東方万能録   作:オムライス_

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今回の話は主に時間が取れず、合間合間に書いたモノなので若干物足りなく感じる内容かもしれません。

なるべく纏めたつもりですがおかしい点等は後日修正します



73話 冥界の姫君

冥界に建つ広大な屋敷『白玉楼』。

庭には桜の木が大量に植えられており、春が冥界に集約されている今、桜の海が広がっている。

しかし数ある桜の中で一本だけ、その枝に花を咲かせていない一際大きな桜の木があった

 

 

「うふふ、中々頑張るじゃない貴女達」

 

その桜の前で優雅に舞いながら弾幕戦を繰り広げているのは、白玉楼の主・西行寺 幽々子だ。彼女は亡霊の身でありながら、此処での永住を許された冥界の管理者であり、今異変である春を奪った首謀者でもある

 

「コイツっ…!何て弾幕の数よ!!」

 

「しかもやたら読みにくい軌道で飛んでくるぜ……うわっと!」

 

「だからってこのままじゃジリ貧よ。こっちからも仕掛けないと…!」

 

 

相対している霊夢・魔理沙・咲夜の三人は空間を埋め尽くさん勢いで飛んでくる弾幕に苦戦していた。

まるで桜の花弁の様に美しく、独創的な弾幕は霊夢達に中々反撃の隙を与えてくれない

 

「くっそー!やらっれぱなしは性に合わないぜ…! ーーー魔符『ミルキーウェイ』!!」

 

弾幕の間を縫って魔理沙は星型弾幕を放ち、幽々子の弾幕を相殺していく

 

「それには同意。ーーー幻符『殺人ドール』!!」

 

続いて咲夜も能力と併用したナイフを弾幕として飛ばす。

二人掛かりの弾幕で幽々子の弾幕は徐々に薄くなっていく

 

「今だ霊夢!!」

 

「わかってるわ!!」

 

直ぐさま魔理沙が声を飛ばす。

霊夢は正面に空いた突破口を猛スピードで突き進み、幽々子の前に躍り出た

 

 

「終わりよ!ーーー霊符『夢想封印・集』!!」

 

「!……あらまあ」

 

近距離、しかも追尾型の弾幕が放たれる。

幽々子は回避行動を取ることなく、弾幕は一箇所に固まり炸裂した

 

 

 

「どうよ…!これで春を返す気に…………っ!」

 

霊夢は途中で言葉を切り、身構えた

 

「ちょっと油断しちゃったわね」

 

煙の向こうから声、そして何事も無かったの様に幽々子は浮いていた。

自身の周りには妖術で形成した障壁が展開されている

 

 

「久々に本気だしちゃおうかしら♪」

 

 

「!?」

 

 

ゾワッと霊夢の背中に寒気が走った。

幽々子は笑っている。いや、寧ろ上機嫌に微笑んでいると言ってもいい。

だが彼女から放たれる殺気の様な圧力は、『そういった経験』を積んでいない霊夢の動きを遅らせるのには十分だった

 

「桜符『完全なる墨染の桜』」

 

「しまっ……!」

 

霊夢がハッとなった時には目前まで弾幕が迫り、咄嗟に結界を張って防ごうとする

 

 

 

 

「恋符『マスタースパーク』!!」

 

迫り来る弾幕を後方から射出された巨大レーザーが薙ぎ払い、気がつくと自身が居た位置より遥か後方に移動していた。

目の前には魔理沙の背中があり、隣では咲夜が霊夢の肩を抱いていた

 

「二人とも……」

 

「霊夢、大丈夫?」

 

「油断するなんてお前らしくないぜ!」

 

霊夢は初めてその身に受けた本物の殺気に、内心戸惑っていた。別に相手を怖いとは思わない。

しかし身体は、本能はそれを恐れてしまっていた。

自分の手に視線を落とすと、僅かに震えが残っている。

拳を固く握り締め、もう一度目の前の敵を見据える

 

 

ーーー何て事は無い。自分は博麗の巫女だ

 

震えは止まった。

霊夢は立ち上がり再び臨戦態勢をとった

 

 

「アンタをぶっ飛ばすわ。決定事項よ」

 

その言葉に若干の怒りを含ませながら、その身に霊気を纏わせ、結界陣を形成した

 

「……あらあら、それは楽しみね〜♪」

 

 

飽くまで余裕を崩さない幽々子は、扇子を手に舞う。背後に陣が浮かび上がり、其処から大量の『死蝶』が出現した

 

 

両者引き金に指を掛けた状態。

そんは緊迫した局面に呼応するかの様に、巨大な桜の木は淡い光を帯び始める

 

 

「『西行妖』が反応している………満開までもう一押し、ってところかしら?」

 

「それが満開になるとどうなるっての…?」

 

「さあ?でもあの桜の下には『誰か』が眠っていて、満開になるとその封印が解かれると古い書物に書いてあったの。興味が湧かない?」

 

「興味本位で異変起こされちゃ商売あがったりよ!」

 

「霊夢、貴女商売してたっけ?」

 

「万年金欠じゃ無かったか?」

 

「そこ二人煩い!アンタらどっちの味方よ!!」

 

仲間内で集中砲火を受けている霊夢を尻目に、幽々子は振り返り西行妖を見つめる。

西行妖の枝には花こそ咲いていないが、少しずつ『満開』に近づいている

 

「……これだけ進行すればいいかしらね」

 

幽々子は小さく呟き、死者を蘇生させる『反魂の術』の術式を組み上げ始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「縛道の六十一『六杖光牢』」

 

 

「!?」

 

幽々子の胴体に六本の光の帯が突き刺さり、その動きを封じた

 

 

 

「……幽々子、久々に会ったってのに少々おいたが過ぎるんじゃないか?」

 

 

ーーー隼斗は嘗ての友、そして西行妖と再び対峙する

 

 


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