東方万能録   作:オムライス_

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なんとか間に合いました!
次回の投稿日は、先日の活動報告欄に記載した通り、少しだけ開きます。でもそれ程掛からないと思うので、なるべく早く投稿するつもりです。


それでは83話ドゾッ!



83話 水面下の脅威

 

 

永遠亭では前の面子に加え、輝夜とてゐも参加して緊急会議が開かれていた

 

 

「……博麗大結界?」

 

「そうだ。本来幻想郷はその結界によって外の世界から隔離されてる。つまり月の連中は此処に辿り着く事が出来ねー筈なんだ」

 

「……その『筈』って言うのは?」

 

輝夜の質問に、隼斗は鈴仙宛ての手紙を凝視した後説明を始めた

 

「どういう訳か鈴仙に宛てられた手紙が届いちまってる。……いや、それ以前に鈴仙の正確な居場所まで特定されてるって事の方が問題だな」

 

「鈴仙……発信機でも仕掛けられてんじゃないの?」

 

「ええっ!?いやそんな訳ないでしょ…!そんな訳……無いと思う……多分」

 

てゐの指摘を否定したい鈴仙だが、強ち否定仕切れない為少しずつ声のトーンが小さくなっていく

 

「大丈夫よ。発信機なんて付いてたら私か隼斗がとっくに気付いてるから」

 

「サラッと凄いこと言ったわね」

 

再び考え込む一同。

一先ず重点を博麗大結界に置き、永琳がある提案をした

 

「名前から察するに、その結界を張ったのは博麗の巫女でしょ?原因を聞いてみたらどう?」

 

「……まっ、それが一番手っ取り早いよな」

 

隼斗は立ち上がり、部屋の襖を開けて外に出た。空を見上げれば微妙に欠けた月が、竹藪の隙間から地面を照らしていた

 

(……今夜は十三夜月か。昔は満月の次に美しいってんで、よく月見酒とかやったもんだが………今は月見どころじゃねーわな)

 

月はまだ昇り始めたばかり。満月まで二日無いとは言え、策を講じる時間はあった

 

「兎に角、結界の方は俺が調べてくる。そっちはそっちで策を考えといてくれ」

 

「わかったわ。気を付けてね」

 

適当な調子で手を振った隼斗は、その場から跳躍し夜の空へと消えた

 

 

 

 

ーーー

 

 

「……博麗大結界に外から干渉する方法?」

 

「そうだ。例えば外の世界から中の奴の居場所を特定して手紙を送るみたいな事とか」

 

 

隼斗は紫の屋敷を訪れていた。

博麗大結界についてなら霊夢でも良かったわけだが、今回は特異な事例の為、紫を訪ねることにしたのだった

 

 

「……随分具体的な例ね。でも無理よ。仮に居場所がわかったとしても詳しい場所まではわからないし、手紙が結界を越える事もない。……普通わね」

 

「何か例外があるのか?」

 

「その前に何が起こっているのか教えなさい。話はそれからよ」

 

 

紫にあっさりと見破られた隼斗は、「まっ、バレるわな。こんな聞き方したら…」と内心思いつつ事情を説明した。

それを聞いた紫は少し考えた後思い当たる節を語る

 

「考えられる要因は三つ。一つは相手側に私と同等クラスの術者がいて、結界の仕組みを上書きされた場合。そうすれば結界は結界の意味をなさなくなる

 

二つ目。月と幻想郷内を何らかの手段で繋げる、もしくは行き来できる力を持った者がいる

 

そして三つ目。その鈴仙とか言う玉兎に何らかの細工がしてある。現状で思い付くのはこれぐらいかしら」

 

「………」

 

隼斗は暫く黙り込んだまま思考を巡らせた。

挙げられた三つの仮説は全て隼斗自身にも思い当たる節があったが、そこから更に絞り出していく

 

「………今のトコ有力なのは三つ目だな」

 

「あら、どうして?」

 

「まあ、アレだ。一つ目も二つ目も、そんな事が出来るなら態々鈴仙を使って回りくどく探させるより直接乗り込むか、術式でも使って探知した方が手っ取り早いだろ。丁度それが出来る奴を二人知ってるが、どっちも永琳達の味方だしな」

