人里から南西に位置する場所に迷いの竹林と言われる場所がある。
濃い霧が林内部を覆い、竹も急速に成長している為、すぐに景色が変わり目印にするものも無い
故に迷いの竹林
そんな場所を隼斗は歩いていた。
理由は此処の奥に永遠亭がある為、人里を出た後地図を頼りに此処まで来たというわけだ
「あれー?此処さっき通ったか?」
まあ案の定迷って立ち往生している訳ですハイ…
何度も同じ所をぐるぐる回り、一向に前に進めてる感じがしない為、一層の事竹を全部吹っ飛ばそうかマジで考えた時だった
隼斗の足に何かワイヤーの様なものが引っ掛かり、何処からともなく何本もの竹槍が飛んできた
「…よっと、トラップか?」
飛来する竹槍を難なく躱し、改めて辺りを見渡してみると至る所に同じ様な仕掛けが張り巡らされていた。寧ろよく今まで引っ掛からなかったなと思える程だ
「……そこの、出て来い」
同時に藪の方から僅かだが気配を感じ取り声を飛ばした。
しかし応答は無い
「……縛道の四 『這縄』」
「うわっ!?」
藪に向かって霊子の縄を飛ばし、気配の主を引き摺り出した
「く、くそー!油断した」
「何だお前?」
出てきたのは兎耳にワンピースの子供、基妖獣だった
「どうしてわかったの…?」
「上手く気配は消してたみたいだけどな。俺からすりゃまだまだ甘い」
「ぐぬぬ……」
余程自身があったのか、はたまた人間に駄目出しをくらったのが納得いかないのかは知らないが、悔しそうに歯をギリギリしている
「で?見てたって事はこの罠仕掛けたのお前だよな?」
「な、なんの事かわからないね〜 」
隼斗はあからさまに目を逸らして口笛を吹き誤魔化そうと必死の兎娘を上から掴み上げ、ジタバタ暴れる兎娘を無視して目線の高さまで持ってきた
「わっ…!?降ろせ!」
「…お前此処の地理詳しいか?」
「当然…!此処は私の庭みたいなもんだからね」
「その状態で威張んな。なら丁度いい、案内してくれ」
すると兎娘はニヤリと笑い
「待てよ人間。「案内して下さい」だろ?ちゃんと敬語を使えよお前」
「!」
「私の助けが必要なんだろう?しっかり頭を下げてお願いしなよ」
………何だコイツ、急に豹変しやがって。
しかも頭下げろだァ?
「………土下座でいいか?」
「そうそう。上下関係をはっきりさせておかないとね」
「……わかった。じゃあ、いくぞ?」
「……ん?」
俺は兎娘の襟から手を離し今度は両腕を掴んだ
「はい!土下座ァァ!!」
「なんっ…ぶぅ!?」
「はい土下座ァァァ!!」
「ふぐぅっ!?」
隼斗は兎娘の両腕を掴んだまま勢いをつけて姿勢を低くした。
その為兎娘は地面に叩きつけられる形になる。
ビターン、ビターンと間抜けな効果音がなり兎娘の小さな悲鳴が聞こえる
・
・
・
「これで関係ははっきりした筈だ。早く案内しろ」
「はい。い、嫌だなぁ冗談ですよ」
今度こそ観念したのか素直に応じる兎娘
「うぅ……鼻が痛い」
「心配するな。此れから行くとこで診てもらえる」
「……くぅ、今に見てろ…!」
兎娘は密かに復讐を誓い、永遠亭までの道のりでワザと罠の所に誘導するも、落とし穴では地面が抜ける前に回避され、竹槍は先程と同様に躱され、決め手の竹のしなりを利用した鞭も素手で受け止められた
「……お前ワザと罠にかけてないか?」
「ま、まさか〜(…掛かってないじゃん)」
ーーー
案内通りに進み、暫く歩いていると永遠亭が見えてきた
「やっと着いたな。ご苦労さん」
「…ねえ、此処に何の用?」
「別に特別用がある訳じゃないが親友に会いに来た」
「ふーん」
兎娘は素っ気なく相槌を打った
「そういや名前聞いてなかったな」
「因幡 てゐ、好きに呼んでいいよ。アンタは?」
「柊 隼斗。てゐは此処に住んでる連中を知ってるのか?」
「まあね。なんせ契約相手だし」
「契約?」
「そ。部下の兎達に知恵を付けて貰う代わりに、人間をこの場所に近づけないようにするって条件でね」
「でも俺を通しちまったな」
「うん、だからどう言い訳しようか考えてんの」
態とらしく頭を悩ませてるとこ悪いが、もし俺を追い返しちまったら多分永琳がキレるぞ?
「まあ良いんじゃね?逆に俺を追い返して無くて」
「そうなの?ならイイや。先入ってるね」
「あん?お前も此処に住んでんのか?」
「うん。部下共々ね」
そう言ってそそくさと中に入っていった
「忙しない奴だな」
俺も後に続き玄関の扉を開けると丁度永琳が部屋から出てきた所だった
「よお」
「隼斗…!久しぶりね。いつこっちに来たの?」
「ちょっと前にな。こっちに住む事になって何処に家を建てようか幻想郷を見て回ってるんだ」
「そうなの?だったらウチに来ればいいのに」
「折角だけど俺はマイホームを持ちたいんでな」
「あら残念。お茶を用意するから居間で待ってて。姫も呼んでくるから少し話しましょ」
「ああ、悪いな。お邪魔しますよっと」
……②へ続く