

 


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