 

特に根拠がある訳ではなく、かと言って誰が聞いても信憑性を得られるものでもない唯の憶測。しかし隼斗には一つの確信があった

 

「ふふっ、大分抜け目のある推理だけれど………貴方が言うならそうなのかも知れないわね」

 

普通なら此処で問題点などを指摘して一蹴するところだが、不思議と隼斗が言う言葉には信憑するに足るナニかがあった

 

 

「じゃあ早速その線で調べてみるわ。ありがとな紫」

 

 

 

返事を聞くわけでもなく、早々にその場を立ち去った隼斗に対し、紫は笑みを浮かべて一言呟いた

 

 

「どういたしまして」

 

 

 

 

 

 

「おーい鈴仙!」

 

永遠亭に戻った隼斗は、真っ先に鈴仙を呼んだ。その声に彼女だけでなく他の住人まで出てきた

 

「はい……どうかしましたか?」

 

「お前服脱げ」

 

「………………へっ?」

 

唐突な要求に一瞬思考が停止した鈴仙は、数秒後に顔を真っ赤にして後退った

 

「ななななな、何言い出すんですかいきなりぃぃぃ!?」

 

「だから服を脱いで(異常が無いか)調べるんだよ!」

 

「し、調べるって///あわわわわわわわ……」

 

遂には頭から湯気が立ち上り、周りもそのやり取りに驚き、捲し立て、呆れた

 

「えっ……何?隼斗そんなに溜まってたの……!?」

 

「イイゾーモットヤレー」

 

「何赤くなってんだ。別に此処でやれとは言ってねーだろ。別室でやりゃあいいじゃねーか」

 

「よ、余計卑猥です!!」

 

「……やれやれね」

 

次第にパニック状態に陥る一同を(特に鈴仙)、終いには永琳が収拾をつけるハメになった

 

 

 

 

 

 

 

「全く……貴方も言い方を考えなさい。アレじゃ誤解されても文句言えないわよ?」

 

検査を終え、別室から出てきた永琳が呆れ半分にそう言った

 

隼斗は変わらぬ調子で謝罪すると、早速本題に入った

 

「ワリぃワリぃ。時間無いと思って遂急いじまった。……で、どうだった?」

 

「………当たりよ。あの娘の体内から追跡術式を見つけたわ。そして軍服仕様のブレザーには支給品転送用の小型端末が仕込まれていた」

 

「!……解除は出来たか?」

 

「一応ね。……でも多分無駄よ。転送装置は特に警戒する必要は無いと思うけど、術式の方は既に記録を取られてるはずだから今更消したところで連中にはバレているわ」

 

(……でもそれだけじゃ奴らが幻想郷内に進入する手立てにはならねェ筈だ。鈴仙へのメッセージにしたって術式の存在がバレちまう可能性を考慮して無い訳が……)

 

どれだけ考えても、出てくるのは有力とは言えない仮説ばかり。

隼斗はそのもどかしさから頭を掻いた

 

 

既に日付は変わり、外はボンヤリと明るくなりつつある

 

 

ーーー満月まで後一日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???

 

「報告します。追跡術式の解除を確認しました」

 

「……場所は?」

 

「それが……地上である事は間違いないのですが……」

 

「なんだ?」

 

「地上のとある一点に不可思議な場所が存在しており、その先からは衛星術式をもってしても辿ることができないのです」

 

「…何っ?」

 

「……如何致しましょう」

 

「……ならばその奇怪なエリア全域に例の術式を掛けろ。恐らく釣れるはずだ」

 

「はっ!」

 

 

 

 

「精密に施した術式を発見・解除ができるという事は当たりと見て間違い無いようだな」

 

「……ふん、生意気にも小細工を施していたか。道理で長年見つからぬ訳だ」

 

「くくっ……月の戦力はもうじきひっくり返る。今に見ていろ…!」

 

 





次回予告(予定)
いよいよ動き出す月のオッサン達。幻想郷をかつてない異変が襲う!

次回、『84話 太古の月』 お楽しみに!!


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