東方万能録   作:オムライス_

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59話 香霖堂

魔法の森の入り口付近。

此処に一軒の和風の家が建っている。

 

『香霖堂』

 

幻想郷だけでなく、時には外の世界から異世界の道具まで取り扱っている道具屋だ

 

 

色々な道具が所狭しと並べられた店内で、此処の店主である『森近 霖之助』は本を片手に寛いでいた

 

「ふぅ……もう昼過ぎか。相変わらず客足は無し…っと」

 

頬杖をつきながら本から目を離し窓の外に目を向けた霖之助は、そこに見覚えのある顔を見つけた

 

六尺以上あるであろう長身の男と、金髪の髪の少女

 

「オッス、霖之助いるかー?」

 

「此処にいるよ。今日はどうしたんだい?」

 

「ああ、実はな…」

 

「香霖!」

 

隼斗が訳を話そうとした瞬間、魔理沙が霖之助に飛びついた

 

「やあ魔理沙。君が此処に来るなんて珍しいね」

 

無言でくっつく魔理沙を宥めながら、視線を俺へと向ける霖之助。どうやら説明の続きを求めてるようだ

 

「家を出たらしいぜ。魔法使いになる為に」

 

「……はっ?」

 

霖之助は目を丸くした

 

「ははっ、まあそうなるわな」

 

「ど、どういう事だい?」

 

 

〜〜隼斗説明中〜〜

 

 

「……って訳だ」

 

「大分ハショったね」

 

「うるせ」

 

説明を終え、魔理沙の方を見ると霖之助に貰った煎餅を齧っている

 

俺と霖之助の関係については数年前に知り合った友人ってとこかな。

丁度この道具屋が出来たばかりの頃に偶々立ち寄ったのがきっかけだった。つまり俺がお客第1号ってことになる(買ってないけど)

 

んで、さっき魔理沙から此処に来る途中で聞いたけど、霖之助は昔、魔理沙の親父さんが経営してる店で修行してたそうだ。

魔理沙の事は赤子の頃から知ってるらしい

 

「しかし驚いたよ。まさか魔理沙が魔法使いになりたいだなんて」

 

「いいんじゃね?アイツの人生だ。好きにやらせてやれよ」

 

「君は相変わらずノリが軽いね。まあ、反対する気は無いけど」

 

「でさ、此処って確か魔法道具も扱ってたよな?」

 

魔法道具とは使用者の魔力を使う、又は物自体に魔力が込められた道具の事で、所謂魔法が使える様になる代物だ

 

「……ああ、そういう事か。わかった、用意しよう。ただし作成には2、3日かかるよ?」

 

「ああ。それまでは魔理沙の面倒は見てやるよ」

 

「ありがとう。君なら安心して任せられるよ」

 

「そっちも頼むぜ」

 

依頼を済ませて踵を返し、未だ煎餅を齧る魔理沙に帰ることを伝えると、霖之助の前まで駆け寄り

 

「香霖、かっこいいの…!かっこいいのがいい!」

 

話を聞いていたのか、作ってもらう魔法道具の希望を言った

 

「わかった、わかった。とびきりカッコいいのを作ってあげるよ」

 

「ホント!?」

 

「ああ」っと頭を撫でる霖之助に別れを告げ店を出ると、ウキウキ気分の魔理沙は足取りが軽い

 

「楽しそうだな」

 

「うん!はあー楽しみだなー」

 

「浮かれるのはいいけど生活する場とか決めたのか?」

 

「あっ……」

 

魔理沙はピタっとその場に止まった

 

「お願い隼斗ー!作るの手伝ってぇぇぇ!!」

 

「あァ?手伝うって家作りをか?面倒くせーな」

 

「そんな事言わずにお願い〜!2、3日面倒見てくれるって言ったじゃん!」

 

「何で 面倒見る=家建てる に繋がるんですかねェ」

 

 

 

「これでいいかしら?」

 

「ああ、十分だ。態々ありがとな紫」

 

結局魔理沙の家については紫に頼むことにした。外から都合良く空き家になった西洋風の一軒家をスキマで送ってもらう簡単な作業である

 

「貴方も世話焼きねぇ。いつも誰かの面倒見てない?」

 

