東方万能録   作:オムライス_

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今回から地の文と心情描写を分けようかと思います。
地の文はそのまま、心情描写は()に記述します

本当はもっと器用に書き分けたいところですが主の力量不足につき……

では70話どぞ



70話 宴会

日が沈み辺りがすっかり暗くなる頃、宴会は開始された

 

此処、博麗神社に集まったのは巫女である博麗霊夢を始めとし、柊隼斗・霧雨魔理沙と紅魔館組、そして何故か八雲紫とカメラを持った烏天狗まで出席している

 

卓上には宴会料理とレミリアの用意したワイン入りの酒樽が並べられ、宴会参加者の面々(特に霊夢)がそれをかっくらう

 

「私ワインって初めて飲んだかも。結構イケるわね!」

 

「こら、程々にしないと後で痛い目見るわよ?」

 

「あはははは!霊夢お前顔真っ赤だぞ」

 

ワインをガバ飲みする霊夢を紫が叱るが、本人は忠告を聞く気がないらしい。魔理沙も大分酒が回っているのか、いつもより声量がデカい

 

「貴方達相変わらず喧しいわね。もう少し優雅に出来ないの?」

 

「なんだよパチュリー。いいか?宴会に必要なのはな〜〜〜!」

 

標的をパチュリーに変更した魔理沙がクドクドと宴会たる何かを説き始めた。

パチュリーは『しまった…!』という表情を浮かべたが、部下に絡む部長と化した魔理沙のマシンガントークは止まらない

 

そんな様子を横目で静観している隼斗は少し離れた席で他の面々と呑んでいた。

向こうと違ってこっちのメンバーはパチュリーの言う『優雅』と言うものがある

 

その一人であるレミリアがやや瞳を細めて尋ねた

 

「本当に騒がしい連中ね。いつもこうなの?」

 

「いつもあんなテンションだったらこっちの身が保たねーって。まあ酒の席くらい勘弁してやってくれ」

 

なんだかんだ素面の隼斗が答え、それを見たフランも

 

「隼斗は全然顔に出ないわね。お酒強いの?」

 

「……そこそこだ」

 

(ホントは能力が働いて、酔う感覚はあっても『酔っ払う』って事が無いんだけど)

 

「いや〜貴方方といるとネタに困りませんね〜」

 

さも当たり前のように混ざっている烏天狗にここでやっと隼斗から指摘が入る

 

「……で、何でお前もいるわけ?」

 

「そんなツレないこと言わないで下さいよー。今回の異変の事を記事にしたいので取材に来たんです!」

 

「帰れ」

 

一蹴するも一度火のついた記者は引き下がらない

 

「そんな事言わずに、ちょっとくらい良いじゃないですかー………あや?」

 

隼斗はネタ帳片手にグイグイくる射命丸文の頭を鷲掴みにし、向こうの大荒れゾーンへ放り投げた

 

「おっ、天狗んトコの記者か!なんだ?お前も私の話が聞きたいか?」

 

「い、いや……私が聞きたいのは異h…」

 

「そうかそうか!よし、座れ!!」

 

「いやだからそうじゃn……」

 

「こらー!!境内は無許可での撮影はお断りよ!どうしてもと言うなら然るべき手続きを済ませなさい!!(※金払え)」

 

「あややーー!?」

 

 

文の最期を見届けた隼斗は何事も無かったかのように話題を戻した

 

「そう言やメイド長は?」

 

「咲夜なら裏で料理の追加や後片付けをしてるんじゃないかしら?」

 

「…あのなーレミリア。いくらメイドっつっても宴会くらいゆっくりさせてやれよ」

 

「失礼ね、私が命令した訳じゃないわよ。アイツが『自分から』やってるの!」

 

(……アイツ職業病じゃね?)

 

「あっ、そう言えば私も隼斗に聞きたい事あるんだけど」

 

「ん?なんだフラン」

 

「隼斗は私の能力知ってるよね?」

 

 

フランの力は『ありとあらゆるものものを破壊する程度の能力』。

対象の最も緊張している『目』を引き寄せ、握りつぶすことで対象を破壊することが出来る

 

「それがどうかしたか?」

 

「…実は異変中何回か使ってるんだよね、隼斗に能力」

 

「ああ、そゆことね」

 

隼斗も質問の意図を理解し納得する。レミリアは未だ首を傾げているが、つまりフランが言いたいのは『能力を行使したのに何故お前は無事なんだ?』である

 

「俺さ、効かないんだよそう言うの」

 

「?…って言うと隼斗の能力が関係してるの?」

 

「興味深いわね。確か『超人になる程度の能力』だったかしら」

 

「ああ。大まかに見ればこの能力は『異常なまでの身体強化』が目立つけど、細かく見れば色々特典が付いてんだ」

 

「「特典?」」

 

「まあそれは病に掛からなかったり、毒が効かないだとか色々なんだけどさ、その中の一つに『自身に直接干渉する能力の無効化』がある。多分それがフランの能力が効かなかった原因だな」

 

わかりやすく例を挙げるならば、仮に相手に『催眠をかける』能力者がいたとしよう。

催眠をかけるには対象の脳に能力特有の波を送り、干渉させる事で眠らせたり、意のままに操ったりできる訳だが、隼斗はこれを無効化する。

同じ様に『相手の身体に憑依できる』能力者がいたとしても結果は同じ。要は隼斗自身に直接影響の出る能力は全て無効化されるという事になる

 

「じゃあ咲夜の『時間を操る程度の能力』も効果無いわけか……貴方何でもありね」

 

「逆に間接的な能力は普通に効くぞ?能力によって打ち出された炎とかは流石に無効果できねーからな」

 

「ふふーん、でも良いの?そんな簡単に手の内バラしちゃって。次は負けないかもよ?」

 

フランは悪戯を思いついた子供のように笑みを浮かべ、レミリアもそれに続こうとするが隼斗は次の言葉で一蹴する

 

「俺のパンチ喰らいてーか?」

 

「「ナンデモナイデス」」

 

「ったく」

 

隼斗は立ち上がりその手にワイン入りのグラスを二つ持って宴会場を後にした

 

〉アノ…ソロソロ シュザイ ヲ…

 

〉イイカ?エンカイ ッテ イウノハナ?

 

〉アナタ サッキカラ ナンカイ オナジコト イッテルノヨ!

 

〉アッ!ソウイエバハヤト カラ オサイセン モラッテナイ!!

 

〉ハイハイ ワカッタカラ……

 

 

 

 

「……本当に騒がしい連中ね」

 

「はは、そのセリフは今日だけで何回聞いたか」

 

裏の調理場に避難した隼斗は、咲夜と共に愚痴を漏らす

 

「一息入れたらどうだ?ほれ」

 

「一息入れるのにワインってどうなの?」

 

「折角の宴会なんだ。一杯くらい味わっとけ」

 

「……ずぼらな召使いにしては中々気がきくようになったじゃない」

 

「あんなトコこっちから願い下げだ」

 

 

 

カツンッ

 

「「お疲れ」」

 

 

 


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