「ふん、ふん〜っと♪」
鼻歌を歌いながら木材、基丸太をいくつも運ぶ。なるべく大きさは同じものを揃え余分な枝等をカットしていく
見ての通り家造りだ
造るのはログハウス。簡易的なものなら丸太を組むだけで造れるが、折角のマイホームだ。色々工法にも拘ろうと思う
結局幻想郷を見て回ったけど、イマイチ此処だ!って場所が見つからず、人里の東にある森の中に決めた。此処なら材料にも困らなそうだしな
「よし、丸太はこんなモンでいいだろ。さて組み立てますかな」
手元にある工具は鑿のみ……洒落ではない、偶々である。
切るのは手刀、杭は拳骨で打てる。基本的に俺は道具を使わなくてもいいから楽だ
鑿で溝を掘りながら丸太を組む地道な作業、でも此れがまた楽しい
作業を開始してから半日足らずで概成した
外装は二階建てのログハウス。
内装は一階が吹き抜けになっていて、二階と繋がっている。部屋と部屋には特に隔てる壁を作らず一つの空間に全て揃っている、正に家全体が一つの部屋の様な感じだ(ただし風呂とかは別)
居間と台所は一階。寝室は二階に造る予定だけど、客間も造るべきだろうか?
……めんどいからイイや
「家具とかどうしようかな……木で造るか?………それくらい買いに行くか」
人里近くに家を構えただけあって買い物が楽だ。
近くて便利、セブン◯レブン いい気分♪
結局この日は家造りに1日費やした為特に知り合いと会う事は無かったけど、明日には紫のとこに報告に行こうと思います⚪︎
あれ、作文?
………前にも言ったな
ーーー
隼斗が住居を構えた森、又は人里から大凡北東の方角に紫の家はある。
森を抜け、ひたすら続く獣道を進んでいると、何やら騒がしい
「何だ?獣同士が喧嘩でもしてんのか?」
獣道の脇にある茂みの奥から獣と思わしき気配と唸り声が聞こえた
微量ながら感じる妖力
「……一応見に行くか」
茂みを掻き分けて進んでいくと、一匹の化け猫に対して三匹の妖獣(何れも山で見かけるような獣)が攻撃していた
「ーー!…キャッ!?ウゥ…」
他の三匹と比べ、化け猫の方は人間の子供の様な見た目だ
既に化け猫の方は戦意喪失しており身体を庇うように蹲っている
「……」
・
・
・
・
・
「隼斗が此処を出て一週間。そろそろ場所に目星を付けた頃でしょうか」
「案外とっくに決めて、建築に取り掛かってるんじゃないかしら?彼って案外適当だから」
「まぁ、確かに……」
強ち間違っていない指摘に一緒に肯定してしまう藍
「まあどうせ素人に家なんて建てられるわけないし、その内諦めて戻ってくるんじゃない?」
〉オーイ、ユカリー ラアァァァン!イルカー?
玄関先から隼斗の声
「あら、噂をすれば」
「何だか私の呼び方だけ違和感が…?」
藍が戸を開けると、其処にはまだ見た目幼い少女を抱えた隼斗が立っていた
「……隼斗、お前そんな趣味が……?」
「シバくぞ」
一瞬隼斗の性癖を疑う藍だが、よく見るとその少女には猫の様な耳と二股に分かれた尻尾が付いており、なにより疲弊している事に気付いた
「……兎に角中に入れ。布団の用意もしよう」
「ああ頼む」
〜
「…それで?あの娘はどうしたのよ?」
少女を寝室に寝かせた藍が居間に戻ってくると、早速紫から質問された
「此処に来る途中で他の連中から袋叩きにされてるのを見かけてさ、ほっとくのもアレだし助けて来た」
「あんな小さな子を寄ってたかって甚振るとは…!許せん奴らだ!」
尾を逆立たせ怒りを露わにする藍を一先ず宥める
「落ち着け藍、その連中は俺が叩きのめしといた」
「……う、うむ。……あの娘に怪我が無いようだったが、隼斗が?」
「一応治療術はかけといた」
「そうか……良かった」
ホッと息を吐く藍。案外子供好きなんかね
すると頬杖を付いていた紫が思い出したかの様に口を開いた
「そう言えば隼斗が本来此処に来た目的は何だったの?」
その問いに俺もハッと思い出す
「ああ、そうだった。家がさ、完成したんだよ。その報告にな」
「へっ?…も、もう?」
紫は掌に乗っけていた頬をカクンと落としながら驚き、間抜けな声を出した
「言ったろ?俺はガキの頃から手先の器用さには自信があるのだ」
「いや、たった数日で家建てるって器用とかの問題じゃないでしょ!?」
「驚いたな……てっきり諦めて帰ってきたのだとばかり思っていたぞ」
「ふん、俺のモットーは有言実行だからな!」
「あんまり思いつきで話さない方がいいわよ?」
「ほっとけ!」
この後暫く談笑し、俺は気になっていた疑問を紫にぶつけてみた
「なあ紫、此処に住んでる妖怪の事なんだけどさ、最近ヤケに多くないか?この前も日本じゃ見た事ない妖怪とかいたし」
「あー、その事ね」
対して紫は特に疑問視する様子もなく、寧ろ原因を知っているようだった
「その通りよ隼斗。最近という程じゃないけど確かに妖怪の数は増えているわ」
「…って言うと?」
「私が外の世界から引き入れたのよ」
「お前かい」
ビシッとチョップをいれた
「きゃんっ!?な、何すんのよ!」
「お前な、増やすなら増やすでちゃんとそいつらに説明しとけよ。この前だって人里が襲撃されて(慧音達が)大変だったんだぞ?」
「そ、それは悪かったけど……説明しても聞かない連中が多くて困ってるのよ」
「隼斗、あまり紫様を責めないでくれ。此れも私達を思っての事なんだ」
「?」
俺が説明を求めると藍に次いで紫も話し出した
「実はお前が月に行っている間に外の世界では人間の勢力が増大していたんだ。文明もどんどん進み、徐々に妖怪達とのバランスも崩れ始めた」
「それを防ぐ為に私は結界を張ったわ。『幻と実体の境界』をね」
「幻……幻想郷の事か?」
「ええ。幻を幻想郷、実体を外の世界と定める事で勢力の薄れてきた妖怪を此方に引き込む事が出来るわけ。それが異国の妖怪だろうと例外なくね」
「成る程な。いよいよ幻想らしくなってきたわけだ」
だとしたら今後も妖怪達は増え続ける。
まだ大した被害が出てるわけじゃないが、なんとか対策とらねーと
「まだ課題が山積みだな」
「そうね、でも乗り越えて見せるわよ」
「私も及ばずながら助力します」
改めて気を引き締めたところで、懐から手土産を取り出す
「紫」
「なーに?」
「ありがとな。妹紅の事」
「あら、隼斗がお礼なんて珍しいわね。明日は雪でも降るんじゃないかしら」
「よし土産の茶菓子はやらん」
「あーん冗談よ冗談」
「まあまあ」
二人の掛け合いに藍が微笑みながら宥める。
そんな日常。
偶には平和も悪くない
因みに俺が助けた化け猫は藍が自身の式にしたいと言っていた。式の式なんて可笑しな話だが、これでもう他の奴に襲われはしないだろう。でめたし、でめたし
次回は番外編を書く予定です!