東方万能録   作:オムライス_

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55話 龍神VS西行妖

龍神と対峙する者

 

外見は柊隼斗。

しかし中身は全く別の存在となっている

 

 

『西行妖』

 

嘗て周囲の者を死へ誘い、次第に莫大な量の妖気を溜め込み妖怪桜と呼ばれた桜の木。

幻想郷の賢者である八雲 紫を始め、柊 隼斗・魂魄 妖忌の奮闘の末に封印された『筈だった』

 

「貴様は完全に封印された訳ではなかった。その人間の身体に力の一部を潜伏させる事で長年力を溜めていた」

 

隼斗が過去に安倍泰親や依姫、龍神との戦いで感じていた殺意や狂気は、内に潜む西行妖の影響だった

 

「常人なら何もせずとも肉体・精神共に衰弱していき終いには死に至る。だが貴様の宿主は能力の恩恵により弱る事はなかった。尤も月では一部能力が抑えられていたようだがな」

 

当然乗っ取る前に宿主が死んでしまえば一体化している西行妖も消滅してしまう。だから待っていた。宿主が弱る瞬間を。

そしてついに龍神との戦いで覚醒してしまったのだった

 

「私が此処に来た本当の目的を教えてやろうか?」

 

既に臨戦体制をとっている龍神がその言葉に殺意をのせる

 

「貴様を消す為だよ、西行妖!!」

 

「……!」

 

龍神の怒号に反応して西行妖が手を前に翳した

 

強大な妖力が蓄積されていき、赤黒い球体を形成、龍神に向け一気に解き放った

 

「…醜い」

 

赤黒い閃光を横に跳んで躱す龍神。

斜め上に放たれたソレは大気を揺るがしながら空の彼方へ消えていった

 

「……」

 

「妖風情が誰を睨んでいる?」

 

龍神を中心に炎・水・雷・白光の弾幕が配置され、西行妖に向けて打ち出された

 

「……」

 

弾幕の範囲外へ逃れようと駆け出すが龍神が更に範囲を広げる

 

ヒュンッ

 

そして弾幕の一部が当たる瞬間、突如西行妖の姿が消失した

 

「何っ……がっ!?」

 

背中に衝撃。

西行妖は弾幕の一部が自信に重なり死角となった瞬間、高速で背後に移動していた。

龍神が後ろから妖力弾で撃たれたのだと気づいた時には視界一面を埋め尽くす程の弾幕が放たれていた

 

「舐めるな!」

 

振り向きざまに『風の鉤爪』で一閃。目の前の弾幕を掻き消した

 

「!」

 

「……」

 

攻撃直後の一瞬の隙を狙い、一気に距離を詰めた西行妖が龍神の鉤爪を模った様な『妖力の鉤爪』を振るう動作に入っていた

 

「コイツっ…!」

 

咄嗟に龍神も爪を合わせるが、出遅れた分後方に押しのけられてしまう

 

「……」

 

西行妖が妖力を込めると、両の爪の色が変化し赤から青に。更には当初2.3メートル程だった爪も5倍近くに巨大化した

 

「さっきの弾幕といい、鉤爪といい。コイツ一度見ただけで私の技を……」

 

「……」

 

そして容赦なく振り下ろされた8本の爪を回避する為に地を蹴る龍神だが、爪は西行妖の僅かな手首の動きだけでその方向を変え襲いかかる

 

 

だが龍神に焦る様子はない

 

 

 

 

「……詰めが甘い」

 

 

 

 

次の瞬間、西行妖の背中を白い剣が貫いた

 

「……!!?」

 

「中身は違うとは言え、二度も同じ手にかかるとはな」

 

西行妖が背後に目を向けると、背中に剣を突き立てる龍神の姿があった

 

「……どこを見ている?」

 

今度は正面から声。

背後の龍神と同じ姿、同じ白い剣を振りかぶっている

 

「「分身だ、阿呆」」

 

二人の龍神は正面から袈裟斬り、そして背中に刺さった剣を抉り抜いた

 

「……!…!!」

 

夥しい量の血が流れ、膝を付く西行妖

 

「やはりまだ身体が馴染んでいないようだな。柊 隼斗の方がまだ強かったぞ」

 

「……!」

 

脚に力を込め龍神との距離を離すために跳躍する西行妖。

傷口部分がゴボゴボと音を立てて塞がりかけている為、完治するまで時間を稼ぐつもりだと言うことは明白だった

 

「はぁ……私の隙を突くわけでも無しに、そんな行為を見逃すと思うか?」

 

呆れつつも龍神(分身)は西行妖に向けて手を翳す

 

「!?」

 

突然身体に掛かる重力が増大し、空中にいた西行妖は地面に落ちた。

それでも圧力は増し、地面にめり込んでいく

 

「終わりだな」

 

ミシミシと陥没していく地面からなんとか逃れようと暴れる西行妖は、一層強く妖力を解放した

 

「ア゛ア゛ア゛……!ガア゛ア゛ア゛アァァァァ!!!」

 

其の咆哮は大気を揺るがし空を覆う雲を吹き飛ばした。

力尽くで重力の中立ち上がった西行妖は龍神を睨みつけると、掌に先程と同様に赤黒い妖力を溜めていく。だが出来上がっていく球体は西行妖の姿が隠れるほど巨大で、あまりに強力なエネルギーの為か空間が歪み始めている

 

 

「……醜く足掻くな、潔く散れ」

 

今度は本体が前に出て、掌に黄金色の炎を収束させる

 

「特別に、龍の炎で滅してやる」

 

同時に西行妖の禍々しい閃光が放たれた

 

 

ーーー

 

 

「……」

 

何もない真っ暗な空間を隼斗は漂っていた

 

『……ここは?』

 

辺りを見渡すが何も見えず、気配も感じない

 

『俺はどうなった?』

 

まるで夢の中にいるような感覚で、手足も思うように動かない

 

『……案外精神世界ってヤツか?』

 

『察しがいいな』

 

『!』

 

目の前に現れたのは先程まで戦っていた龍神だった

 

 

 

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