東方万能録   作:オムライス_

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とりあえず書き溜めてた分は今日中に投稿します

今回は月面移住計画編に移ります


4話 月面移住計画

翌日の防衛軍本部は間近に迫ったある計画に向け慌ただしかった

 

[月面移住計画]

 

これは数年前から計画されているもので、その名の通り今住んでいる地を捨てて月に移り住むという大掛かりな計画だ

 

ここ地上では数十年前から続く妖怪の活発化と穢れによる寿命の発生。

そして数年前から穢れがより濃くなってきた事により、これ以上地上に住むのは危険だろうという事で発案された

 

今科学者を総動員して進められているのは、月までの足となるロケットの製作だ。

勿論その中には永琳もいる

 

「完成まで後一月だったか?もう直ぐだな」

 

「はい、何だか実感湧きませんね。月に移住だなんて」

 

「…ああ」

 

「隊長?」

 

「いや、何でもない」

 

 

 

 

〜一月後

 

「もうすぐロケットの搭乗時間だ。二人とも準備はいいか?」

 

「ええ。さっ、姫様行きますよ」

 

「隼斗は一緒に来ないの?」

 

「心配するな、後から行く。輝夜は永琳と先に乗っていい子にしてろ。な?」

 

不安そうな輝夜にそう言って優しく頭を撫でると少し表情が和らいだ

 

ロケットに搭乗する人物には優先順位があり、まず第一便が主に都市の重役やその関係者・科学者など

次に一般市民、そして最後が兵士だ。

 

永琳に輝夜、綿月家も第一便に乗っている

 

「じゃあ引き続き警戒に行ってくる。永琳、輝夜を頼むぞ」

 

「ええ。貴方も気をつけて」

 

「ああ」

 

ーー

 

「あっ、隊長お疲れ様です」

 

「麻矢、どうだ外の様子は」

 

「今のところ異常はありません。このまま何も無ければいいんですが」

 

「念のため次の外部動哨組が帰ってきたら全てのゲートを封鎖してくれ。俺は各部隊長にその旨を伝えてくる」

 

「了解」

 

 

 

『隊長、たった今全てのゲートの閉鎖が完了しました』

 

「ご苦労さん。引き続き警戒にあたってくれ。俺も直ぐ行く」

 

『了解』

 

「さて…」

 

「あら、隼斗?」

 

麻矢との無線を切り配置場所に戻ろうとした時後ろから声がかかった

 

「永琳に輝夜?どうした、もうすぐロケット発進時間だろ」

 

「実は姫様が忘れ物したって言うから取りに戻っていたのよ」

 

「忘れ物?」

 

「これ!隼斗のゲーム」

 

「おいおい、態々俺の家まで取りに行ったのかよ」

 

「まあいいじゃない、時間はまだあるんだし」

 

「まあ何でもいいや。とにかく二人とも早くロケットに…」

 

そう言いかけた瞬間だった

 

ビー!ビー!ビー!

 

けたたましいサイレンの音が響き渡った

 

『た、隊長!!春雨です!応答願います!!』

 

それと同時に無線から麻矢の慌ただしい声が飛んだ

 

「どうした?このサイレンが鳴ったって事は何か異常事態か?」

 

『妖怪です!南西方向から妖怪の大群が押し寄せて来ます!!』

 

「何だとっ!?数は!」

 

『不明です!少なくとも景色が埋まる程は確認できます!』

 

って事は百や二百じゃないな

 

「とにかく迎撃準備だ!他部隊と連携をとって防壁の砲門を起動させろ!」

 

『りょ、了解!』

 

ピッ

 

「は、隼斗?」

 

「永琳、ここは危険だ。輝夜を連れて急いでロケットに乗り込め」

 

「待って!大丈夫なの!?妖怪が大群で攻めてきたんでしょう!?」

 

「心配するな、二人は必ず守る」

 

「そうじゃないわ!私が心配してるのは貴方の…!」

 

「永琳!!」

 

「っ!」

 

「しっかりしろ永琳。今ここでお前が取り乱したら輝夜はどうなる?お前がそばでしっかり守ってやらねえと駄目だろうが!」

 

「!」

 

ふと輝夜の方に視線を向けると、永琳の手をギュッと掴んで震えていた

 

「え、永琳…」

 

それを見た永琳はハッと我に帰り、直ぐ様しゃがんで輝夜と目線を合わせると優しい口調で言った

 

「大丈夫ですよ姫様。どんな事があろうと姫様には私が付いてますから。それに隼斗だって」

 

そう言って此方に顔を向ける永琳

輝夜もつられて此方を向く

 

「心配するな輝夜。どんな怖い奴らが襲って来たって俺が必ず守ってやる。約束だ!」

 

先程と同様に、安心させる為優しく頭を撫でた

 

「…うん」

 

「よーしいい子だ」

 

「隼斗…」

 

「なんd…おっと」

 

急に永琳に抱き寄せられた

 

「約束して。必ず帰ってくるって……お願い!」

 

俺を抱きしめる腕に一層力を込める永琳。

不安なんだろう。どうしようもなく。

自分がこの世で一番愛する人物が自分を残して戦場に行ってしまう事が。

堪らなく悔しいのだろう。自分も一緒になって戦えない事が。

 

だから俺は一言。たった一言添えて抱き返した

 

「必ず戻る、だから待っていてくれ」

 

「…ええ」

 

そして俺は戦場に駆けた

 




次回から戦闘に入ります

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