東方万能録   作:オムライス_

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お待たせしました!

今回で幻想郷過去編はラストになります


61話 不吉な噂

 

〜人里

 

 

ーーー最近人里ではある噂が流れていた

 

 

 

「なあ、聞いたか?最近此処らで化物が出るって話」

 

「化物?それって妖怪の事だろ?大して珍しくもねぇ」

 

「いやそれがよ、違うんだってさ」

 

「違うって何が?」

 

「何でも姿形が異形なんだと。ほれ、妖怪ってのは人間離れした形しててもある程度は人なり獣なりに似た姿してるだろ?だけどその化物は違うらしいんだよ」

 

「へぇー、どんな風に?」

 

「俺も人に聞いた話だからわかんねーよ。でも妖怪よりおっかないらしいぜ?」

 

「どーも嘘臭ぇなー。見間違いか何かじゃないか?」

 

「まっ、飽くまで噂だしな。でも実際妖怪より恐ろしい化物なんていたら一大事だよな」

 

「全くだ」

 

 

 

〜紫の屋敷

 

「……」

 

「…失礼します、紫様」

 

「……どうだった?」

 

「噂は人里外部にも広まっている様です。しかし、当の目標との接触はありませんでした」

 

「…そう、報告ご苦労様。貴女は引き続き調査に当たって頂戴」

 

「はっ。では失礼します」

 

「…………イヤな予感がするわね」

 

 

ーーー

 

「慧音先生さよーならー」

 

「ああ、また明日な」

 

時刻は夕暮れ。

人里で寺子屋の教師を務めている上白沢 慧音は、別れの挨拶をして駆けていく生徒を見送っていた

 

物騒な噂が立ち子供達を一人家に帰すのは心配という事で、ここ最近はこうして引率しているのだ

 

「すまないな妹紅。付き合わせてしまって」

 

「いいって。私が好きでやってるんだし、護衛くらいお安い御用だよ」

 

慧音の隣では万が一の護衛も兼ねて、妹紅も同行していた

 

「そう言ってもらえると心強いよ。……それにしても噂とはいえ困ったものだ。これでは安心して子供たちが寺子屋に通う事ができない」

 

「どうせ噂が広まるにつれて尾鰭がついただけだと思うけどね。実際私も見たことないし」

 

「だと良いんだが……っと、もうすっかり日が暮れてしまったな。おーい皆、少し急ぐぞー!」

 

「はーい」

 

慧音の号令に子供たちは元気に答えた

 

そして子供たちの家がある、住宅地手前まで差し掛かった時だった

 

 

カサッ

 

「ん?」

 

「どうした妹紅?」

 

「いや、今何か聞こえなかった?」

 

「……何か?」

 

カサッ カサッ

 

「!……皆止まれ!」

 

異変に気付いた慧音が後ろを歩く子供たちを止める

 

「先生ーどうしたのー?」

 

「シっ!静かに…」

 

カサッ……カサカサカサカサッ

 

まるで何かが這いずる様な音。

それは次第に慧音達に近づいてきた

 

「……慧音は子供たちに付け。来るぞ……!」

 

言葉と同時だった

 

「ギイィィィ!!」

 

茂みから此方に目掛けて勢いよくナニかが飛びたした

 

「はぁあ!!」

 

逸早く察知した妹紅が炎を纏った蹴りを見舞った

 

「ギ……!」

 

飛びだしてきたナニかは怯んだようで、数歩程後退する

 

「妹紅…!?」

 

「下がってろ!!」

 

妹紅は掌に炎を収束すると、一気に弾幕にして撃ち放った

 

「ギ…ギッ!!」

 

弾幕は次々と炸裂していくが、倒すまでには至らないようで、喰らいながらも此方に向かってくる

 

「!」

 

闇夜の中、弾幕の炎で微かに見えたその姿は、巨大な蛇の様に長い体をしていた

 

「何だか知らないが此れで終わりだ!!」

 

向かってくる化物に手をかざす妹紅

 

「破道の三十一!『赤火砲』!!」

 

掌から打ち出された紅蓮の火球は一瞬で対象を呑み込み、吹き飛ばされた化物は暫く炎上した後動かなくなった

 

「ったく、急に襲ってk…!?」

 

亡骸を確認した妹紅は驚愕する。

蛇かと思われた長い胴体には幾つもの体節がありその一つ一つに一対の歩肢。

まるで『百足』の様な風貌の化物

 

