東方万能録   作:オムライス_

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今回は中編です




6話 人妖大戦(中編)

轟音と共に飛び立つロケット

 

「やっと出発したか…」

 

あの第一便には永琳や輝夜、綿月姉妹が乗っているはず

一番気がかりだった仲間の安否を確認出来たことでホッとしたいところだが、大怪我を負い意識もない麻矢を見て歯を噛み締める

 

「このままじゃ麻矢は助からない。何とかしねェと…!」

 

ザザー

 

無線からノイズ

 

誰かが無線で俺を呼んでいる

 

「誰だ?」

 

『あっ!柊隊長ご無事ですか!?』

 

はっきり言って無事ではない

こうして応答している今も群がる妖怪から麻矢を守っているのだから

 

「悪いが話してる暇はない!用件だけ簡潔に言え!」

 

怒鳴り気味に言うと相手の兵士は若干吃りながら

 

『で、では。八意様が隊長の安全を確認しろと…』

 

「永琳が…?だが既に飛び立った後だろ?」

 

『それが……今隣にいるのですが…』

 

「!?」

 

馬鹿な……

第一便に乗ってなかったってのか!?

いや、今はそんな事よりも!

 

「永琳に代わってくれ!直ぐにだ!!」

 

無線の向こうに叫ぶと何やら会話した後永琳が出た

 

『隼斗っ!!無事なの!?今どこ!!?』

 

俺に負けず劣らずの声量で叫ぶ永琳

 

「永琳!一旦そっちに戻る、直ぐに治療の準備をしてくれ!」

 

『治療ってまさか貴方怪我を!?』

 

「俺じゃない麻矢だ!背中を斬られて出血が酷い!頼む!!」

 

『…わかったわ。こっちは準備しておくから戻って来て!』

 

「了解」

 

無線を切り今一度麻矢を見る

 

「うっ…」

 

「麻矢、もう少し踏ん張れ。直ぐ永琳の所に連れてってやる!……ふんっ!!!」

 

麻矢を片手で抱え、もう一方の腕を地面に突き入れる

 

「おらああああっ!!」

 

そして一気に力を込め、岩盤をひっくり返し、思いっきり掬い上げた

足場ごとひっくり返された妖怪たちは上空へ投げ出され、一緒に舞い上がった岩盤に巻き込まれる形となった。

 

 

辺りを砂塵が包み、晴れた時には二人の姿はなかった

 

 

ーー

 

「永琳!!」

 

「隼斗!麻矢ちゃんをここに寝かせて」

 

「わかった」

 

基地へ戻ると永琳と複数の兵士がロケットの中で治療の準備を整え待っていた

もう残ってるロケットはこれ一機で後は全て飛び立った後だ

 

「助かるか?」

 

「任せて!」

 

即席で用意された簡易治療室で治療は行われ

、その間俺は外で防衛にあたっていた

 

ーー時間にして30分程で治療室から永琳が出てきた

 

「永琳!麻矢は!?」

 

「大丈夫、峠は越えたわ」

 

それを聞いてホッと胸を撫で下ろすも束の間

 

 

 

ズズゥゥンッ!!と物凄い轟音が響いた

 

「なんだ…?」

 

「大変です!妖怪が基地を攻撃し始めました!!」

 

「っ!」

 

先程まで壁の外で戦っていた妖怪達が、一旦離れた間に基地の目の前まで侵入して来ていた

 

「まずいな、このままじゃロケットが潰される…!」

 

「隼斗!?」

 

「来るな!!」

 

「っ!?」

 

後を追って来ようとした永琳に叫ぶ

 

「永琳、お前は輝夜と一緒にロケットに乗り込め。俺が時間を稼ぐ」

 

「そんな…!貴方はどうするのよ!?」

 

「すまん……恐らく一緒には行けない」

 

「!?そんなの駄目よ!!貴方もいっs…」

 

「ふっ…!」

 

「あっ……」

 

俺は高速で永琳の背後に移動し、手刀で意識を刈り取った

 

「なあ、2番隊部隊長さん居るか?」

 

「あ、ああ…」

 

そしてその場にいた他部隊の隊長を呼び止める

 

「永琳を頼む。中に居る輝夜と麻矢もな」

 

「…いいのか?」

 

「どの道俺が戦わなきゃロケットは発射できない。これでいいんだ」

 

これでいい。永琳や輝夜、麻矢に綿月姉妹。俺の大事な人達が無事でいられるなら喜んで犠牲になる

 

「さあ、もう行ってくれ。この基地も長くは保たない」

 

「……柊 隊長」

 

「…なんだ?」

 

「ご武運を…!」

 

その場にいる全員が俺に向けて敬礼をした

 

「……ああ。達者でな」

 

ーー

 

基地の外に出ると既に周りは妖怪に包囲されていた。

どうやら本能的に人間の居る場所を感じ取ったのだろう

 

「ニンゲン…クウ…タラフク…クウ!!」

 

「喰うだと?……やってみろよ」

 

もうさっきみたいに庇う対象もいない

 

 

 

ーーー本気で暴れてやる

 

 

刹那、前方に溜まっていた妖怪が纏めて粉々になった。

 

超人に寄って繰り出された突き……

 

 

 

 

…の余波によって

 

「こっから先は行かせない。一切手は抜かねェ!死にてェ奴だけかかって来い!!」

 

 

俺の怒号と同時に一斉に向かってくる妖怪達

 




中編終了

次回は後編へ移り、人妖大戦編終わります

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