昨日部屋に入ってきたスズメバチに、ハエ撃退用の電撃ラケットで応戦したけど効かへんかった……
はい、76話投稿します!
『かんぱーーい!!』
カコーンっと景気良くグラスとグラスのぶつかる音が鳴り、博麗神社にて宴会が始まった。面々を見れば、人間から妖怪、オマケに亡霊まで揃っている
本来妖怪退治も兼ねている巫女が住まうこの神社に於いて、妖怪等が集まる事はないのだが、何とも不可思議な光景である
「幽々子様、この場にある宴会料理全種を装ってきました。お召し上がりください」
「あら、ありがとう妖夢〜。さっ一緒に食べましょう〜!」
ヒュオォォォォォォォォッ!
大皿山盛りに積まれた料理を物の数ともせず食べ始めたのは、冥界の主である幽々子だ。
まるで掃除機のように食べ進めていくその様は、以前に隼斗が例えた『桃色の悪魔』の様であった
「あっ!咲夜アレ!アレをとって頂戴!!」
此方では、見た目幼いロリータ吸血鬼がメイドに眼前の食べ物を取るよう強請る
「畏まりましたお嬢様。……どうぞ、お召し上がり下さい」
そう言って差し出されたのは、小さな器に入ったプリン。受け取った幼j……レミリアは嬉しそうにスプーンを手に取る
「〜〜♪」
「あっ!お姉様ズルいよ!咲夜、私にもお願い!」
その妹であるフランも負けじとプリンを注文した。
よくよく考えれば、宴会料理の中にプリンが混じっているのは可笑しな話であるが、誰もその事を気にする様子はない
「むぐっ!?な、なんだコレー!?喉が熱い!ど、毒かー!?」
「だ、大丈夫?チルノちゃん!?」
急に喉を抑えて苦しみだしたのは、⑨キャラでお馴染みのチルノ。その傍で大妖精が驚きながら声をかける
「お、おのれ〜!何処のどいつか知らないけど、このアタイに毒を盛るなんて…!これがお前のやり方かァァァァ!!」
「……何やってんだお前は」
そんな様子を見かねた隼斗が呆れつつも水の入ったグラスを差し出した
「チルノ、それは毒じゃなくて焼酎な。…ったく飲めねーのに直で飲むからだ馬鹿」
隼斗は焼酎入りのグラスを取り上げ、その中に手渡した水とは別のグラスに入った水を入れた
「ほれ、これで幾らか飲みやすくなったろ」
「……コクッ。!ホントだ!!隼斗凄い!流石アタイの子分ね!」
「……焼酎飲んでひっくり返ってちゃ格好つかねーですぜ親分」
適当なツッコミでそう返した隼斗は、本来自分が座っていた席に戻った。
そこには紅白巫女と白黒魔女、七色人形師がそれぞれ酒を片手に談笑していた
隼斗が席に着くや否や、ほろ酔い状態の霊夢がニヤつきながら話しかけてきた
「あっ、お疲れ隼斗。親分の調子はどうよ?」
「異常無く馬鹿だった。いつも通りだ」
「って言うかいつから氷妖精の子分になったんだよー?」
「俺が聞きてーわ」
「それにしても貴方子供の扱いに慣れてるわね。将来良い父親になるんじゃない?」
「何それ口説いてんの?」
「えっ!?違っ…///」
続いて魔理沙、アリスも被せて質問してくる。特にアリスに至っては隼斗の返答に赤面気味だ
「いや冗談だよ。そんなマジに赤くなんなって」
「あははは、アリス何照れてんだよー!」
「て、照れてないわよ!!」
「でも顔赤いじゃない」
「こ、これは……お酒の所為よー!!」
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宴会開始から三時間程経ち、そろそろ周りのムードも落ち着いてきた頃。
紅魔館組の面々、特にレミリアとフランからは寝息が立っている。
酔い潰れたチルノと大妖精も、同様に大の字になって眠っていた
魔理沙やアリスも帰る支度を整えている
「そろそろお開きだな。吸血鬼二人は兎も角、そこの妖精はどうするんだ?」
「放っとけば勝手に帰るでしょ。一応布団だけ掛けて寝かせとけば?」
魔理沙の質問に、珍しく霊夢が介抱を引き受けた。
