今回少し短いです
拳を振り下ろせば大地が割れ
蹴りを放てば周囲に嵐の様な突風が巻き起こる
ーー超人VS…
人成らざる存在にして、圧倒的数と力で人間を喰らう
ーー妖怪
個体の戦闘能力で言うならば妖怪すらも圧倒する力を持つ超人。
現にその一撃を受けた妖怪は原型を留めず粉々になった
だから妖怪は数で攻めた
量より質とも言うが、その逆もまた然り。
数万数百万いる妖怪の波が続々と押し寄せる。
「くそっ、こいつらゴキブリか!倒しても倒しても霧がねェ…!」
だが確実に数は減って来ている。
今では最初に比べて四分の一程に減った………と思う。
それに後方の基地内からカウントダウンが聞こえるから飛び立つまでもう少しだ!
「そらっ、最後の大仕上げだ!!」
近場にあった戦車の砲塔を掴み、野球のバットの様に構えると、思いっきりフルスイングして周囲の妖怪を一層遠くに吹き飛ばした
そして漸く轟音と共にロケットは飛び立った。
妖怪の内何匹かは撃ち落そうと攻撃を仕掛けるが全てはたき落とした
「…行ったか」
ロケットが遥か上空まで行き米粒程の大きさになったのを確認した俺は、先程から振り回していた戦車を投げ捨てた。
獲物である人間が隼斗一人になったことで、妖怪達の矛先が一斉に隼斗に向く。
多数の獲物を取り逃がしたことで怒りを感じているのか、瞳は赤黒く光り、妖怪の放つ気配が一層強くなっていく
「なんだよ?食事を取り逃がしてご立腹か?ザマァみやがれってんだ!」
隼斗の言葉を理解してか知らずか、咆哮と同時に突っ込んでくる妖怪達。
隼斗が迎え討つ為に構えをとった時だった
突如、轟音と共に上空から何か近づいてくる
「アレは…!?」
地上までの距離約2キロ。
隼斗が超人の視力をもって見たもの。
それは軍で極秘に開発されていた核弾頭だった。
成る程、上層部は始めからこの都市諸共消し飛ばすつもりだったのか
自分達の技術が盗まれない様にする為に
先程まで猛然と襲いかかって来ていた妖怪達も核弾頭を見た瞬間、危険を感じ取り退避行動をとり始めていた
だが無駄だ。今からでは俺の足でも間に合わない
核弾頭は地上から数百メートルの位置で炸裂。
凄まじい爆発と衝撃波によって爆心地一帯が真空となる。
こうして人の文明は地上から姿を消した
爆心地から遠く離れた森の中。
その場に似つかわしくない鉄の塊が突き刺さっていた。
正確には鉄の塊ではなく人工物。
折れ曲がった筒のようなもの。
あちこち凹んでめくれ上がった外装
移動する為に用いられたであろう、帯状に取り付けられた鉄板。
それは戦車という乗物だった
「…はぁ、何とかなったか」
戦車の中からため息交じりに現れたのは
ーー柊 隼斗
核弾頭が炸裂する瞬間、隼斗は転がっていた戦車を掴み適当な方角へ向け投擲。
今度は自身が跳び、猛スピードで飛んでいく戦車にしがみつく。
そしてハッチを開け中に入り込み、爆発から身を守りつつ爆風や衝撃波に煽られて、この森まで飛んできたという訳だ
「我ながら無茶したもんだ。こりゃハリウッドデビューも夢じゃないな」
さて、これからどうしようか……
これで人妖大戦編終了になります
次回から書き溜めているストックをまとめつつ投稿していきます