「そんなんじゃねーって。成り行きでこうなっちまうだけだ」

 

「クスッ、あらそう。それじゃ私は戻るわ。引き続き子守頑張ってね」

 

それだけ言ってスキマへと消えていった

 

「…さて、早速魔理沙に見せてやるか」

 

 

 

 

〜3日後

 

「霖之助ー、来たぞー」

 

「来たぞー」

 

「やあ、お二人さん。待っていたよ」

 

「出来たのか?魔法道具」

 

「今朝漸くね。少し待っていてくれ」

 

霖之助は店の奥に消えると、すぐ戻ってきた

 

「これが頼まれて作った魔法道具だ」

 

そう言って差し出されたのは小さな八角形の物体

 

「なんじゃこりゃ?」

 

「ちょっ、隼斗!私のなんだから早く見せてよ!」

 

手にとってマジマジと見ていると、魔理沙が下でピョンピョンと跳ねだしたので仕方なく渡してやる

 

「わかったわかった。で?これは何だ?」

 

「それは八卦炉。と言っても普通の物より大分小さいから『ミニ八卦炉』ってとこかな?」

 

「八卦炉?そんな凄いモンには見えねーけどな……アレで何ができるんだ?」

 

「これは見た目に反して強力だよ?最大で山一つ焼き払う程の火力があるからね」

 

「魔理沙すぐにそれを捨てろォォ!!」

 

俺は急いで魔理沙から八卦炉を引っ手繰った

 

「わあっ!?返してよー!」

 

「バーロー!!こんな危険なモン子供が持つンじゃねェ!死にてェのかァァ!!」

 

「はははっ、大騒ぎだね」

 

「オメーのせいだよ!!」

 

隼斗のツッコミもどこ吹く風。霖之助は落ち着いた面持ちで説明を始めた

 

「心配ないよ。飽くまで最大火力がって話だから、魔力をある程度コントロールできなきゃ使えないんだ。つまり今の魔理沙が使っても料理に使う程度の火しか起こせない」

 

「……それを先に言えよ」

 

それを聞いた魔理沙が声を上げた

 

「ええーっ!?それじゃあ魔法っぽくない!」

 

「それはお前の努力次第だ。早く魔法が使える様になりたきゃ必死で鍛錬するこった」

 

すると何故か魔理沙が俺に詰め寄ってきた

 

「よ、よーし!!隼斗、早く教えて!」

 

「いや、俺魔法使えねーし」

 

「えっ……」

 

そんな落胆した顔されても困るんですけど

 

「霊術とか体術なら兎も角、魔法は専門外なんだよ。大体魔法の事ならそこでニヤついてるアホ毛に聞きな」

 

俺の目線の先、魔理沙の背後で微笑ましそうに笑っている霖之助を顎で指した

 

「あ、アホ毛って……」

 

「香霖、魔法使えるの?」

 

「うん、まあ基礎的な事なら一応はね」

 

「よし!隼斗は使えないから教えて!」

 

「おい」

 

「はははっ、まあまあ」

 

 

ーーー

 

〜帰路

 

「なあ隼斗ー」

 

「なんですか魔理沙さん。使えない私めに何か御用ですか?」

 

「もー、冗談だってば」

 

「……ったく。で、なんだよ」

 

魔理沙は隼斗の真横まで来ると、若干俯きながら呟いた

 

 

 

「…ありがとう」

 

 

 

 

「おう」

 

 

 

 

俺は照れ臭そうにする魔理沙の頭に手を乗せて、そう返した

 

「まあ、アレだ。なんか困った事があったらいつでも来い。ご近所の誼みで『がんばれー』って言うから」

 

「言うだけ!?」

 

 

グゥー

 

 

魔理沙のリアクションと同時に腹の虫も鳴いた

 

「あっ…///」

 

「そういや夕飯まだだったな。よっしゃ、偶には外の店で食うか!」

 

「えっ!?隼斗の奢り!?」

 

隼斗の提案に魔理沙が今まで以上に食いついた

 

「仕方ねーから今日ぐらいは出してやるよ」

 

「やったー!隼斗ってば太ももー!」

 

「太っ腹な」

 

真っ先に人里に向け駆け出す魔理沙をやれやれといった感じで後に続く隼斗

 

 

 

 

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