何分仕事が…(ry
ゴホンッ
では67話投下します
「フラン…!貴女がどうして此処にいるの!すぐに部屋に戻りなさい…!!」
「……残念だけどそれは聞けないよ、お姉様」
「何を言ってるの!あれ程外は危険だから出るなと言ったはずでしょう!?」
レミリアは本来この場に居るはずのない妹の存在に驚きつつも叱りつけた。
一刻も早くこの『危険』な場所から遠ざける為に
「今危険なのはお姉様の方でしょ!!」
「…!」
しかし妹であるフランもまた激昂する。
自身に、そして姉に迫った脅威はまだ目の前にいるのだから
「来て早々姉妹喧嘩か?お前ら随分余裕だな」
二人の吸血鬼の脅威。
単身で紅魔館に乗り込み、主であるレミリア・スカーレットを大した被害を受けることなく追い詰めた男
「……フラン、下がりなさい。私の獲物よ」
「碌に空も飛べない状態でどう戦う気?下がるのは寧ろお姉様でしょ」
「フラン…っ!!」
こうなれば力尽くで。
そう考えたレミリアは直ぐに行動を起こそうと動く
「……私にも守らせてよ」
「!?」
レミリアは言葉を失った。
フランが言ったその一言はそれだけ予想だにしていなかったものであり、自分の知っている妹の印象とは異なっていたからだ
「……495年。私はその時をずっと地下室で暮らしてきた。外の世界を知る事も出来ず、誰かとの交流なんて必要最低限。ハッキリ言ってとてもいい暮らしとは言えないね」
「……ッ」
苦虫を噛み潰した様な表情で瞳を閉じるレミリア。恨まれて当然の事をした。
しかしそれを本人の口から聞く事が辛かった
「でも私は知ってたよ。それも全部私を守る為にしてくれてた事だって」
「……えっ?」
思わず固く瞑っていた目を開け、背を向けているフランに視線を移した
「私は危険な能力を持って産まれて来た。元々吸血鬼ってだけでもその存在は危ぶまれてる。それ故に私は特に危険因子として狙われるのは火を見るより明らかでしょ?」
「フラン貴女……どこでそんな知識を…」
「そんなもの図書館に行けば幾らでも手に入るよ。実際『パチュリー』からもそれとなく聞いてるしね」
『パチュリー・ノーレッジ』
レミリア・スカーレットの友人であり、隼斗が紅魔館地下にある大図書館で見かけた紫カラーの女性。
種族は魔女で、魔法の知識や技術に於いては相当の実力者である。
フランの地下室の結界は彼女が張った術式で、当然その『強度』も調節できる
「私はずっと守られてきた。それがどんな方法だろうとお姉様達に守られてきたの…!だから今度は、私が守る為に戦う番。此れだけは譲れないわ!!」
フランは再び紅い大剣『レーヴァテイン』を構えた。剣が纏っている魔力はフランの感情に呼応するかの様に強力になり、炎は激しさを増す。
そんな彼女の背中をレミリアは唯見つめていた。その表情に苦悶や悲しみといった様子は無い
「待ちなさい、フラン」
その足で妹の隣に立つ
「お姉様…?」
「此処を支配すれば貴女を安心して外に出してあげられると思っていた。……私は…変に力が入りすぎていたのかも知れないわね」
紅い霧に覆われた空を見上げ、今一度目の前を見据える
「フラン、やはり貴女を戦わせる事は出来ないわ」
「…でもっ!!」
「『二人で』。戦うわよ、フラン」
「!!…………うん…!」
お互い手を取り合った姉妹は再び隼斗と対峙した。隼斗は微笑を浮かべながら語りかける
「溝を埋めた二人が共闘か。お前ら少年誌で主人公やれるぞ」
「残念、私はラブコメの方が好きなの」
「生憎と少女漫画は苦手なんだ。絵のタッチとか乙女チック過ぎるベタベタな展開とかな」
「あら、面白いわよ?今度パチェに頼んで貸してあげましょうか?」
「いや、遠慮しとく」
まっ、此処らで茶番は終えてもいいんだけどな。折角燃える展開になってきたんだ。
最後まで楽しまにゃ損々♪
「いいぞ。二人纏めてかかって来い」
「フラン、気を抜かないように。私に合わせなさい」
「わかってるよ、お姉様」
両者睨み合いが続く中、紅魔館の時計台の針が重なり、正午を報せる鐘が鳴り響いた
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
「禁忌『レーヴァテイン』!!」
同時に魔力を帯びた真紅の槍が、紅く燃え盛る真紅の剣が隼斗目掛けて振るわれた
「破道『双蓮蒼火墜』!!」
隼斗は両掌に霊力を収束させ、より一層強力になった蒼火墜を二人に向け放った
ぐ、グダグダや……
ま、まあ次回からバトル回だし…
今回は飽くまでお膳立てだし…!……うん