「……何だ、コイツ……!!」

 

だが、妹紅が驚いたのはその頭部だった

 

「……妹紅?大丈夫か?」

 

「慧音、一先ず此処を離れよう。気味が悪い」

 

「あ、ああ」

 

子供たちを連れ、早急に住宅地へ向かう二人

 

 

ーーーその場に残された亡骸の身体は百足、頭部はまるで、『髑髏』を思わせる異形の姿をしていた

 

 

・・・

 

〜同時刻 博麗神社

 

「はあッッ!!」

 

「ギッ……!?」

 

内臓破壊により、一撃で絶命する百足

 

「ふぅ……漸く一段落ね」

 

博麗神社の巫女、博麗暁美はゆっくりと構えを解いた。

辺りには巨大な百足や、獣、更には鳥の死骸が転がっている

 

「全く、頭だけ『髑髏』だなんて気色悪いわね…!」

 

自身が倒した化物の群れを見てそう悪態づく

 

「暁美お姉ちゃん……」

 

本殿から恐る恐る顔を覗かせる少女

 

「霊夢、危ないから中に戻りなさい」

 

暁美は少し強めの口調で促した

 

「で、でもやっつけたんでしょ?」

 

「……暫くすればまた集まってくるわ。『大本』を叩かない限りはね」

 

神社の東、正確にはその裏の方角にある湖を睨みながら、そう答えた

 

「霊夢、貴女は此処に居なさい。結界を張っておくから」

 

暁美は懐から札を何枚か出すと、神社の四隅に設置し、結界を張った

 

「明日の朝までには戻るわ。それまで大人しくしていること。いいわね?」

 

「う、うん……気をつけてね」

 

 

 

 

ーーー

ーー

 

 

 

〜翌日

 

「最近また物騒になってきたね。此処の近くでも出たらしいよ?」

 

「例の化物か?……いよいよ異変っぽくなってきたな」

 

香霖堂にて雑貨を買いに来ていた隼斗は最近噂になっている異変について霖之助と話していた

 

「人里では寺子屋の教師と生徒が帰り道襲われたらしいし」

 

「慧音が…!?大丈夫なのかよ……!」

 

「同伴していた……確か藤原妹紅って言ったかな?彼女が撃退した為に被害は出ていないようだよ」

 

「そ、そうか」

 

……知らなかった。俺自身化物と遭遇した事は無かったし、その内治るだろうと軽く見てた………

こりゃ本格的に調査した方が良さそうだな。この後暁美のところに行ってみるか

 

「とりあえず俺の方でも原因を探ってみるよ。またな霖之助」

 

「ああ、気をつけてね」

 

別れを済ませ踵を返した時だった。

突然隼斗の目の前の空間が裂け、中から紫が顔を出した

 

「紫、どうしたんだ?」

 

「隼斗………」

 

 

 

 

 

『暁美が異変解決に向かったまま帰ってこない』

 

 

 

ーーー

 

「なぁ聞いたか?博麗の巫女さんが行方不明になったんだってよ」

 

「ああ。何でも異変解決に向かったまま戻らなかったとか………まだ若いのに気の毒にな」

 

「巫女さんが居なけりゃ異変が起こった時どうすればいいんだ?」

 

「一応後継ぎはいるみたいだぞ。まだ十かそこらの少女らしいが」

 

「子供…!?おいおい大丈夫なのか?またやられちまうんじゃ…」

 

「おい、不謹慎だぞ」

 

「だってよー」

 

 

 

 

「……」

 

あの異変から3日。

異変解決に向かった暁美は未だ見つからず、暁美が行方不明になった次の日には異変は嘘のように治っていた

 

紫から話を聞いた後博麗神社に向かったが、其処には泣きじゃくる霊夢と無傷のままの神社。そしてその傍には効力の切れた結界用の札が数枚落ちていた

 

俺はすぐに幻想郷中に霊力の波を拡散して探知を試みたが、暁美の気配を感じ取る事ができなかった

 

 

 

 

「どこ行っちまったんだお前は……」

 

 

 

ーーー再び平和になった幻想郷

 

しかしそこに平和を取り戻した人物はいない

 

 

 





なんだか釈然としない終わり方になってしまいましたが、次回からはやっと幻想郷現代編となります

それではまた次の投稿日に
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