東方万能録   作:オムライス_

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41話 防衛軍勤務①

 

「確か最上階だったな」

 

俺はエレベーターに乗り込み最上階のボタンを押した。最新のエレベーターなのか、あの独特の浮遊感もGも感じない

 

ーーーしっかし月読はいつの間に手配したんだ?まさか入口の警備を名前言っただけで通れるとは思わなかったよ

 

月読に言われた通り最上階にいる奴に会いに来たはいいけど、何て言おうか…

 

こんちわっス、新しく配属されました新兵Aです…とか?

 

いやそもそも俺はどういう立ち位置になるんだろう。月読の話を聞く限りじゃ兵士の育成係り的な感じだったけど……

 

って考えてる間に着いちまったな

 

「えーと、確か奥の部屋だよな」

 

まあいいや。後は流れに身を任せってね

 

「失礼しまーす」

 

 

ーーー

 

「もうじき月読様の言っていた新しい教官の方が来る時間ね」

 

「はい。何でも過去に前線で何度も活躍した実績がある方らしいですよ」

 

「それなら安心ですね」

 

防衛軍本部の最上階にある一室。

月読の命により、此処にある人物が集められていた

 

月の使者のリーダーである綿月姉妹。

そして防衛軍・一番隊部隊長 春雨麻矢

 

「でも何で態々私と依姫、麻矢ちゃんまで呼んだのかしら?」

 

「さあ…?月読様は絶対に来るようにと仰っていたので何か理由があるのだとは思いますが」

 

「御二方はわかるんですが何故私まで呼ばれたんでしょう?」

 

すると扉の外から声が聞こえてきた

 

「失礼しまーす」

 

「あっ、来たみたいよ」

 

「どうぞ!鍵は開いてます」

 

依姫がそう促すとドアが開かれ一人の男が入ってきた

 

「どうも、初めまし…………て?」

 

男は挨拶を言い終える前に此方を見て固まった

 

「「「!?」」」

 

だがその男の姿を見た3人も同じように固まる

 

「「先生……!?」」

 

「隊長……!?」

 

「……月読の奴、ハメやがったな」

 

実質これが、師と弟子・上司と部下の一億年ぶりの再会となった

 

 

 

 

ーーーーー

 

「……」

 

「……」

 

机を挟んで向かい合うように座る四人。

と言っても隼斗の向かい側に三人座ってるので、なんと言うか面談の様な空気になっている

 

ーーー気まずい。しかも今まで味わった中で1番空気が重く感じる。チキショー、コイツらと会うのにまだ心の準備が出来てなかったってのに何てこった…!

えーと何から話せばいいんだ?

 

よ、よぉ〜久しぶりー!

 

……流石にそんな軽くいけねーよ!!

 

 

 

そんな沈黙を1人が破った

 

「お久しぶりね、先生」

 

豊姫だった

 

「あ、ああ。お前たちも変わらず元気そうで何よりだ」

 

次に左腕を三角巾で吊っている依姫が口を開く

 

「今までどちらに?ご無事なら無事と言っていただければすぐに迎えに行きましたのに」

 

「まあ、色々あったんだよ。地上でな」

 

そして最後が麻矢。でも若干俯いている

 

「……」

 

「どうかしたのか?」

 

気になって声をかけてみた。すると……

 

「……うっ…!ぐすっ……あああ」

 

泣いたァァァァァ!!?

 

「ま、麻矢?どうした?あ、あーアレか?久々に俺に会えて嬉しかったか?そーかそーか!それなら戻ってきた甲斐があった…」

 

ああ……多分恐らくきっと俺の所為だよな?なんかマズい事言っちまったか?いやいやまだそんなに喋ってないから!

 

「ひっ…良がっだ……!本当に…柊隊長だぁぁ…!」

 

「麻矢……」

 

「麻矢はずっと先生の事で思い詰めていたんです。最後まで一緒に戦えなかった自分を責めて、悔やんで」

 

「それが此処に来て安堵に変わったから溜め込んでた感情が決壊したのね、きっと」

 

依姫が麻矢の背中を摩り、豊姫が頭を撫でて落ち着かせている。側から見れば大変微笑ましい光景であるが、当事者である俺の瞳にはクラスで女子を泣かせた時みたいなシチュエーションが浮かんできて素直に喜べない

 

「麻矢、心配掛けたな。でも俺はこの通り元気で此処にいる。だからもう心配いらないぞ?な?」

 

出来るだけ優しい口調でそう語りかけると、麻矢は涙を拭って顔をあげた

 

「はい…!」

 

・・・

 

それ以降も特に仕事の話をする訳でもなく俺たちは談笑していた。

俺の今までの経緯や妖怪の事。月の都の文化とか、兎に角思いつく限りの事を話し合った。

そうそう。月の襲撃の時にいた謎の男の話になったから正体を明かした。すると麻矢と依姫が顔を蒼くして謝ってきた。元々襲撃したのはコッチだしって事で俺も平謝り。ちょっとした懺悔大会みたいになって唯一豊姫はこの状況に笑っていた

 

途中から部屋の外で月読が盗み聞きしているのに気付き、壁ごとぶち抜いて飛び蹴りを喰らわせてやった

 

「な、何をするか!」

 

「るせー!!お前の所為で最初の方大変だったんだよ!!」

 

ギャーギャー

 

「あらあら見て依姫。月読様の頬があんなに」

 

「ははは…あれは痛そうですね」

 

「いいなー、柊隊長に抓って貰えて」

 

結局俺の仕事について説明を受けたのは次の日の朝だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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