その言葉を皮切りに他のメンバーもゾロゾロと帰り出す。妖夢がいつの間にか背負っていた風呂敷には、恐らく宴会料理の余りがパック詰めされて入っているんだろうな…っという事は敢えて誰もツッコマなかった
「いやー今日も飲んだぜ。じゃあまたな!」
「今日はありがとう。また誘ってね」
魔理沙とアリスもそれぞれ別れの挨拶を済ませ帰宅した
「……」
「?…どうかしたの隼斗?」
そんな中、隼斗は一人考えに耽っていた。
怪訝に思った霊夢が声を掛ける。
すると隼斗は不思議な事を口にした
「……なあ、今月に入って宴会って何度目だ?」
「はあ?何よ急に」
「いや、お前違和感無いのか?ここ最近ずっと今日みたいな宴会やってんだぞ?」
「んー、まあ…よくよく考えると確かにそうかも知れないわね……。でも隼斗だって今の今まで普通にしてたじゃない」
「そりゃ、周りが誰一人としてその事を気にしてなかったからな。一回俺が可笑しいのかと思っちまったよ」
「………『異変』ってこと?」
「多分な。まあ、別に害のあるモンじゃねーからその辺該当すんのか微妙だけど」
すると霊夢はため息を漏らし、気だるそうに片目を瞑った
「はぁー、長い冬が明けたと思ったら……次から次へとキリが無いわね」
「……」
ーーーこの時、隼斗だけがこの場に漂う微量な妖気に気付いていた
ーーー
〜翌日
霊夢は昨日発覚した異変?の調査の為、幻想郷の空を飛び回っていた。
その間、昨日隼斗から聞いた『幻想郷を漂う妖気』を念頭に置きながら、思い当たる節を探る
「漂う妖気……って具体的に思いつかないわね。………『妖霧』とか?」
霊夢は進路を決め、霧の湖方向に飛び去った
〜
「と言うわけで、御宅のお嬢を懲らしめに来たわ」
「……どう言うわけで?一体何なの?」
要領を得ずに放たれたカチコミ宣言に、呆れ半分の咲夜は、霊夢の前に立ちはだかった
「ここんところずっと宴会が続いてるでしょ?流石にこれは只事じゃないと踏んで調査に乗り出したって訳。それに隼斗が言うには幻想郷を妖しい霧が漂ってるって話だし」
何故か『幻想郷を漂う妖気』から、『妖しい霧』に変換されてしまっているが、霊夢の中では似たようなものなのだろう
「妖しい霧……もしかしてそれでお嬢様を?幾らなんでも決め付け過ぎじゃない?」
「前科って知ってる?」
「……貴女こそ言い掛かりって知ってるかしら?」
既に戦闘モードに入った両者がぶつかり合う
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霊夢等が抗争している時……
「おばちゃん、みたらし3本追加してー」
「ハイよー!」
隼斗は甘味処で団子を摘んでいた
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「漸く出てきたわね!さあお仕置きの時間よ!!」
「あー?いきなり怒鳴り込んできたと思ったら何を言いだすのやら」
咲夜を倒した霊夢は館内へと進み、レミリアと対峙していた。
相変わらずの無茶苦茶な口ぶりに眉間に皺を寄せるレミリア
「メイドにも言ったけど、ここ最近の宴会は明らかに不自然。何者かが意図的に起こしているとしか思えないわ」
「それが私だと?」
「少なくとも容疑者には当選してるわよ。おめでとう」
「これ程嬉しくない当選も珍しいわね。それで?弁護士は呼べるのかしら?」
「呼べるわけないでしょ!」
「相変わらず勝手な奴ね!」
最早ヤクザ巫女と化した霊夢に、割と乗り気なレミリアが爪を立てて臨戦態勢をとった
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その頃隼斗は……
「隼斗、まだ出来ないのー!?」
「待て待て、もう少しで完成する………よし出来た!」
「うわー!凄い!氷のチルノちゃんだー!!」
霧の湖で氷像の造形に勤しんでいた